ルワンダからカウンターパート4名が来日し、ICT活用教育や教員養成の経験を学ぶ

2023年10月16日~10月27日に、本邦研修のためルワンダ教育委員会(REB)のカウンターパート4名(教育ICT部局2名、教師開発管理局2名)が来日し、東京を基点に日本のICT活用教育や教員養成について学びました。

本邦研修の目的と訪問先

本研修の目的は(1)教育行政による学校教育へのICT利活用の推進、(2)算数・理科教育へのICT利活用、(3)日本の教員養成課程の取り組み、(4)民間企業の公教育分野での事業展開について、各分野に関連する講義や視察を通じて日本の事例を理解し、ルワンダの教育行政への示唆を得ることです。これらを通じて、カウンターパートがルワンダのプロジェクト活動や教員養成校(TTC)に適用可能な教訓を得たり、帰国後のアクションプランを作成したりすることを成果目標としました。

訪問先は多岐にわたり、省庁、経済団体、教育委員会、大学、学校、教育に関わる民間企業などです。研修の初めには日本人専門家が日本の教員養成制度や教育ICT分野の概略をブリーフィングし、カウンターパートに基礎的な情報を理解してもらいました。

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専門家によるブリーフィング

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小学校での授業視察

訪問先での学び

カウンターパートは2週間の研修期間中に多くの機関・団体・学校を訪問しました。どの訪問先でも、カウンターパートはたくさん質問をし、学びを深めていました。以下は訪問先の分類ごとの概要です。

(1)省庁(文部科学省、経済産業省)
小中学校の児童生徒の一人一台端末環境を実現した日本のGIGAスクール構想を中心に講義を受けました。ハード・ソフト・指導面での体制の整備、ICT活用がもたらす学びの変容、今後の教育政策の方向性、省庁間や地方自治体との連携等について学びました。

(2)経済団体(日本経済団体連合会)
教育DX(デジタルトランスフォーメーション)・自律的な学びの実現に向けた取り組み、ICTを活用した教育の改善に向けて日本の産業界が果たす役割について理解を深めました。
データ活用におけるセキュリティの課題、他国の経済産業界(教育分野)との連携についても伺いました。

(3)教育委員会(東京都教育庁、群馬県吉岡町教育委員会)
教育委員会の役割、教育現場でICT活用を促進するための政策・事業、計画についての講義を受けました。各地域の教育現場の現状や課題に応じた取り組みを知ることができました。

(4)大学(東京学芸大学、お茶の水女子大学、放送大学)
教員養成課程のある東京学芸大学、お茶の水女子大学では教員養成課程のカリキュラムや内容、教育実習の内容や附属校との連携について学びました。質疑では教育実習生の評価方法について理解を深めました。また放送大学ではLMS(学習管理システム)を活用したeラーニングの運用・管理、大学におけるデジタルコンテンツの開発について伺いました。

(5)学校(東京学芸大学附属小金井小学校、お茶の水女子大学附属小学校、東京都立三鷹中等教育学校、群馬県吉岡町立駒寄小学校)
ICTを活用した算数や理科の授業視察を中心に、教員との懇談、学校のICT活用計画に関する講義を通じて現場での実践に対する理解を深めました。ICTの活用場面や頻度は様々でしたが、その実態を把握できただけでなく、省庁・教育委員会の政策・事業とのつながりも実感することができました。

(6)教育に関わる民間企業(Google、内田洋行、学校図書)
Google及び内田洋行からは、GIGAスクール構想の下での学校との協働(ICT活用を支援するプラットフォームや機器の開発・販売)、省庁・教育委員会等との連携について伺いました。また、学校図書からはデジタル教科書の実演と教員向け研修の概要に関する講義を受けました。

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小学校での授業視察

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eラーニングコンテンツ開発の体験

研修の成果と今後のアクションプラン

研修の終盤には、2週間での学びを見える化し、整理するため、日本人専門家と共にオンラインツールを使ったワークショップを行いました。カウンターパートが「学習環境(回線、端末、プラットフォーム、デジタルコンテンツ)」「政策」「授業実践」の分類ごとに学んだことを付箋に書き出し、電子付せんに書き出します。次にそれらを「ルワンダで取り組むべき内容」「ルワンダでは実践が難しい内容」「ルワンダで既に実施できている内容」「有用だがルワンダの文脈にはそぐわない内容」にさらに分けていきます。この作業により、ルワンダで実践すべき教訓が特定され、カウンターパートの動機づけにもつながりました。

これを基に、さらに各カウンターパートのアクションプランを作成しました。プロジェクトメンバーの立場として、あるいはREB職員として、プロジェクト活動内容及びそれを取り巻く環境整備に関して自身がいつ何を行うか、具体的に記載していきました。この作業でも、カウンターパートは日本人専門家との対話を通じて、活動の内容や意義をより深く理解し、日本の教育現場の取り組みとも結びつけることができました。アクションプランは最終日にJICAで発表されました。

研修終了時に実施した研修達成度に関するアンケートでは、カウンターパートの自己評価は概ね高く、期待していた成果を達成できたと考えられます。帰国後は日本での学びを活かしながらプロジェクトの成果発現に向け、日本人専門家と共に取り組んでいます。

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専門家による研修の振り返り

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ワークショップで分類した研修での学び