プロジェクトのパイロットフェーズを実施しました

2023年5月~8月にかけて行政文書・教材の使いやすさや有効性を検証するためパイロットフェーズを実施しました。ダカール州、ティエス州で選定した7養成校、13保健医療施設を対象に、研修、スーパービジョン、評価など一連の活動を実施しました。

パイロットフェーズ開始時に、養成校や保健医療施設の臨地実習指導者を対象とした研修を実施しました。研修はプロジェクトが作成支援した行政文書・教材を用いて行われ、教室での座学(3日間)と保健医療施設での実習(2日間)で構成されました。研修講師はカウンターパートである保健省研修課や私立保健人材養成校組合、州保健研修センターの職員などが務め、合計73人の教員や臨地実習指導者に対して研修を実施しました。研修には講義のほか、教材の使用方法の演習や指導のロールプレイなど多様な手法が用いられ、参加者の積極的な参加が見られました。

「実習冊子」についての講義では、学びを深めるためにグループワークが行われた。(ダカール州)

「実習冊子」についての講義では、学びを深めるためにグループワークが行われた。(ダカール州)

学生への実習指導を学ぶために、参加者は実際に保健施設で学生への指導を行った。(ティエス州・アネン保健ポスト)

学生への実習指導を学ぶために、参加者は実際に保健施設で学生への指導を行った。(ティエス州・アネン保健ポスト)

各研修から2週間後には、研修参加者の所属する養成校や保健医療施設を実際に訪問してフォローアップを実施しました。研修内容が研修を受けていない同僚に対して共有されているか、臨地実習の手順の導入がされているか、といった点を確認し、必要に応じて助言を行いました。フォローアップで得た情報は今後への提案事項として取りまとめました。

パイロットフェーズの終盤には、評価ミッションを実施しました。研修で試運用した行政文書・教材や指導方法が現場の実践に生かされているかを確認し、また学生の学習効果への影響を評価することを目的に行いました。この評価は、パイロット対象の養成校の教員や学生、保健医療施設の実習指導者に対するアンケート、インタビュー、フォーカスグループディスカッションを通じて行われました。

学生を対象に実施したフォーカスグループディスカッションでは、教員の意見とは異なる視点の課題を抽出することができた(ティエス州・INFOSITS)

学生を対象に実施したフォーカスグループディスカッションでは、教員の意見とは異なる視点の課題を抽出することができた(ティエス州・INFOSITS)

評価ミッションの最終日には、まとめの会を開き、結果の共有と課題や今後の方針について話し合った。(ダカール州・保健省)

評価ミッションの最終日には、まとめの会を開き、結果の共有と課題や今後の方針について話し合った。(ダカール州・保健省)

パイロットフェーズの評価の結果、新しい行政文書・教材に対する現場の反応は概ね肯定的でしたが、一部の施設では導入が進んでいなかったり、行政文書・教材の使用方法が正しくなかったりするなど、いくつかの課題が見られました。今後、関係者に評価の結果を共有し、行政文書・教材が現場でより使いやすいように、文書の改訂や研修の方法の改善について協議し、文書の最終化を進めていく予定です。