日本企業の技術・製品を通じて開発途上国の課題解決へ ~2024年度 事業募集説明会を5/23に開催~

#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.05.17

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民間連携事業部 次長 天池 麻由美

 「日本企業の海外展開をJICAが支援しているんですか?」
 外部の方に担当業務をご説明すると、このような反応をいただくことがあります。本ブログをお読みの方の中にも、企業の海外展開支援と聞いて連想される他の公的機関があるかもしれません。JICAによる日本企業の海外支援事業開始から10年以上が経過しましたが、まだまだ広報の余地ありと感じています。
 かつて、開発途上国には政府開発援助(ODA)など公的資金の流入が多くを占めましたが、現在では民間資金がODAをはるかに上回る状況です。また、人口に占める平均年齢が若い開発途上国の中には、デジタル技術を用いたサービス向上など、新しいものを積極的に取り入れながら経済社会発展を進める動きもあり、イノベーションの拠点としての重要性が増しています。
 このような状況下で、民間の活力を取り入れながら、さらに効果的なODA事業の実施を模索する動きが進んでいます。例えば、JICAはODAの実施機関として世界90か国以上に拠点を持ち、各国政府や関係者等とのネットワークを有しています。この強みを活かし、日本企業の製品や技術を用いた開発途上国でのビジネス計画づくりを支援する事業を展開しています。ビジネス実現そのものに取組みの焦点を当てるのではなく、日本企業の技術や製品を活かして開発途上国での課題解決のために貢献することが目的です。

中小企業・SDGsビジネス支援事業について

 日本企業の海外展開について、JICAによる支援メニューは複数ありますが、私が現在担当している「中小企業・SDGsビジネス支援事業」では2010年度の事業開始以降、1,500件を超える提案事業が採択・実施されています。農業、保健医療、インフラ整備技術など、各分野でもさまざまな技術や製品があることは何となく分かっていたつもりではありますが、例えば防災分野では、建物の耐震強化のための耐震塗料や、山岳地などの斜面からの落石防止のための防護技術など、事業を担当して初めて知る技術や製品の幅広さ、そして現地のニーズに対してきめ細やかに応えようと企業の取組みに圧倒されています。
 また、開発途上国での事業では、法律や商慣習の違いなど、ビジネス環境を取り巻く日本と異なる難しさがあります。企業の方々が開発途上国に赴かれ、現地の方々に製品や技術を紹介し現地での適用やビジネスとしての可能性を検証される中で、その真摯な取組みやチャレンジ精神に触れ、私も勇気づけられています。
 中小企業・SDGsビジネス支援事業を活用した事例については、グッドプラクティス関連情報をウェブサイトでご紹介していますので、よろしければご覧ください。

写真提供:学校図書(株) 授業や家庭学習での普及を目指す算数ワークブックに取り組む子どもたち(パプアニューギニア)

開発途上国で求められる技術・製品とは?

 JICAでの仕事を通じて私自身が気づかされたこととして、日本国内では広く活用されていたり、技術や製品として素晴らしいものであっても、それを他の国にそのまま持ち込むだけでは上手くいかないということです。相手国側で必要とされ、課題解決につながる製品・技術なのか、現地の環境などに合うのかどうか、現地で適切な維持管理が継続可能かどうかなど、一つ一つ確認しながら、現地に合う方法を探し求めることの重要性をこれまで痛感させられました。
 中小企業・SDGsビジネス支援事業では、これまで実施された事業を通じて得られた教訓等について事業終了後のアンケート調査結果分析を基に、「ビジネス展開教訓集 」として公開しています。こうした情報共有を通じて、これから開発途上国での事業展開に向けて一歩を踏み出そうとされる方々の一助になりましたらと願っています。

おわりに

 本ブログの締めくくりとして、2024年度の中小企業・SDGsビジネス支援事業の募集説明会の開催と、企業様のみならず民間連携にご関心の方々との共創・情報発信についてご紹介します。5月23日(木)、中小企業・SDGsビジネス支援事業の2024年度募集に関する説明会をオンラインにて開催します。自社製品や技術を用いた開発途上国での課題解決への貢献にご関心がございましたら是非ご参加ください。開催前日まで参加登録いただけますので、開催案内をご覧ください。
 民間連携に関する情報発信は、企業共創プラットフォームを通じて行っており、情報や知見共有に加えて、セミナーやイベント開催による関係者間の交流の場づくりにも取り組んでいます。メールマガジン(毎週水曜発行)やFacebookもございますので、こちらも是非ご活用いただけましたら大変嬉しく思います。

写真提供:(株)エアロネクスト 実証事業でウランバートル市内を飛行するドローン(モンゴル)

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