青年海外協力隊訓練所に行ってきました!

派遣国へ赴任する前に合宿形式の派遣前訓練を行う訓練施設は、駒ヶ根青年海外協力隊訓練所と二本松青年海外協力隊訓練所の2カ所。どんな訓練なのか、両施設に行ってみました(2023年11月の情報です)。

駒ヶ根青年海外協力隊訓練所

駒ヶ根青年海外協力隊訓練所
長野県駒ヶ根市郊外の田園や森林が広がるエリアに位置し、背後には中央アルプスを望む訓練所。近隣の養命酒駒ヶ根工場を見学・散策できたり、ロープウェーで山上の千畳敷カールに登れたりと、気分転換のスポットが多い。



木村卓三郎所長からのメッセージ

木村卓三郎所長

駒ヶ根青年海外協力隊訓練所
木村卓三郎所長
インドネシア/食用作物/
1995年度1次隊・神奈川県出身

体験入隊で訪れた中学生と交流する訓練生(写真提供=駒ヶ根訓練所)

体験入隊で訪れた中学生と交流する訓練生(写真提供=駒ヶ根訓練所)

   駒ヶ根訓練所は開所以来、地元の方々からも多くのご支援・ご協力を頂いてきましたが、コロナ禍で地域交流が難しい期間もありました。2023年度3次隊からは、有志の訓練生に市内の国際交流フェスタに参加いただいたり、地元中学生の“体験入隊”やオープンキャンパスで外部の方々を訓練所にお招きしたりと、市民の皆さんと訓練生の交流も徐々に再開しています。

   訓練における第一義は語学などを身につけることですが、好奇心を旺盛にして、駒ヶ根にいる間に訓練所の外の人々と接して視野を広げることも、派遣国での活動に通じる経験となるでしょう。皆さんの訓練がより有意義なものとなるよう、訓練所としても、より一層地域とつながるためのサポートを講じていきたいと考えております。


二本松青年海外協力隊訓練所

二本松青年海外協力隊訓練所
福島県二本松市の市街地から車で約30分、安達太良山の山腹にある訓練所。敷地全体が磐梯朝日国立公園内にあるため、周囲はすべて山林という落ち着いた雰囲気。近くの岳温泉の町には歴代訓練生が通ってきたレストラン「恵美寿屋」がある。



田中宏幸所長からのメッセージ

田中宏幸 所長

二本松青年海外協力隊訓練所
田中宏幸所長
マレーシア/養殖/
1991年度2次隊・福岡県出身

   コロナ禍での訓練再開以来、感染状況を考慮しながら対面型訓練などを徐々に再開していますが、2023年度からはさらに、訓練生が二本松市内で市民の方々と一緒に市の魅力を見つけ出すという、協力隊を疑似体験する訓練も復活しました。訓練では、語学や各種訓練項目をしっかり学ぶことが基本ですが、同時に、多様な知識や経験を持つ訓練生たちと出会う特別な機会でもあります。この機会を存分に生かしてお互いの知識・経験を共有し、同期の絆を深めていただきたいと思います。

朝の集いでの国旗掲揚

朝の集いでの国旗掲揚

   訓練所では、訓練生の皆さんが派遣国で活動するのに必要な訓練メニューをそろえてサポートしています。開発途上国や国際協力に関心があれば、悩まず一歩踏み出して、自身の知識や技術を現地の人々のために役立ててみてはいかがでしょうか。


施設他紹介(駒ヶ根訓練所)

VRルーム

VRルーム
2023 年にセイコーエプソンの協力で運用を始めた設備で、見学者向けの映像クイズやGoogle ストリートビューの映像を室内3 面に投影。訓練生が派遣先の様子を調べたりすることも(写真提供=駒ヶ根訓練所)


各種共有スペース

各種共有スペース
所内にはミーティングルームや座敷の談話スペース、プロジェクター(セイコーエプソン提供)のあるサロンなど、さまざまな共有スペースがあり、自習やワークショップが可能

出張売店▶ わーく西駒「信州まめ匠」

出張売店▶ わーく西駒「信州まめ匠」
市内の知的障害者総合支援施設で、定期的に出張してお菓子などを販売している


施設他紹介(二本松訓練所)

資料展示コーナー

資料展示コーナー
世界各国の民族衣装や伝統楽器などを展示するスペースが設けられており、一般の見学者も衣装の試着ができる(駒ヶ根訓練所にも民族衣装コーナーあり)


震災時の応援メッセージ

震災時の応援メッセージ
東日本大震災で避難所として利用された二本松訓練所には海外からの応援メッセージや寄せ書きが寄せられ、現在も所内に展示されている

出張売店▶ 加藤売店

出張売店▶ 加藤売店
店舗はJR二本松駅前にあり、週2回出張している(写真提供=二本松訓練所)

主な訓練内容▶

■ 語学授業:1クラス数人の少人数体制で、訓練期間中に百数十コマを受ける。加えて、語学自習の時間として別途60~70時間が割り当てられている。
■ 講座:語学以外の講座では、健康管理・安全管理や異文化理解、活動手法などを学ぶ。職種別に行われる課題別ナレッジシェアリング講座では、2つの訓練所の訓練生や技術顧問などがオンライン上で交流し、活動手法についての理解を深めたり、情報交換を行う機会もある。


訓練スケジュール▶

訓練時期は1次隊が4~6月、2次隊が8~10月、3次隊が1~3月。2024年度の訓練期間は各73日間の予定。授業や講座は1コマ50分で、午前が3コマ、午後が4コマとなる。
※派遣予定の地域により、訓練所が分かれます
■ 駒ヶ根訓練所:主に大洋州/中央アジア・コーカサス/南アジアの一部/中南米(中米の英語圏を除く)/アフリカ仏語圏
■ 二本松訓練所:主に東南アジア/東アジア/アフリカ/中東・欧州/中米・カリブ英語圏/南アジアの一部

Text=飯渕一樹(本誌) Photo=阿部純一&飯渕一樹(いずれも本誌)

知られざるストーリー