住友電装株式会社「ビジネス」でも不可欠な「人間としての幅」を広げるJICAボランティア経験

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国へのビジネス展開

当社は、電線を束状にした「ワイヤーハーネス」という自動車の配線用部品の製造・販売を行う会社です。世界の主要な自動車メーカーをお客様とし、世界シェアは約25パーセントに上ります。
 製品の生産は、ニーズに適切に応えるため、お客様の生産工場の近くで行うことを基本としています。世界の自動車メーカーは各国に生産工場を持っていることから、現在、当社も約30カ国で約100の子会社や関連会社を持って生産にあたるまでになっています。

 海外展開がこれだけ進んでいますので、海外拠点で働ける日本人スタッフの育成については、社内に一定の仕組みができています。国内拠点と海外拠点との間を数年ごとに行き来しながら、生産業務や管理業務のノウハウとともに、海外の方々とともに働く力を養っていく、というサイクルです。
 しかし、そうしたサイクルでグローバル人材として成長していってもなお難しいのが、海外のパートナー企業との付き合いです。当社の海外拠点では、現地のメーカーをパートナーとして、そこで製品を生産し、納入するケースも多い。異文化社会の企業を相手にしたビジネスというのは、日本の企業を相手にする場合とは違った難しさがあるのですが、それをうまく進める力を持つ人材のひとつが、JICAボランティア経験者ではないでしょうか。

 「ビジネス」というのは、利益を最大にすることが目標。現地のパートナー企業との交渉は、いわば利益の取り合いですから、値段の話をしているだけではなかなか話がまとまらないことも多い。そんな場合にJICAボランティア経験者ならば、相手との会食の席などで「実は私は以前、アフリカでこんなボランティア活動をしていたのですよ」といったビジネスとは対極の経験を話したりします。すると相手は、「お金を稼ぐことだけを考えてやってきた日本人」というイメージを捨てて、こちらの「人となり」を認め、事業以外の話に付き合ってくれるわけです。それを経てようやく、「さて、お互いに立場の違いはありますが…」と商談のまとめに入ることができるのです。

 「ボランティア」という、ビジネス以外の立場に立って海外で暮らす経験は、ビジネスを超えた広い視野に立って異文化社会を見る力を養ってくれる。たとえビジネスの場であっても、そうしたいわば「人間としての幅」があって初めて、海外の方々が心を開き、腹を割った話に応じてくれるのだと思います。当社にいる6人のJICAボランティア経験者たちも、そのような「人間としての幅」を強みに活躍しています。

 ミャンマーをはじめ、当社が新たに事業展開を進めたい国はまだまだあります。そうした国々で事業の土台づくりにあたってくれる人材として、当社でさらにJICAボランティア経験者が増え、活躍することを期待しています。

常務執行役員 グローバル事業本部長
白川 敏美さん

PROFILE

住友電装株式会社
設立:1917年
所在地:三重県四日市市浜田町5-28
事業内容:自動車用ワイヤーハーネスの製造・販売など
従業員数:214,083人(2013年3月31日現在/うち協力隊経験者は6人)

HP: http://www.sws.co.jp/
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