株式会社ベガルタ仙台青年海外協力隊の協力を得て
エチオピアでサッカー教室を開催

  • グローバル人材の育成・確保
  • CSR活動
  • 開発途上国への物品提供
  • 広報協力

サッカー教室の会場は青年海外協力隊員の配属先校

当クラブが初めて青年海外協力隊と出逢ったのは2011年1月のことです。エチオピア支援を行っている東北のNPOの方に、現地の青年海外協力隊員の配属校を紹介いただき、私を含めた二人のコーチで初めてのエチオピアに向かいました。初の海外教室は、こうしてエチオピアの田舎の高校のグラウンドを借りて行われたのですが、高校生だけでなく多くの子どもたちが集まり、その学校で働いている青年海外協力隊員の協力も得て、大変盛り上がった教室となりました。その教室に参加した子どもたちや父兄である大人まで、今でも「ベガルタ」の名前を良く覚えてくれているそうで、当クラブにとっても大変印象に残る初の海外活動になりました。こうして青年海外協力隊の活動現場を初めて体験しました。

 2013年1月には同じエチオピアで当クラブのコーチ二人による2回目のサッカー教室を開催しています。このときにも、会場は青年海外協力隊員が配属されている高校のグラウンドをお借りし、1回目と同様に青年海外協力隊員の方に教室運営を手伝っていただきました。

 こういった形で海外でサッカー教室を開催しましたが、さまざまなことを吸収できた機会だったと感じています。たとえば、「日本」をあらためて見つめ直すことができた点。日本の教育がいかにすばらしいか、日本人がいかに規律正しいかなどについて再認識できましたし、グラウンドやユニフォームなどサッカーを行う環境について日本がいかに恵まれ、安全が確保されているかを知りました。また、言葉も文化も違う者どうしが、初対面であるにもかかわらず、サッカーを通じてすぐに打ち解けられたという体験によって、スポーツが持つ力をあらためて実感することもできました。青年海外協力隊の皆さんも、活動のなかでこうした学びをたくさん得ていらっしゃるのだと思います。

 サッカー教室の開催と合わせて、小学校教諭など教育分野で活動している青年海外協力隊員の活動を拝見させていただくこともできました。私自身は初めて途上国を訪れたのですが、モノがないという現実の重さを実感すると同時に、そういう状況で日本人が活動する難しさを理解することができました。青年海外協力隊員の方々は、現地の人たちのなかにリーダーとなる人が育ち、彼らが自立することを目指して活動されていることと思います。しかし、実は「リーダーを育てる」ということは、単に技術を教えることよりずっと難しいこと。それを途上国の状況のなかで目指すというのは、大変な仕事だと思います。そんななかでも、青年海外協力隊員の方々はタフに、現地に順応して精力的に活動していらっしゃる。その活動ぶりや人柄こそが、現地の人たちの日本に対する印象を良いものにしているのだと思います。

育成部 管理課長
井上 和徳さん

ベガルタ仙台のホームゲームでは青年海外協力隊事業を広報するブースを設置

スポーツが持つ力を重視した国際協力活動を

ベガルタ仙台が所属するJリーグには、「国際社会における交流および親善への貢献」という理念があります。そうしたなか、ようやく当クラブにとって初めての国際協力活動となるエチオピアの構想がスタートしたのは2009年。当時、当クラブで地域貢献活動の推進を担当していた齋藤美和子職員(現在は地域連携部に所属)のアイデアによるものでした。サッカー教室は当クラブにとって、国際協力活動を展開していく足がかりとなり、たとえば2011年4月には、ベガルタ仙台のホームゲームでJICA東北に青年海外協力隊事業などJICA事業の広報をするブースを提供しました。さきほど申し上げたとおり、エチオピアで自らサッカー教室を開催したことにより、青年海外協力隊というのはさまざまな気づきが得られる経験であるということを実感できました。

 また、派遣中の青年海外協力隊員から「世界の笑顔のために」プログラムを通じてリクエストがあったサッカーユニフォームやビブスなどを提供させていただきました。スポーツを通した国際貢献の一環として、当クラブからお送りした用具が世界のどこかのサッカー少年を喜ばせてくれるものと楽しみにしています。

 国内に話を移しますが、当クラブは、東日本大震災の支援事業として、被災地の子どもたちを対象としたサッカー教室の開催なども積極的に行っています。そのなかで、子どもも大人も関係なく、スポーツが人の笑顔を引き出せるものであるということが明らかになっています。その経験を踏まえ、当クラブのコーチがエチオピアのサッカー教室で目指してきたのは、テクニックの向上だけでなく、現地の人たちの笑顔を引き出すこと。今後もスポーツが持つ力を重視する姿勢を持ちながら、JICAのご協力によって敷いていただいた「スポーツを通じた国際協力」の道を、今後もできる限りつないでいきたいと考えています。

※ 開発途上国で必要とされている教育、福祉、スポーツ、文化などの関連物品について、ご提供くださる方々を日本国内で募集し、JICAが派遣中のボランティアを通じ、世界各地へ届けるプログラム。国際協力への参加を身近に感じていただくこと、および途上国への貢献を目的に、平成15年度から開始。

アジスアベバで行ったサッカー教室

PROFILE

株式会社ベガルタ仙台
設立:1994年
本社所在地:宮城県仙台市青葉区本町3-6-16 漁信基ビル4F
事業内容:プロサッカークラブの運営

HP:http://www.vegalta.co.jp/
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