白井エコセンター株式会社青年海外協力隊が育む
イノベーションの担い手

  • グローバル人材の育成・確保

青年海外協力隊員が持つ「覚悟」

首都圏で廃棄物処理事業を行ってきた当社が、海外展開に向けた準備を始めたのは2008年です。顧客の開拓から商品開発まで、首都圏での事業の基盤づくりはやりきった状態にあったなか、それまでに蓄積した事業のノウハウを途上国における廃棄物処理の問題に生かしていこうとの考えからでした。ようやく今年に入り、当社で初めての開発途上国展開となるケニアでの事業がスタートしています。

 そうした流れのなかで昨年、海外事業を担える人材を確保するため、青年海外協力隊経験者の採用や民間連携ボランティア制度の利用を検討し始めました。昨年11月には、ケニアでの事業を担当する社員が、マラウイに派遣された青年海外協力隊員の活動現場を視察させていただきました。

 海外事業を担う人材という観点で見たとき、青年海外協力隊経験者が持つ最大の資質は「覚悟」だと考えています。状況の予測がつかないような途上国に、自分でなんとかしてみせるという覚悟で飛び込んでいった行動力。それは海外でビジネスを行うときに欠かせないものです。ビジネスは、日本人が自分の生まれ育った日本で行うときですらままならない。それを海外でやるとなれば、なおさら大きな困難が待っているはずです。そうした困難に直面したとき、相当な覚悟がなければ、どうしても「日本国内での仕事に専念していれば、こんなことにはならなかった」と、逃げの姿勢になってしまうのです。

代表取締役社長
滝口 千明さん

「グローバリビリティーはサバイバリビリティー」

民間連携ボランティア制度の利用については、二つの目的が達成できるものと考えています。一つは、青年海外協力隊員としての経験を通じて、当社の社員に海外の人々と互角に渡り合いながら仕事を進める力を養ってもらうこと。もう一つは、当社がビジネス展開を予定している国の派遣案件をJICAにつくっていただき、社員に青年海外協力隊員としての活動のなかで現地のネットワークを獲得したり、社会のシステムや文化などを学んだりしてもらうという目的です。

 青年海外協力隊の経験によって、自分が生まれ育った国の慣れ親しんだ文化とは違う文化を経験すれば、社会を見る軸が二つになります。軸が二つになって初めて「比べる」ということが可能になり、海外の社会を客観的に捉えることができる。「グローバリビリティーはサバイバリビリティーだ」とおっしゃった方がいましたが、二つの軸を持つことこそ、サバイバリビリティー、つまり「海外の人々と互角に渡り合う力」を支えるものだと思います。

 マラウイで青年海外協力隊員の活動現場を視察させていただいた社員は、その印象についてこう報告してくれました。「青年海外協力隊員については、『JICAがあらかじめ計画した活動をこなすメンバー』というイメージを持っていたけれども、それは間違いだった。彼らは配属先など関係機関と調整しながら、みずから活動内容を計画し、その実現のために現地の人たちをどう巻き込むかといったことを考えて、行動されていた」。青年海外協力隊がそうしたものであればこそ、海外で一から切り開いてビジネスを立ち上げるときに必要となるスキルの獲得がおおいに期待できるのだと思います。

 廃棄物処理の業界というのは、イノベーション(変革)が容易ではありません。そんななかでカギとなるのが、若い世代の社員の可能性です。幸い、当社には近年、海外事業への意欲の高い人たちが、環境問題への関心などから入社してくれています。彼らに青年海外協力隊のような経験をする機会を与えることで、彼らのポテンシャルを引き出せば、当社のイノベーションにつながる。青年海外協力隊に参加させたことによってその社員が仕事の力を伸ばし、任期が終了したときにはもはや当社の枠を超えた仕事に興味を持ち、羽ばたいていってしまったとしても、それは仕方のないことだと考えています。社員の成長と企業の成長は、常に競争関係にあるものだからです。

 当社が海外展開を開始してまっさきに取り入れたのは、社員のグローバル化をはかるために海外からインターンを受け入れる制度の導入です。その次の策と考えているのが青年海外協力隊経験者の採用や民間連携ボランティア制度の利用。ぜひそれらにより、当社のイノベーションをいっそう押し進めていきたいと思います。

PROFILE

白井エコセンター株式会社
設立:1973年(2005年に商号変更)
所在地(東京フロントオフィス):東京都千代田区神田淡路町1丁目2番 クリスタルビル7F
事業内容:産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業など

HP(白井グループ):http://www.shirai-g.co.jp/
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