JICA協力隊の人とシゴト
松下 優(まつした ゆう)さん

松下 まつした ゆうさん

職  種
青少年活動/コミュニティ開発
派遣国
ウガンダ
派遣期間
2008年8月~2008年9月
2012年9月~2014年9月
  • スタートアップキャリア
  • # 起業 # 民間企業 # 学生 # 短期 # リピーター

アフリカをこの目で見てみたいという興味で参加したJICA海外協力隊。2度のウガンダ赴任で人生観が変わり、現地の
“生活”を支えるために起業。

2016.06

応募のきっかけ

「行くなら今しかない!」と、3年間の社会経験を経て長期協力隊に参加。

中学生のとき何気なく見たCMの「アフリカには学校給食がありません」というメッセージが、心に引っ掛かりました。貧しい国の人たちを放っておけないと、子ども心に感じていたのかも知れません。アフリカの実情を自分の目で見てみたいと思い、大学4年の夏休みに、短期のJICA海外協力隊へ参加。ウガンダに拠点を置くNGO団体で、エイズで親を亡くした子どもたちにシュシュやブックカバー作りを教えました。最初は現地語が分からず苦労しましたが、作業の合間に歌を歌ったりして次第に打ち解けることができるように。1ヵ月はあっという間に過ぎ、帰国し卒業した私は、地元静岡にできたばかりの富士山静岡空港に就職しました。
 就職してからも、「いつか長期でまた協力隊に参加しよう」という思いを抱き続けていました。1ヵ月という短期では、やり残したと悔しく感じることがあったためです。働き始めて3年が経ったころ、上司からは慰留されましたが、再び協力隊に応募。「行くなら今しかない!」という固い決意がありました。

松下 優さん

現地での活動

稲作技術を教えるために
県庁農業課へ赴任。
失敗の連続だった稲作指導と、
そこで得たかけがえのない仲間。

赴任先は、ウガンダ東部にあるクミ県庁の農業課。アフリカの痩せた土壌でも育つ「ネリカ米」の陸稲栽培を普及させることが私の主な活動でした。ウガンダの食糧自給率は、アフリカの中では高い方です。それでも主食はトウモロコシ粉や雑穀、イモなどが中心で、栄養が偏っている傾向にありました。もし米が普及して主食のバラエティが増えれば、栄養バランスを改善できますし、新たな収入源を生み出すこともできます。
 気候の温暖なウガンダでは、ネリカ米は約4ヵ月で収穫が可能。さっそく現地の方々に声を掛け、集まってくれた3人と米作りをスタートさせましたが、活動地域が砂漠に近い場所だったこともあり、1期目に植えた米はほぼ全滅、場所を変えて再挑戦した2期目もやはりダメでした。心が折れそうになった3期目、ようやく念願のネリカ米を収穫することができました。
 結果を出した後、自分の活動の意義を実感できるうれしいこともありました。ワークショップで苦楽を共にしてきたロバートという男性が多くの農家を回り、ネリカ米の普及を積極的に行い、徐々にではありますが稲作が広まっていったのです。帰国前、ロバートから「君は一時的に助けてくれるお金ではなく、一生助けてくれる技術をくれたんだ」と言われたときは本当に嬉しかったです。
 米作りの傍ら、短期隊員のときの経験を生かして「一村一品」運動にも関わりました。その土地ならではの材料から特産品を生み出し、売り上げを地域の財源に結び付けるこの運動、私の任地では、いらなくなった靴下で作った人形「ソックスモンキー」やキーホルダーをシングルマザーや孤児院の女性スタッフたちと一緒に制作しました。商品を売って得た収益は全て彼女たちの生活支援に充てています。

人懐っこい子どもたち バイクで回った農家訪問

帰国後のキャリア

帰国後にフェアトレードショップに
就職し、その後起業。
今も“あの言葉”が原動力になっている。

帰国後、私にできる範囲のことでアフリカの人たちを支援できる方法はないかと模索した結果、とあるフェアトレード企業に入りました。そこで経営のノウハウや、生産者と販売者のコミュニケーションの取り方などを改めて学んだ後、独立してクラフト製造・販売会社を設立。現在は『afuri』という通販サイトで、ケニアレザーとマサイの伝統的な布を使ったバッグや小物などを販売しています。今はデザインの学校に通っているのですが、いずれは『afuri』のオリジナルデザインを考案して、ケニアで製品化してもらうのが夢。日本にいながら、ひとりでも多くの現地の方に雇用の機会を与えられたらと考えています。原動力は、ロバートから言われたあの言葉。いつも私の心の支えになっています。

JICA海外協力隊で得たもの

目の前にあるひとつひとつのことをクリアしていくという2年間の生活で、物の見方や価値観も大きく変わり、夢に向かってどんどんつき進めるたくましい人間になれたと実感しています。

夢に向かって進む力

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

「今の自分に満足できない」「何か新しいことをしたい」と思っている方は、JICA海外協力隊に参加するべきだと思います。子どものころは親も心配するほどの引っ込み思案で、大人になってからもあまり自分に自信がありませんでしたが、現地でクラフト指導をしながら慣れない飛び込み営業をするうちに、気が付くと積極的な性格に変わっていました。会社を立ち上げて間もないですが、小さな問題で悩むことなく日々前進しています。

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