JICA協力隊の人とシゴト
古関 有介(こせき ゆうすけ)さん

古関 こせき  有介ゆうすけさん

現在のシゴト
施工管理(建築・設備)
職  種
建築設備
派遣国
ブータン
派遣期間
2009年1月~2011年1月
  • グローバルキャリア
  • # 建築設備 # 経験を生かす

ブータンで心を開いて
粘り強く指導した経験が、
インド勤務とその後の自分につながっている。

2018.03

応募のきっかけ

仕事は充実。
それでも「環境を変えたい」と挑戦。

高校卒業後、都内のゼネコンで施工管理に携わっていました。仕事は充実していましたが、入社から5年経ち、「環境を変えたい」という思いもあってJICA海外協力隊に応募。語学に不安もありましたが、派遣前訓練で語学研修があることを知り、挑戦することにしました。
 振り返れば、高卒で仕事を始めて、常に高学歴の同期生と比べられてきた私にとって、コーディネートやマネジメント力といった、他の人にない強みを伸ばすことは必然でした。

古関 有介さん

現地での活動

ブータンで建築設備の技術指導に従事。
農村部で、技と思いを伝える日々。

現地での活動は、農村部に暮らす人々が農閑期に副収入を得られるよう、現地の技術指導員に対し、基礎的な建設技術の指導を行うこと。指導員や農家の人とともに、トイレや学校の宿舎を建てるサポートを行いました。対象の村はどこも遠く、首都から車と徒歩で何日もかけて向かいました。
 活動で印象に残っているのは、毎冬ごとに給水管が凍結で破裂し、その修繕費用に悩んでいた寒冷地でのことです。当初、私が町の小売店で使えそうな安価な材料のみで対策を施しても、現地の人は「無駄だろう」と懐疑的でした。しかし、実際に目の前でやって見せ、問題なく冬を越せた時に、やっとその有用性を理解してもらえ、プロジェクトのカリキュラムにも追加されました。私が伝えたかった「建物は見た目ではなく、途中段階の品質や安全管理によって耐久性や安全性に差が出るのだ」という思いが、ついに実感として伝わったように感じました。

山から運んだ石を四角く削って積み重ねていく 給水管の凍結防止策を指導する古関さん

帰国後のキャリア

どこでもやっていける人になる。
それが自分の強みになると思う。

任期終了後は、「また海外で働きたい」との思いから、国際事業部のある、前職のグループ会社に行くことにしました。1年間、日本で実績を上げ、上司に認めてもらい、2年目には念願だったインドのプロジェクトへ。新築改修工事のエリアマネージャーとして、コスト管理や実施設計の統括などに従事しました。日本に比べるとインドの環境も過酷でしたが、ブータンでの2年間があったので、生活は苦には感じませんでした。
 インドは縦社会なので、現地プロジェクトマネージャーからの信頼がすべてです。当初は、私が若かったこともあり、話を聞いてもらえず無視される状況が続いていました。何とか信頼を得たいと、指示書を書いて渡したり、現場で写真を撮影して分かりやすく説明したりと、もがく日々でしたが、辛くてもあきらめなかったのは、「思いが伝わるまで積極的に動けば、相手も応えてくれる」とブータンでの経験から確信していたからです。
 そして2ヶ月後、ある日突然、現地マネージャーの態度が変わったのです。そこからはプロジェクトも軌道に乗り、厳しい要求にも応えてくれるようになりました。今でも彼が来日した際には、一緒にお酒を飲み交わしています。

ブータンで度胸がついたことで、インドの厳しい状況下でも「何とかなる」「ここまでやれば、誰かがわかってくれる」と、前向きに仕事に取り組めました。同時に、相手の文化を尊重する柔軟性も身に付きました。ブータンの人は、仕事よりも生活を大事にし、それが気持ちの豊かさにつながっていると身をもって実感していたので、インドでも現地の慣習に違和感なく溶け込めました。その余裕がプロジェクトの成功につながり、結果的に会社からの評価にもつながったのだと思います。
 そして今は日本に戻り、不動産管理会社でビルのリニューアル管理に携わっています。自身の将来を考えた時、海外も含めてどこでも通用する人間になりたいと思い、営業から契約、交渉、支払いまで、すべてを担える今の会社に移りました。人とコミュニケーションを取り、皆が動きやすい環境を作るのが好きなので、今の環境は自由度が高く、刺激的です。
 築30年を超える建物が増えている日本では、建物を維持・運用するための施設管理は不可欠です。今後は、ゼロから建物を築くのとは違う角度から、業界に関わっていきたいと思います。
 「こうありたい」という思いはその時々で変わりますが、チャンスが来た時に選び取れるよう、今はその可能性を広げておきたいと思っています。

古関 有介さん

JICA海外協力隊で得たもの

赴任前は、2年間の不在がキャリア上の遅れになることを懸念していましたが、結果的には、ブータンでの経験があったからインドで成果を出すことができ、それが今の仕事につながっているのだと気づきました。あの2年がなければ、海外で働くことも、働きたいと思うこともなかったので、視野が広がり、人生が開けました。

柔軟性とどこでもやっていける精神

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

世界に羽ばたくための一歩!協力隊に参加することで、キャリアとして広がる未来があります。外に出てみると、日本にいる時とまったく違う感覚があり、色々な想いが沸き立ってきます。そして帰国後も、海外で培った視点や視野を生かして、さまざまなチャンスに向かっていけると思います。

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