第2回・第3回障害物調査の実施

2015年5月14日

プロジェクトの成果2に掲げる「DCAのPBN飛行方式の導入・実施に係る能力が向上する」ための活動として、本年1月に首都のネピドー国際空港及びヘホー空港で障害物調査を実施しました(詳しくはこちら)。今回、第2回として、3月初旬(2月28日〜3月2日)にバガン空港、第3回として、4月初旬(4月4日〜6日)にタチレク空港で調査を実施しました。

バガン空港は、最近注目されている古都バガンのゲートウェイであり、利用客(観光客)が急増している空港です。最近は日本からの観光ツアーも多く組まれるようになりました。バガンは、世界三大仏教遺跡の1つとも言われており、その名の通り数千にも及ぶ様々な形のパゴダを歴史の変遷とともに見ることができます。ミャンマーでは、観光も重要な経済活動の1つであるため、急速に成長する航空交通に対応できるよう、一刻も早いPBN経路の導入を目指しています。

【画像】

パゴダと気球(オールドバガン)

バガン空港は、歴史的建造物の多いオールドバガンの近くにあります。オールドバガンでは、毎年10月〜3月にかけて観光用に気球が運行され、気球の運行時間、運行経路などに配慮して新航空路の設計を行うことが必要です。

調査では、バガン空港長へのインタビュー、気球の運行コースのチェック、気球パイロットとのインタビューなどを通して、気球の運行状況を確認しました。また、空港周辺における障害物(樹木、建物など)のチェックや、進入方向にある山の頂上にあるパゴダなどの確認を行いました。

【画像】

バガン空港長へ障害物を説明する方式設計者

【画像】

最終進入経路上にある障害物(樹木)

タチレク空港は、隣国タイとの国境近くのタチレク市にある空港です。タチレク市はタイとの貿易で栄えていて、ミャンマー国ではありますが、タイ語が通じる、タイ国の通貨バーツが流通する町です。タチレク空港は、ミャンマー国で5番目に混み合う空港で、年間25万人(注)もの旅客が利用しています。今後もタイとの貿易を通して、着実に需要が伸びていくと考えられています。

タチレク空港は、周辺を高い山々に囲まれており、加えてお昼頃までは濃霧で覆われ、視程が1km以下になることも少なくありません。そのため、VFR(有視界飛行)による運行では午後の限られた時間にしか運行ができず、視程の低い状況でも安全に着陸できるPBN経路の導入が求められています。また、一方向での着陸及び出発を行う滑走路の運用を行っており、実際の運用状況を反映した経路設定が必要です。

【画像】

空港周辺の様子(視程1km)午前中

【画像】

空港近くにあるパゴダ

タチレク空港のミスト・アプローチ(着陸復行)は国境を超えてタイ国内に設定されているため、調査ではタイ国へ入国し、空港周辺(着陸復行コースも含む)の障害物を確認しました。また、空港近くの高台にあるパゴダの調査を行うと同時に、空港周辺の状況も確認しました。調査中はタチレク空港周辺に濃い霧が発生しており、視程がクリアになることがなく、非常に運行の難しい空港であることがわかりました。高い山々に囲まれていることから、RNAV-1のみの経路設定は難しく、計器着陸装置(ILS)と併用することで、航空機がどの程度まで滑走路に近づけるか、といった検討をカウンタパートと一緒に始めています。

(注)ミャンマー民間航空局資料による(DCA:Department of Civil Aviation)