JICA協力隊の人とシゴト
吉田 吏沙(よしだ りさ)さん

吉田 よしだ  吏沙りささん

職  種
日本語教師(現:日本語教育)
派遣国
中華人民共和国
派遣期間
2011年10月~2013年10月
  • 社会貢献キャリア
  • # 新卒

生徒が本当に日本語で
表現したいことは何なのか?
よく聞き、繰り返すことで
見極める。

2015.03

応募のきっかけ

海外で日本語教師になりたい。
夢を実現するために
JICA海外協力隊へ参加。

進路について考えていた大学院時代。海外で日本語教師になりたいという夢は高校生のころから抱き続けていましたが、その夢を実現させる方法は明確になっていませんでした。当時、中国の教育機関から既に内定が出ていましたが、そこで働くことを決めきれずにいました。そんなとき、電車の吊り広告で青年海外協力隊を募集していることを知り、説明会に参加してみることに。そこで、隊員をサポートする制度がしっかりしていることを知りました。JICA海外協力隊への参加を決意したのは、その安心感からです。

吉田 吏沙さん

現地での活動

日本語だけでなく、
日本の文化も教えることで
学生が楽しく学べる授業を行った。

赴任先は3年制大学のビジネス日本語学科。日本語を習得し、将来日本で就職したり、日本を相手に仕事ができる人材を育てたりすることを目的とする学科です。私は1〜3年生の日本語の授業や、日本の歴史や地理を教える日本概況授業、日本文化活動など、さまざまな授業を担当しました。
 大学のある地域は日本人が少なく、学生たちが日本を直に知る機会はなかなかありません。大学でも日本人教師は私1人のみ。学生にとって私は普段めったに接することのない、日本語のネイティブスピーカーでした。そこで、教科書から離れた授業を行う実践週間を利用して、さまざまな日本文化を紹介することに。学生に何を学びたいかを聞くと、茶道や華道といった日本の伝統的文化のほか、メイクアップ方法を知りたいという要望もありました。また、日本で流行っていたアイドルのダンスや、よさこいソーランを教えたり、かるた大会をやったりと、日本について楽しく学んでいける授業も行いました。
 そのような授業が功を奏したのか、日本語のスピーチコンテストが目前に迫ると、どの学生も普段以上に熱心に日本語を練習していました。当日は皆、緊張しながらも立派にスピーチを行うことができたのです。
 ほかにも、印象に残っている出来事があります。中国での最後の夏休みに、列車で旅に出掛けたときのこと。寝台列車の自分のコンパートメントに着き、ベッドを見ると、なぜか既に別の誰かが。困惑する私に、そこにいた女性が早口で話し掛けてきました。「もっとゆっくり話して!私は日本人だからそんなに早口では分からない」と中国語で伝えると、その女性はハッとしたような表情で「日本人ですか?」と日本語で問いかけてきたのです。よくよく聞いてみると彼女の前職は日本語教師だったそうで、そのまま意気投合し、彼女とは今でもメールで連絡を取り合っています。

授業風景

帰国後のキャリア

帰国後、日本語の語学教材などを
扱う出版社に就職。
協力隊経験を生かせている現状に、
やりがいを感じる。

帰国後は、一般企業に就職して知見を広めたいと考えていました。しかしJICAの進路相談カウンセラーに相談したところ、「協力隊の経験を就職活動に生かさないともったいない!自信をもって挑戦しなさい」と激励され、これを機に自分の専門である日本語教育に関係した企業への就職活動に切り替えました。その結果、日本語学習者のための教科書や語学教材などを扱う出版社から内定をいただくことができました。
 現在は営業部に所属し、日本語学校などの教育機関と頻繁にやりとりしています。現場の教師の要望や、生徒の学習の様子などをヒアリングする際は、中国での日本語教師経験があったからこそ深く共感したり、的確に提案できたりすることも多いです。まさに協力隊経験が100%生かせる仕事に就くことができ、やりがいを感じながら日々を過ごしています。

JICA海外協力隊で得たもの

学生たちが成長したように、私も人の話をよく聞くよう心掛けるようになりました。日本語として正しい表現ができていても、それが必ずしも本当に伝えたいこととイコールでない場合もあります。時と場合によって相手に伝わるニュアンスやイメージは異なり、その食い違いをなくすため、相手が言った言葉を必ず自分の言葉に言い換えて、理解できているかどうか確認するようにしていました。このしっかり聞くという姿勢は、外国語学習のみならず、コミュニケーションの基本として大切だと思います。

“聞く”ことの大切さ

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

私は帰国後の就職活動がなかなか実を結ばず辛い思いもしましたが、活動を続ける中で、だんだんと自分はやはり「日本語教育に関わる仕事をしたい」と心のどこかで思っていることに気が付きました。興味があれば、たとえ辛いことがあってもそれをバネに乗り越えられます。世界で働いてみたい、ボランティア をやってみたいと思う方は、ぜひ前向きに挑戦してみてください!

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