州保健局対象の5S-KAIZE-TQM手法に関する能力強化研修開催

2023年11月6日から10日まで、マニカランド州ムタレ市にて、州保健局向けの5S-KAIZEN-TQM手法に関する能力強化研修を開催しました。全国の州保健局(全10機関)から計21名の職員が参加し、5S-KAIZEN-TQM手法に関するモニタリング・評価(以下、M&E)活動の知識や実施能力の強化を支援しました。

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5S-KAIZEN-TQM手法の実践に関するM&Eの実地演習の様子(ビクトリア・チテポ州病院にて)

研修概要

今回の研修では、州保健局がプロジェクトの対象病院を支援して医療現場の質改善活動をさらに推進するための州保健局の役割と責任に関する理解を深め、各対象病院に対するM&Eを効果的に実施するために必要な知識や能力を向上させることを目的として実施しましました。研修では、座学・実習・討論に加え、研修の開催地ムタレ市にあるビクトリア・チテポ州病院でのM&Eの実地演習も取り入れました。参加者は、実際のM&Eの手順に沿って、座学で学んだM&Eツールを活用しながら、医療現場の5S実践状況の確認や評価、結果の取りまとめ、「模擬フィードバックセッション(対象病院に対するM&E結果の共有)」を通して、M&Eに必要なスキルの習得に励んでいる様子がうかがえました。

主な研修項目

  • ジンバブエの中央病院・州病院における最新の外部M&Eの結果
  • 質改善に向けたポジティブマインドセット
  • 病院における質と患者安全に関する基本概念
  • リーダーシップとチームワーク
  • 5S-KAIZEN-TQMの基本概念
  • 5Sと効果的な実践のためのツール、5S実践演習
  • 医療施設における質管理の実施体制とPHEの役割・責任
  • 質改善活動におけるコーチング技術
  • 変化に対する抵抗勢力への対応
  • 5S-KAIZEN-TQMのM&Eとそのツール
  • M&E実地演習(現場観察、技術指導、結果の取りまとめ、発表)
  • アクションプランの作成と発表

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質改善活動を進めるための「ポジティブマインドセット」に関する講義をするQAPS局員

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5S-KAIZEN-TQM手法の基本概念について説明するQAPS副局長

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病院現場を想定した5S演習にて、実践方法について助言する宮本専門家

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質管理に関する実施体制について講義するセイント・リュークス病院長

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病院での質改善活動の実施体制について実例を基に発表するイングチェニ中央病院長

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M&Eツールの具体的な使用方法について説明する紺野専門家

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ビクトリア・チテポ州病院にてM&Eの実地練習を行う参加者たち

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「模擬フィードバックセッション」にてM&E結果を発表する参加者(ハラレ州保健局員)

研修の成果・評価

本研修では、研修の効果を検証するため、プレテストとポストテストを実施しました。それぞれの結果を比較すると、下図にも示す通り、研修後で平均点が向上しており(プレテスト:75.1点、ポストテスト:81.7点)、研修による参加者の知識向上がみられました。

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加えて、最終日に実施した参加者による研修プログラムの評価では、研修全体の満足度について、回答者(注1)の80%が「非常に満足」、残り20%が「満足」と答えており、全体として満足度の高い研修を実施することができました。


(注1)参加者21名のうち20名が回答。

研修参加者は、最終日に本研修の学びを基に、各州保健局で取り組むべき5S活動と管轄域内の病院に対する外部M&Eの実施等に関するアクションプラン案を作成し、発表しました。発表後、計画内容をさらによくするための助言を、プロジェクトや研修ファシリテーターから提供しました。今後、プロジェクトは、今後実施する予定の年次報告会合等で彼らのアクションプランの進捗を確認します。また、将来の5S-KAIZEN-TQM手法の実践の継続性を少しでも向上させるために、各州保健局による対象病院への支援体制の強化にも取り組んでいきます。

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南マタベレランド州保健局によるアクションプラン案の発表