株式会社ボイス「海外の人に好かれる力」は、
協力隊経験で培われる

  • グローバル人材の育成・確保

当社は、日本のテレビ番組などの海外撮影のコーディネートを請け負う会社です。具体的には、取材対象に関する情報の収集やドライバーの手配など、撮影の準備作業を日本国内で行う一方、海外では撮影クルーに同行して、彼らと現地の取材対象者やドライバー、ガイド、現地語通訳などとの間の調整役を担います。

 1996年に私が当社を創業して以来、 30カ国以上で仕事をしてきましたが、その大半はアフリカの国です。撮影に行きたいマスメディアは多いのに、現地に信頼できるコーディネーターが少ないというのが当時のアフリカの状況。私自身、アフリカで働いた経験があったことから、もっぱらそうした“すき間”のニーズに応えるというスタンスでやってきました。近年は、クライアントからの要望が増えてきたため、南米や欧州、アジアなどへも守備範囲を広げ始めています。

 社員には海外経験がある人ばかりを雇ってきましたが、JICAボランティア経験者を採用したのは2009年が初めてでした。ケニアで協力隊員として活動した男性です。採用した当時、協力隊でどのような力が身に付くのかについて私にはっきりとした認識がなく、むしろ彼のまじめな人柄を買っての採用でした。しかし、実際に働いてもらうと、協力隊経験で培われたであろう力が見えてきました。「現地の人に好かれる力」です。

 この力は、当社の業務ではとても重要なものです。日本のテレビ業界の人たちは「良い番組をつくるためには手段を選ばない」というところがあり、時間など気にせずによく働く。そうすると、撮影のために雇った現地のスタッフにも、彼らが経験したことのないような激務をお願いしなければならないわけです。撮影クルーから「夜中まで撮影したい」という要望が出れば、現地スタッフにも付き合っていただかなければならない。私はこれまでの経験から、外国の人と一緒に働くうえで最終的に必要なのが、彼らに好かれ、「こいつのためなら」と思ってもらえることだと感じています。無理なお願いをするときに、たとえ「追加料金を払う」と言っても、こちらを好きでなければきっぱり断ってきます。

 「現地の人に好かれる」というのは、教わればできるようになるわけではなく、実際に彼らと深く付き合い、彼らとうまくやっていく方法を見つけるために試行錯誤するなかで初めてその力が身に付くものでしょう。JICAボランティアの皆さんも、現地の人との人間関係でもがき苦しんでいることと思います。しかし、そういう経験は決して無駄にはなりません。

 今後もぜひ、その経験を生かしながら活躍していただきたいと思います。

代表取締役
川村 誠さん

PROFILE

株式会社ボイス
設立:1998年(創業は96年)
所在地:東京都中央区日本橋中洲11-14ニックハイム日本橋704
事業内容:海外におけるテレビ番組・新聞・雑誌の取材制作やCF制作のコーディネートなど
従業員数:6名
協力隊経験者数:2名
HP:http://www.voice.ne.jp/
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