株式会社TAKAI青年海外協力隊員と励まし合う関係を

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国でのビジネス展開
  • CSR活動

青年海外協力隊の応援団体

地域に根ざしながら民間の立場で青年海外協力隊事業を応援するボランティア団体が全国の40を超える都道府県などに存在し、ネットワークを持ちながら帰国した協力隊員の就職支援などに取り組んでいます。そのひとつである「三重県協力隊を育てる会」(以下、「育てる会」)の理事に私が就任したのが2011年。それが当社と青年海外協力隊との最初の出合いでした。2014年からは「育てる会」の会長を務めています。
 「育てる会」の会長として現在、力を入れ始めているのが、現地視察を含む協力隊の現状把握とJICAが地方自治体の国際協力事業の活動拠点に配置する「国際協力推進員」のサポートです。三重県の国際協力推進員も、県内でJICAボランティア事業の広報活動などに取り組んでいらっしゃいますが、地域の方々から協力を得る際などには、地域に根ざした仕事を行っている「育てる会」のメンバーが間に入るなどして力になれるだろうと考えています。

代表取締役
高井 邦彦さん

民間連携ボランティア制度の利用に向けて

私が「育てる会」の活動に携わるなかで知り、関心を持ったのが民間連携ボランティア制度です。当社の主力事業は、中国で生産された自動車用品を輸入し、自社ブランド化して販売することですが、以前からアジアで生産される手工芸品などの特産品でも同じような事業が展開できるのではないかと考えていました。しかし、現地の生産者などとどうコネクションをつくるかが壁となり、実現に至らずにいました。そうした時にスタートしたのが、民間連携ボランティア制度。派遣国や任地、活動内容の決定に、社員を送り出す企業の要望を取り入れていただけるということで、当社のように「アジアの特産品を輸入したい」というある程度具体的なビジョンを持つ企業にとっては、現地とのコネクションづくりをする方法として非常に魅力的な制度です。そうして、この制度で当社の社員を派遣することを視野に入れ、これまでにネパールやタイに派遣されている青年海外協力隊員の活動現場を視察させていただいたり、帰国した協力隊員による活動報告会に参加させていただいたりしました。

協力隊経験者の「自立心」

活動現場の視察や活動報告会を通じて感じるのは、協力隊経験が「自立心」を養う場であるということです。日本の企業は一般に、業務のマニュアルがしっかりしていて上司からの指示も細かいので、社員はとかく「指示待ち」になってしまいがちです。一方、協力隊では自分で考えて行動することが求められる。そうした環境のなかで活動を進めれば、自分で創意工夫をして課題解決に取り組む習慣がおのずと身につきます。
 協力隊経験によってもたらされる本人の成長についても理解できたことから、民間連携ボランティアの利用だけでなく、協力隊経験者の採用についても積極的に進めたいと考えるようになりました。先ほど申し上げた「アジアの特産品を輸入する」という仕事に興味を持つ方がいれば、ぜひ仲間になっていただきたい。外国語を使うことに慣れた人材を見つけることは決して容易ではないので、その点でも協力隊経験者は当社にとって非常に魅力的な人材です。

一村一品運動を販売面でサポート

協力隊員の活動現場を視察させていただいたことをきっかけに、民間連携ボランティア制度の利用や協力隊経験者の採用以外にも、協力隊員たちを応援する方法を見つけることができました。各国で協力隊員たちが支援する「一村一品運動」の商品を当社が輸入・販売するというものです。
 ネパールでは、同国産の農産物やその加工品の商品化に取り組むシニア海外ボランティアの方の活動現場を拝見させていただきました。その方が課題だとおっしゃっていたのが「販路の開拓」。タイで視察させていただいたのは、タイの東北地方の伝統工芸品であるタイシルクの商品開発に取り組む協力隊員ですが、やはり彼の抱える課題は、いかに魅力的な商品を開発し、販路を広げるかという点でした。
 私はタイで視察した隊員に、三重県で近年進められている産学官による連携活動の例を紹介しました。スリランカ原産の瓜「セイロン瓜」の生産を国内で広めるもので、セイロン瓜を使った料理のレシピの開発を起爆剤に盛り上がりを見せています。その手法がタイシルクにも生かせると考えたわけです。興味を持ったその協力隊員に依頼されたことから、私はふたたび彼の任地を訪れ、現地の大学の学長や県の開発局長にセイロン瓜の例を詳しく紹介して協力を求めるお手伝いをさせていただきました。
 協力隊員とのそうした交流を通じて着想したのが、協力隊員たちが各国で支援する「一村一品運動」の商品を、当社が日本での受け入れ窓口として輸入・卸販売することでした。フェアトレード商品を扱う国内の小売店からの要望を協力隊員へとつなぎ、「売れる商品」を開発するお手伝いもできるのではないかと考えています。現在、隊員からの申し込みは「育てる会」が窓口となって受け付ける体制を整えているところです。

 以上のように、ここ数年の間でにわかに協力隊員の応援に力を注ぐようになったわけですが、そのモチベーションの源となっているのは、彼らのひたむきな姿にほかなりません。活動現場の視察や帰国後の活動報告会などで彼らの情熱に接すると、私自身の気持ちが鼓舞される。今後もぜひ、協力隊員たちと互いに励まし合いながら進んでいく関係を続けていきたいと考えています。

PROFILE

株式会社TAKAI
創業:2000年
本社所在地:三重県津市藤方1679番地3
事業内容:自動車用品やアジア雑貨の輸入・卸販売など
HP:http://takai.asia
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