[特集]現役隊員も参加のメリットがたくさん
OV会&職種別グループで先輩隊員とつながろう

小泉裕一さん
JOCVリハビリテーションネットワーク 代表
小泉裕一さん

モンゴル/理学療法士/2012年度1次隊・埼玉県出身





オンライン座談会と資料集で学べる
JOCVリハビリテーションネットワーク

協力隊まつり2023で出店し、東日本大震災の被災者の方々の手作り品の販売なども行った(撮影=阿部純一・本誌)

協力隊まつり2023で出店し、東日本大震災の被災者の方々の手作り品の販売なども行った(撮影=阿部純一・本誌)

   理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を中心としたJOCVリハビリテーションネットワーク(リハネット)は、いち早く青年海外協力隊事務局が行う課題別支援LinkedInグループと共に、現役隊員向けのオンライン座談会を開催している。

「昨年は〝コミュニケーション〟、今年は〝適正技術〟とこれまでに2回開催しています。参加者は各10名ほど。私がファシリテーターとなって、OVのゲストスピーカーに話題を提供してもらい、それに対して現役隊員たちが話すという流れでした。隊員には必ず1人1回は発言してもらったので、それぞれの悩みや困り事を話してもらう機会にはなったように思います」

   そう話すのは、代表の小泉裕一さん。現役隊員から出てくる悩みは「こちらが教えようと思っても聞いてくれない」「カウンターパートが突然いなくなった」など、普遍的なものだという。「だからといって、OVが上から物申すのではなく、あくまでも同じ立場で励ますというスタンスは守っています。私が協力隊に参加したのは2012年ですから、この10年間にデジタル環境は向上し、隊員からの発信や隊員同士の交流の仕方がだいぶ変わってきたので、現役隊員の話を聞くことは私自身やOVにとっても勉強になっていると思います」

現役隊員も参加したリハビリ職種オンライン座談会の様子(2022年1月)

現役隊員も参加したリハビリ職種オンライン座談会の様子(2022年1月)

   コロナ禍前は対面でのイベントを企画したが、運営者に遠方住まいが多く、実現はままならなかった。しかしコロナ禍でオンラインが普及し、世界各国と一瞬でつながれることで、イベント開催のハードルは一気に下がった。今後はJOCV看護師ネットワークとのコラボイベントも企画しているという。「同じ医療系なので、看護職の方からは、こんな進路もあるんだ、こういう選択肢もあるんだという話が聞けるといいなと思っています」

   現在、小泉さんはOV会の3代目の会長。OV会として力を入れたいことが二つあると話す。

東日本大震災の被災者の方々へ施術などを行い、その活動を基に執筆した論文・資料集が覧できる

東日本大震災の被災者の方々へ施術などを行い、その活動を基に執筆した論文・資料集が覧できる。http://ptotjocvhomepage.blogspot.com/2020/10/blog-post.html

「一つは現役隊員を含めた隊員同士のつながりをつくること。もう一つはこれから隊員を目指す人に、良い情報提供の場でありたいということです」

   力を込めて話す小泉さん自身、実は隊員を目指し、隊員になる前からOV会に入り、勉強会に参加していたとか。帰国してからもOVに進路相談に乗ってもらっていた。

「今も年に1回、勉強会や交流会を行っていて、そこで現役隊員から悩みがあれば聞きますし、帰国隊員から進路相談を受ければ、OVの適任者を紹介します。とにかく私自身、この会のおかげで今の自分があるというぐらい恩恵を受けています。お世話になった先輩方の思いを絶やしたくないという気持ちが大きいので、これからもしっかりと運営していきたいですね」

   リハビリ職種の隊員にとっては、活動の参考になる資料もある。小泉さんも隊員になる前に参加したという、東日本大震災で被災した方々に対してのリハネットの支援活動などの成果をまとめた論文集だ。QRコードからアクセスすれば、誰でもPDFで読むことができる。興味のある人はぜひ。

正式名称:JOCVリハビリテーションネットワーク

代表者:小泉裕一(代表)

2023年3月現在の会員数:64名

結成した年:2004年

入会資格:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いている人

会費:1000円/年 ※正会員、準会員関係なし

総会などを行う頻度:年に1回。正会員だけ参加。会報を年2回発行

問い合わせ先や入会方法:会のウェブサイトの問い合わせから
https://sites.google.com/view/jocvrehanet/

Text = 池田純子   写真提供=小泉裕一

知られざるストーリー