高浜町協力隊で身につく視座こそ、
地域づくりの仕事の基礎

  • グローバル人材の育成・確保

町の人口減少と少子高齢化が進むなか、当役場では、住民に「ここで暮らし続けたい」と思ってもらえるような町へとつくり変えていくため、今年度に入って「コンパクト・シティー計画」の実施に着手しました。具体的には、公共施設の機能集約や、中心街や漁港の整備を内容とするものです。2008年に就任した現町長が、この計画を含め、町の変革に向けた事業のアイデアを次々と繰り出していますが、そこで重要となってくるのが、役場の職員の意識改革。未知の事業を実施するうえで、「前例踏襲主義」からの脱却が不可欠だからです。

 2010年に職員採用試験の社会人枠を導入したのも、役場に新しい風を入れようという考えからでした。その初回の試験で、帰国直後だった協力隊経験者1名を採用しました。私も面接試験に同席しましたが、話を聞いて感じたのは、協力隊と地方公務員は最終目標として「住民の幸せ」を見据えながら働くという点で、相通じるものなのだなということでした。

 地方公務員が未知の事業に挑戦する場合、どの方向に進めばいいか、判断に悩む局面が多々出てきます。そういう局面では常に、「どの方向に進めば住民の幸せにつながるか」と根本に立ち返ることが必要です。採用した職員の働きぶりを見ていると、「住民の幸せのために、今、自分は何をすべきか」と考える「視座」が備わっています。これはまさしく、協力隊経験で培われたものではないでしょうか。そして、この視座があるからこそ、「前例」や「指示」ばかりをあてにしない「自立した」仕事ができています。

 難しいのは、「住民の幸せ」のために何でも支援すればいいというわけではないという点です。役場の支援によってできあがった状態を、支援の終了後も住民が自ら維持していけるよう、支援の仕方を工夫しなければなりません。私たちはよく、「自助、共助、公助」という言葉を使います。まずは住民が自ら地域の問題を解決し(自助・共助)、それが困難なときに初めて役場が支援をする(公助)。その順番を間違えると、住民が役場頼みの体質になってしまう。この点は、途上国でボランティア活動に取り組む場合と共通することではないでしょうか。採用した職員は、町の広報全般を担当し、町のPR誌をつくる住民グループの支援にも携わっていますが、手を出しすぎず、離れすぎずという絶妙のスタンスを保っている。そういう住民との距離の取り方、広い意味での「コミュニケーション」の力は、協力隊経験の賜物なのでしょう。

 今後も、協力隊経験で得た力を発揮しながら、役場の新しい風となってくれることを期待しています。

副町長
岡本 恭典さん

PROFILE

高浜町
所在地:〒919-2292 福井県大飯郡高浜町宮崎71-7-1
職員数:197人
協力隊経験者:1名(2012年7月現在)
HP:http://www.town.takahama.fukui.jp/
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