昭和機械商事株式会社協力隊経験は企業が必要とする
「グローバル人材の育成プログラム」

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国へのビジネス展開

創業74周年を迎える当社は、チェーンメーカーとして出発し、現在は、チェーンを部品として組み込んだ商品や設備を、工法も含めて製販しています。私たちの市場は国内外にありますが、いずれの場合でも、エンドユーザーの立場に立ち、それぞれのニーズに合わせたものづくりをモットーとし、今日まで歩んでまいりました。そして、これからは、特にASEAN諸国を視野にいれた市場開拓に尽力しているところです。

 当社で最初に現地法人をシンガポールに立ち上げた際、協力隊経験者を責任者に抜擢しました。現地での彼の働きぶりを見て、「協力隊経験者は仕事ができる」と感じ、その後も積極的に採用するようになりました。ここでいう「積極的に採用」という意味は、何かと苦労が多いであろう開発途上国で、何を、どのようにして、成し遂げてきたかという点を評価し、採用をするという意味です。例えば、当社にいる協力隊経験者の1人は、派遣先で手がけていたプロジェクトの途中で、途上国側の資金が底をついてしまったそうです。そこで彼は、現地の人たちと共にストラップづくりをして、それを販売し、資金繰りをしたと。これを聞いたとき、なんて逞しいのだろうと感心しました。

 業務に関するノウハウは、入社後に、経験豊かな先輩社員からしっかりと教わればいいというのが、当社の考え方です。したがって、協力隊時代の職種や派遣先等は、さほど重視しておりません。それよりもむしろ、困難な局面をどう乗り越えたのか、周囲との相互理解をどう深めたのか、あるいは自らの企画立案でどのような結果を残したのか、そうした部分を重視しています。なぜなら、こうした総合力は人に教えられて身につくものではないからです。高い総合力を持つ人間は、仕事を覚えるのも早いし、1人で仕事をするようになってからも、社にとって有益なビジネスを、自らの力で切り開き、こなしていけます。また、仕事ですから、時には厳しいことも言います。あくまでも一般論ですが、最近の若者は厳しく指導すると、意気消沈してしまう。でも、協力隊経験者には気概とか根性といったものが備わっているので、育て甲斐があります。

 現在、当社には計7名の協力隊経験者がおります。共通していえることは、並々ならぬ「やる気」と「負けん気」に溢れている点です。また、将来を見据えたうえでの企画力と実行力に長けています。そして、開発途上国ならではの厳しい環境にも素早く適応し、現地の人と同じ目線で生き抜いていく底力があります。当社では、今ある中国やインドネシアの生産拠点を拡大していくほか、タイやベトナムなども視野に入れています。そうなると、現地に赴任する社員が必要になる。そのときに、先に述べたような力の持ち主であれば、赴任した先でカルチャーショックを受けてしまうことは、まずありません。今現在、インドネシアの事務所に赴任している社員も、協力隊経験者です。彼の協力隊時代の職種は感染症対策で、派遣国はパナマでした。パナマとインドネシアでは、言語も文化も異なります。職種における関連性もありません。しかし、彼は現在、しっかりとインドネシアの地に根を張り、仕事をしてくれています。現地の人と分かち合える社員の存在ほど、社として心強いことはありません。

 ASEAN諸国を含め、成長著しい開発途上国を視野に入れたビジネス展開は、当社のみならず、これからの日本が生き残っていくためには、決して欠かすことのできない視点だと思われます。開発途上国での2年にわたる協力隊経験を、「グローバル人材の育成プログラム」と捉えれば、協力隊経験者は非常に貴重な人材だといえるのではないでしょうか。当社では、今後も、パイオニア精神に満ちた協力隊経験者がいれば、積極的に採用していく考えです。

※2011年12月26日日本経済新聞朝刊に掲載されたコチラの記事もご覧ください。
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代表取締役社長
岡崎 啓司(さとし)さん

PROFILE

昭和機械商事株式会社
設立:1937年
所在地:(本社)大阪府大阪市住之江区北加賀屋1-3-23
(岸和田管理本部)大阪府岸和田市臨海町13番地
事業内容:チェーンコンベヤ、廃水処理装置、補強土壁など、多様なチェーンおよび関連商品の開発、製造、販売
従業員数(グループ全体):350名
協力隊経験者数:7名

HP:http://www.showa-kikai.co.jp/
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