株式会社システムコーディネイト「ゼロ」から何かを始める経験は
人間を大きく成長させる
当社は、情報システムの提案・開発・運用管理などを行う会社で、創業から30年目を迎えます。3年ほど前に、創業後初めて社員が協力隊に現職参加しました。男性のSEで、職種は「コンピュータ技術」。中東の職業訓練校でネットワークに関する技術指導に取り組みました。
日本社会のグローバル化が進むなか、当社では以前から、中国・大連の関連会社に社員を3カ月ほど派遣し、海外の人たちと働く経験を積ませています。しかし、協力隊の任期は2年間と長い、彼は当時20代半ばで、入社4年目。成長の度合いが高い時期でもあり、2年間で拡がる同期社員との間の技術力の差への懸念はありました。それでも現職参加を認めたのは、社内教育では得られないような、ひとつ上の力が身に付くはずだという期待からです。
途上国での技術指導となると、おそらく「きちんと動くパソコンがどれだけあるか」といったような、いわば「ゼロ」の状態からの活動となる。本人がいくら頭で考えていても何も進まない。従って、自ら何か行動を起こさなければならないことが解る。行動を起こせば、周囲からの反応も生まれる。それに対して、さらに改善を加えた行動をとってみる。このステップを繰り返すことで、やがて仕事が軌道に乗る。人はゼロから何かを始めるとき、いろいろな面で大きな成長が見られます。そうした経験は、「計画する力」や「マネージメントの力」など、さまざまな力の総合的な向上のチャンスにほかなりません。これは、協力隊で経験できる非常に重要な要素だと思います。
協力隊に参加した社員も、機材は不足し、生徒の学習意欲も薄いというような、それこそゼロの状態からの活動開始だったと話しています。そして実際、彼の帰国後の働きぶりには、「足腰」の強さが感じられます。たとえば、次に自分がすべきことについて、誰かが考え、指示してくれるのを待つのではなく、自分で考え、行動する自主性が身に付いている。
何より当社の今後にとって頼もしいのは、彼がいわば「グローバルなセンス」を獲得してくれたことです。「大連に赴任しますか」と打診すると、たいていの社員は躊躇する様子を見せます。しかし、彼にはそれがない。どのような環境に放り込まれても、なんとか適応していけるという自信を付けたのだと思います。
キャリア形成のプロセスにおいて、彼の世代で協力隊に参加するというのは「多様性の時期」だと考えています。つまり、自分の得意分野を見出すためにも、さまざまなことにチャレンジすることが許される時期、ということです。だからこそ今後も、社員のなかに協力隊に現職参加したいという者が現れれば、積極的に応援したいと考えています。(談)
代表取締役社長
根本 健時さん
- 株式会社システムコーディネイト
- 設立:1983年
本社所在地:東京都豊島区東池袋4-21-1 アウルタワー
事業内容:情報システムの提案・開発・運用管理など
従業員数:212名(グループ全体、2012年2月現在)
協力隊経験者数:1名
HP:http://www.sysco.co.jp/