希少職種図鑑 [フェンシング]

職種概要

派遣中:0人
累計:1人
分類:人的資源
活動例:フェンシングの普及や競技力の向上のための技術指導など
類似職種:—

※人数は、2020年7月31日現在。

話=宮田結以さん(コスタリカ・2017年度4次隊)

Q メインの活動は?

子どもたちに技術指導をする宮田さん。練習時間に体育館に行っても選手が現れないということが日常茶飯事だったので、選手に目標を持って練習に取り組んでもらうための方法を考えたり、選手と良い関係を築けるかを考えたりして活動を進めていった

 主に技術指導に力を入れました。技術向上に関しては週2回しかなかった練習を週4回に増やし、1対1の技術指導の機会を多く設け実戦により近い練習を実施。私の任期終了後も引き続き練習を続けられるよう、選手自身が考えて練習メニューをつくり、選手だけで練習できるような取り組みも行いました。選手たちの指導を始めて半年後、国内でのランキングを決める試合で、指導をしていた選手がランキング4位以内に入り、国際大会出場の切符を手にしました。2年目も技術指導を淡々と続け、その成果が2018年8月の中米大会(*)に現れ、男子フルーレ12歳以下の部で3位入賞、女子フルーレジュニアの部で3位入賞、女子フルーレ団体で2位に入賞することができました。

* 中米大会…パナマ・ニカラグア・グアテマラ・エルサルバドルなど中米各国が参加する大会。

Q 活動の最大の困難は?

 赴任当初、配属先が私に求める活動はこれと言ってなく、またコスタリカにいる選手やコーチなど情報が何もない状態でした。そのため自分自身で選手を探し協力者を見つけるところから、私の活動は始まりました。当初はゴールが見えない状態でひたすらできることを探しては挑戦する毎日でした。また、どのようにすれば選手と良い信頼関係を築けるかということを思案することも多かったです。

Q どう乗り越えましたか?

 できるだけ現地の人たちの考え方を尊重し、彼らのルールを理解し、その中で改善できる部分を見つけ、練習に反映させていきました。例えば現地の子どもは相手が先生であろうがひるまず反論し、疑問があればすぐに質問します。それに対して叱るのではなく、共に考え解決策を見つけることが重要であり、こういった行動の積み重ねで信頼関係が構築されました。また、フェンシング連盟の会長とは密に連絡を取り、話し合う機会をつくることで会長の求めるものを理解し、自分にできることを探していきました。

Q 派遣予定の同職種の隊員にメッセージをお願いします。

 フェンシングは道具がそろっていないとなかなか試合ができず、また細かな技術指導がしづらいスポーツです。湿度の高い国ではすぐに道具が錆びて使えなくなってしまうことも多く、道具が容易に手に入らない国では、道具を大切に扱うことや正しいメンテナンス方法などを教えることも大切です。どんなスポーツでも基本的に子どもたちに伝えることは他のスポーツとは大きく変わらないと思います。現地の人とコミュニケーションを取って、相手の文化を尊重しながらご自身の知識を熱い想いで伝えてあげてください。その想いは必ず届きます!

宮田さん基礎情報





【PROFILE】
岐阜県出身。13歳からフェンシングを始める。中央大学経済学部を卒業後、スポーツ用品店に勤務、2018年3月、青年海外協力隊員としてコスタリカに赴任。20年3月、帰国。現在は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のフェンシングチームにて勤務をしている。

【活動概要】
フェンシング (フルーレ〈※〉)の技術指導や普及活動のため、主に以下の活動を行う。
●9〜17歳の子どもたちに対するフェンシング (フルーレ)の技術指導
●地方の小学校でのスポーツの普及活動
●病院やリハビリセンターでの車いすフェンシングの指導・普及活動

※ フェンシングには「フルーレ」「エペ」「サーブル」と3種目あり、種目によって攻撃が有効になる箇所が異なる。フルーレの場合は、背中を含む、胴体のみが有効面。攻撃は突きのみ。

知られざるストーリー