JICA協力隊の人とシゴト
川音 洋平(かわおと ようへい)さん

川音 かわおと  洋平ようへいさん

職  種
理数科教師(現:理科教育・数学教育)
派遣国
タンザニア
派遣期間
2011年3月~2013年3月
  • スタートアップキャリア
  • # 教師 # 経験を生かす # 新卒

同世代の人たちよりも
回り道をしたけれども、
今の自分があるのは、
その回り道のおかげです。

2016.09

応募のきっかけ

きっかけは電車内の募集広告。
説明会に参加し、即座に応募を決意。

JICA海外協力隊を知ったきっかけは、電車内の募集広告です。アメリカの大学で自然科学を専攻し、卒業後に日本に帰ってきたのですが、専門分野を生かせるような就職先がなかなか見つからず、もやもやしていました。その募集広告には、理数科教師が特に足りていないと書かれていたので、「とりあえず説明会だけでも行ってみようかな」と興味本位で参加しました。説明会では、理数科教師としてアフリカのモザンビークに行っていた方が、体験談を話してくれました。活動内容が充実していただけでなく、現地の料理もおいしく、海沿いなので魚やエビをいつも食べられて、インターネット環境も快適で、新しい言語にも挑戦できると聞き、すっかりその気に。それまで教員になろうと思ったこともなかったのに、あまり深く考えず、即座に応募を決意してしまいました。
 私は行き当たりばったりの性格なので、赴任先がタンザニアに決まってしばらく経っても、タンザニアのことや活動内容についてあまり調べようとしませんでした。派遣前訓練に入り、いろんなことを調べ出してようやく、前任者の苦労や、現地で求められていることのレベルの高さを知り、このまま行ってもいいのだろうかととても不安に……。結局、不安を拭きれないまま出発することになり、見通しの甘さを後々痛感することになります。

生徒を相手に板書を用いて授業している川音さん

現地での活動

大勢の生徒を前に
言葉の壁が立ちはだかるなか、
試行錯誤を繰り返し、奮闘した2年間。

活動先は全寮制の男子高校。物理と数学の担当教師として、生徒たちへ直接授業を行いました。学校側から唯一言われたのは「学力向上のために頑張ってほしい」。授業内容に関する具体的な要望はなく、完全に任せられた状態での活動でした。
 タンザニアでは高校進学率が低いため、高校に進学している時点で、相対的に優秀な生徒だといえます。ですが、活動先の高校の生徒たちにとって一番の目標は、大学へ進学すること。そのためには、日本のセンター試験にあたる国家試験で良い点数を取る必要があるため、彼らの学習意欲はかなりあり、夜中まで勉強していました。
 物理のクラスは150~160人ほど、数学は200人弱が履修登録していて、日本の感覚だと大学の講義に近いかもしれません。授業は基本的に英語で行うのですが、お互いに第一言語ではない英語を使ってのコミュニケーションは難しく、こちらの説明をきちんと理解できている生徒と、できていない生徒の差が激しい印象を受けました。少しでも彼らに理解してもらおうと、英語が得意な生徒に私が言ったことを現地のスワヒリ語で説明し直してもらったり、少人数のグループに分かれて生徒同士がスワヒリ語で教え合う時間を設けたりと、さまざまな策を講じました。
 こうした間接的な進め方では、彼らに正しく伝わっているかどうか自分では確かめようがありません。そこで、毎週金曜日に小テストを実施。その週に学習したことを復習する時間を設け、彼らがどの程度理解できているのか確認していました。全ては目の前の生徒たちのため、試行錯誤を繰り返す日々でした。

理科の実験をしている様子

帰国後のキャリア

力不足を感じたものの、
充実した日々が忘れられず、
本格的に教員を目指すことに。

2年間の活動を通して、彼らの学力向上に貢献できたかというと、自分の力不足を感じるばかりです。それでも任期を終えて帰国してみると、タンザニアで生徒の理解を少しでも深めようと試行錯誤した2年間がいかに充実していたか、日に日に強く感じるようになっていました。日本でも同じような充実感を味わいたいと思うようになり、帰国前は考えもしなかった教員を目指すことを決意。通信制大学で教員免許を取得し、東京都教員採用試験に新設された「国際貢献活動経験者特別選考」枠で採用され、2016年4月から、都立高校の教員として働いています。

JICA海外協力隊で得たもの

生徒たちに一番伝えたいのは、自分たちが今いる日本の環境が、いかに恵まれているかということです。教科書もそろっていますし、机もあるし、教材も充実している。何ひとつ不自由のないぜいたくな教育環境であることに、私自身もタンザニアへ行ってあらためて気付くことができました。日本にいながらそういったことを実感するのはなかなか難しいと思いますが、私が体験談を話すことで、いろんな世界があることを生徒たちが知るきっかけになれば嬉しいです。

考える力が自ずと身に付く

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

単独で長期間にわたって開発途上国へ行く経験はなかなかできないので、それだけでも参加してみる価値はあると思います。将来的に日本で教職に就きたいと思っている方にとっても、万全ではない環境の中であれこれ試行錯誤しながら過ごす2年間は、帰国後の採用試験などで大きなアピールポイントになるはずです。しかも東京都だけでなく、多くの自治体にJICA海外協力隊経験者を対象にした特別選考枠があります。少しでも興味があるようでしたら、私のようにまずは説明会に参加してみることをお勧めします。

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