トキタ種苗株式会社海外展開に欠かせない協力隊の開拓精神

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国へのビジネス展開

当社は種苗業界の中でも早くから海外市場や海外の種子産地の開拓を目指していたこともあり、海外に強い人材が必要だと実感していました。事業を海外で展開する上で協力隊経験者はいい人材が揃っていそうだと思い、1973年以来、ずっと採用を継続しており、現在では20人の協力隊経験者が働いています。

 種苗会社というのは、開発や生産、販売、品質管理など、さまざまな業務セクションがあります。これまで採用したのは野菜や村落開発普及員など農業に直接関わりのある職種の人が多いのですが、農業系以外の職種の人にも適した業務があり、野球や理数科教師といった職種の人も採用しています。

 野菜隊員としてブータンで活動した協力隊経験を持つ社員は、当社の農場で品種改良に力を注ぎ、村落開発普及員としてチリで活動した協力隊経験を持つ社員は、中南米の国々に出張して、現地の種苗会社と種子生産の交渉などをしています。私がキューバに出張した際、彼に同行してもらったことがありますが、現地の人が舌を巻くほど上手にスペイン語を話していました。また、果樹隊員としてマラウイに派遣されていた協力隊経験を持つ社員には、インドにある当社の現地法人で働いてもらっています。協力隊の経験が現地の人と交渉したり、コミュニケーションをとったりする上で強みになっているのではないかと思います。そうしたこともあり、海外を担当する部門のスタッフは半分ほどが協力隊経験者です。

 協力隊経験者は現地の言葉ができるだけでなく、彼らの持つコネクションを通して、現地との深いつながりができたこともありました。例えば、ベトナムで活動していた協力隊経験者の社員がいた関係で、野菜の種子をベトナムに無償で援助したことがあります。すると当社の知名度が現地で上がったようで、現在ベトナムは、トン単位で注文が来るほど大きなマーケットとなりました。

 協力隊経験者の社員に共通して言える特徴は、開拓精神に富んでいるということ。海外での仕事や未知の分野、たとえば新しいビジネスなどに挑戦してやろうという気持ちが強い人が多いと思います。また、柔軟性や社会性があり、謙虚な人も多い。新たな業務になじむのも早いと思います。スキルの面でいえば、レポートをまとめるのが上手。当社では月に一度、業務報告書を提出する決まりがあるのですが、みんな起承転結をしっかり考えてまとめています。これは協力隊時代に鍛えられているところが大きいのでしょう。

 国内の種苗市場は小さくなっていますが、海外ではまだまだ開拓の可能性が十分にあります。当社では1990年に中国、1999年にインド、そして2008年にはイタリアに、2011年にはアメリカに現地法人を設立しました。そうした海外展開を中心に、物おじせずに道を切り開いていける協力隊経験者とともに、さまざまなことに挑戦していきたいです。

代表取締役会長
時田 勉さん

PROFILE

トキタ種苗株式会社
設立:1947年(個人営業としての創業は1917年)
所在地:埼玉県さいたま市見沼区中川1069
主な業務内容:農産種苗(野菜、花きなど)の品種開発、生産、販売及び輸出入や農園芸資材の開発、生産、販売など
従業員数:136名(2011年11月30日現在)
協力隊経験者数:20名(2011年11月30日現在)

HP:http://www.tokitaseed.co.jp/
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