2023年度の外部モニタリング・評価を対象病院にて実施しました

2023年9月から10月にかけて、プロジェクトの対象病院を巡回し、5S-KAIZEN-TQM手法を活用した医療サービスの質改善の取り組みに関するモニタリング・評価を実施しました。保健・児童福祉省(以下、「保健省」)の質保証・患者安全局(以下、「QAPS局」)や州保健局、日本人専門家で「モニタリング評価チーム」を組んで、本活動を実施しました。
各施設において訪問した5~6部署では5S活動のグッドプラクティス(好事例)が観察され、対象病院が参加した研修(注1、2)の後の取り組みが成果につながっている病院がありました。また、巡回訪問中に明らかになった現状や課題に対しては、モニタリング評価チームから、技術的な助言や改善策の提案をしました。


(注1)カイゼン研修(参照: 第1回カイゼン研修開催(2023年6月26日)
(注2)基礎研修(参照: 基礎研修が開催されました(2023年7月3日~6日)

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ビンドゥラ州病院の訪問部署にて5S実施方法に関する助言を行う宮本専門家

外部M&S実施概要

  • 目的:各対象病院の5S-KAIZEN-TQM手法を活用した医療サービスの質を向上させるための活動について、グッドプラクティス(好事例)や課題を確認し、技術的な支援を行うこと。
  • 期間:2023年9月18日~10月25日
  • 実施者:保健省QAPS局、州保健局、日本人専門家
  • 対象:6中央病院と8州病院の合計14病院
  • 活動内容:病院管理チームと質管理チーム(QIT)へのインタビュー、現場視察、病院への結果報告と改善案の提案など

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マロンデラ州病院のQITや病院管理チームから質改善活動の現状と課題を聞き取る紺野専門家(写真左)

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イングチェニ中央病院の訪問部署にて、医薬品管理について助言するQAPS局員(写真右)

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グワンダ州病院の訪問部署にて、5Sの実践方法に関して助言する州保健局職員(写真右)

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チトゥンギザ中央病院のフィードバックセッションにて、明らかになった5S活動の実施状況や課題を発表するQAPS職員(写真右)

外部モニタリング・評価の結果概要と今後

各対象病院の進捗に差はあるものの、すべての病院で5S活動が実施されており、以下写真のようなグッドプラクティスを確認できました。

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医療廃棄物の分別に関するわかりやすいインストラクションを掲示する等、適正な分別を促す環境が整備されている(マロンデラ州病院)

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再利用可能な業務分担表の導入により、毎日書類を作成する負担が軽減された(マシンゴ州病院)

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5Sの導入により、薬や消耗品の管理が改善された(グウェル州病院)

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5Sの導入により文書管理が改善された(ムピロ中央病院)

QCストーリーによるカイゼン活動に着手していた病院は5病院あり、着実にカイゼン活動を進めている病院や部署が増えていることが確認できました。

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一般外来の「患者記録の記入状況が改善される」というテーマのQCストーリーによるカイゼン活動の進捗状況を説明するQITメンバー(チノイ州病院)

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救急外来の「患者記録の記入状況が改善される」というテーマのQCストーリーによるカイゼン活動の進捗記録(ヴィクトリア・チテポ州病院)

一方、サービス提供方法や提供環境に関する以下のような状況も観察されました。

  • 救急救命ケアに重要な医療機器や物品が整理・整頓して保管されておらず、必要な時にスムーズな使用ができない。
  • ラベルを貼って医療機器等必要な物の配置を決定しても、ラベルの通りに保管されておらず、探す手間や時間がかかってしまう(このことは、患者へのサービス提供までの時間や職員への作業負担につながります)。
  • 医療廃棄物の分別が適正にされておらず、廃棄物を回収する職員にとって感染やケガのリスクがある。加えて、廃棄物の処理費用がかさむ可能性がある。

これらについては、今後改善すべき点として、部署訪問時やフィードバックセッションにて言及し、具体的な改善策も提案しました。

今回モニタリング・評価を通して見つかった課題を対象病院が解決・対応していけるよう、年次報告会合や各種研修、外部モニタリング・評価活動等を通し、プロジェクトメンバー一丸となって引き続き支援してきたいと思います。