命と健康を守る
COVID-19の世界的大流行は、人々の健康だけでなく、経済に甚大な被害をもたらす世界史的な出来事です。国際的な連帯や協力なくして、この克服は困難です。特に開発途上国の保健医療体制の強化が不可欠です。
JICAは、コロナ禍を乗り越え、新たな感染症にも強い社会の実現を目指し、「JICA世界保健医療イニシアティブ」を掲げ、これを強力に推進しています。
*日本の技術が活かされたワクチン・医薬品の開発と実用化に貢献するため、海外での治験・生産体制の整備・拡充にも協力していきます。
日本の保健医療の経験
~ 江戸から令和へ~
日本は江戸後期から、緒方洪庵(適塾)や佐藤泰然(後の順天堂)などが西洋医学教育を導入し、医療の近代化を進めてきた医学教育の歴史と経験があります。明治には、北里柴三郎がペスト菌を発見、後藤新平が検疫強化や台湾での上下水道敷設に尽力しました。加えて、上下水道整備や衛生的な生活の啓発による予防も強化しました。現代でも、iPS細胞(山中伸弥教授)や寄生虫薬イベルメクチン(大村智博士)等の研究がノーベル賞に繋がっており、日本の医科学と最先端の科学技術力を結集させた国際協力が期待されています。
治療
- 病院建設
- 341の病院を新設・増改築
(1973年度~2020年度)
予防
- 手洗い運動
- 48カ国で200件の啓発活動を実施
(2020年9月~2021年3月)
「健康と命のための手洗い運動」の詳細はこちら - 安全な水へのアクセスを
可能にした人数 - 2800万人以上(2011~2020年度)
警戒
- 感染症検査・研究拠点
- 13カ国で中核となる拠点ラボを整備・拡充
ベトナムの
新型コロナ対策への
JICA協力事例
治療
JICAは南部の「チョーライ病院」(1966年~)の建設や人材育成を皮切りに、北部の「バックマイ病院」(1998年~)や中部の「フエ中央病院」(2004年~)等に協力を拡大。これら拠点病院は院内感染対策を徹底し、通常診療を行いつつ、新型コロナ患者を受け入れている。新型コロナ診療の知見が拠点病院から地方病院にも波及。
予防
JICAは2003年から北里第一三共ワクチンの協力も得つつ、ベトナムのワクチン公社「ワクチン・生物製剤研究・製造センター(POLYVAC)」における、麻疹・風疹混合ワクチン等の製造能力の強化に協力。POLYVACはその技術を活かし、現在国産新型コロナワクチンを開発中。
警戒
JICAは2006年から「国立衛生疫学研究所(NIHE)」の実験室の整備と能力強化に協力。NIHEは、これまでの協力を通じて築いた地方の検査機関とのネットワークを生かし、流行初期の段階から全国規模で迅速なPCR検査体制の整備を主導。