UNV経験レポート

応募のきっかけ

“国が発展すれば、みんなが幸福になれるのか?“パナマの農村部の貧困、民族への差別、都市の発達により悪化した社会的格差を目の当たりにした協力隊の経験から、帰国後は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所で1年間働き、翌年にスウェーデンの大学院で人権学(Human Rights)の修士号を取得しました。大学院卒業後は現地ヨーロッパでの就職なども考えましたが、途上国の現場で再び働きたいという強い想いがありUNVに応募しました。

UNVとしての業務

コロナ禍で実施された2022年大統領選挙の投票の様子

コロナ禍で実施された2022年大統領選挙の投票の様子@UNDP/Ayumi Kimura

UNDPが調達する二重投票防止インクの説明会

UNDPが調達する二重投票防止インクの説明会@UNDPTimor-Leste/Ayumi Kimura

若者や女性の選挙参加の促進に向けて実施されたイベント

若者や女性の選挙参加の促進に向けて実施されたイベント@UNDP Timor-Leste

選挙で撮影した写真が市内のビルボードに掲載されました。モデルとなった女性も大喜びでした。

選挙で撮影した写真が市内のビルボードに掲載されました。モデルとなった女性も大喜びでした。

国連開発計画(UNDP)東ティモール事務所の「コロナ禍の選挙実施体制強化計画(COVID-Resilient Elections in Timor-Leste)」プロジェクトでは、Communication Specialistとして2年間活動しました 。プロジェクトの5つの目標 1) 地方の選挙管理機関のコロナ対策 2) コロナ対策に向けた選挙計画とマニュアルの作成 3) 選挙と感染症対策の情報共有 4) 若者、女性、障がい者への選挙参加の促進 5) 二重投票防止インクの調達、を軸として、広報素材のデザインの監修、プレスリリースやSNS記事作成、メディアや外部機関との調整、ワークショップ企画などを行いました。

選挙は国の政治に密接に関わるため、国連として中立的位置を保つことが何よりも重要でした。特に広報では、UNDPの活動を発信する一方で、制作したデザインや記事に特定の政党を連想させるような表現や色が入っていないか、情報は公平で政治的にセンシティブな内容が入っていないかなど、東ティモールの政治・文化的背景を理解したうえでの入念な確認作業が欠かせませんでした。また、大統領選挙は国内外からの関心も高かったため、UNDPアジア太平洋事務局や海外メディアとの情報共有、国営テレビ放送のアレンジ、市内の大型広告の作成、普段は見ることのできないような選挙準備の裏側の取材など、広報として非常にやりがいのある仕事でした。

UNVを終えたその後

アタウロ島のコミュニティーへのインタビュー

アタウロ島のコミュニティーへのインタビュー@UNDP Timor-Leste/ Maria Lopes

引き続き、UNDP東ティモール事務所で働いています。2023年に発足された「Community Infrastructure for Resilience」プロジェクトのM&E and Communication Analystとして、気候変動に脆弱な農村部コミュニティーのインフラ整備を通した公共サービスのアクセスの向上とジェンダー平等に向けた雇用の創出を支援しています。UNVの時よりも仕事の幅が広がり裁量も大きくなりましたが、以前のプロジェクトで培ったUNDPシステムや東ティモールの知識は新しいポジションを始めるうえで非常に役に立っています。また、現地語のテトゥン語も上達してきたので、コミュニティーや受益者により近い立場でこれからも活動していきたいと思います。

これからUNVを目指す協力隊OB/OGの皆さんへ

JOCV経験者が優遇されるUNV制度は、世界的にも稀であり圧倒的に日本人に有利なポジションです(全ての国にこのような制度があるわけではなく、通常のUNVポジションは世界中から応募があるので競争率が高いです。)国連“ボランティア”といっても、協力隊ボランティアよりも求められる仕事のレベルや責任・語学力が高いので、大学院などで専門知識や技術を十分に習得してから応募してもよいと思います。一方、JOCVで培った現場での行動力や柔軟性、協調性、コミュニケーション力は強みになるので、ぜひ自信をもって応募してください。

・帰国隊員進路情報ページ