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事例紹介2015.01.03

農民たちの自立心を育むユニークな農村開発 : iDEバングラデシュ

iDE バングラデシュ

地域:全国

テーマ:教育民間セクター開発水産環境管理農業/農村開発

団体の種類:NGO

peasants

サステナブルなソリューションの難しさ

バングラデシュには世界中から様々な寄付、援助が集まってきており、現在3万を越えるNGOや国際援助機関が様々な社会課題に取り組んでいる。政府の手の届かないところに、彼らは草の根の地道な活動を展開し、多くの人々を支援してきた。バングラデシュの発展に、NGO や国際援助機関が大きな貢献をなしてきたことは言うまでもない。

しかし、NGOや国際援助機関の行う従来の寄付や援助活動には課題もある。プロジェクトが終了すると、せっかくのソリューションも継続できずに終わってしまう。管理ができずに使われなくなった井戸や設備、継続することができなくなった教育や衛生改善プロジェクトなど枚挙にいとまがない。

こうした反省で、持続的で自立的なソリューションを導入しようとする動きもある。しかし、言うはやすく行うは難しーこの実践は簡単ではない。慣れない農民を相手に成果を上げようとするあまり、NGOのスタッフが中心となって動いてしまい、肝心の農民に活動を続けるための人材やノウハウが蓄積されずに終わってしまうケースも多いと聞く。

iDEの際立つユニークな手法

こうしたジレンマに、私たちはどのように取り組めば良いのだろうか。そのヒントを与えてくれるのが、iDEバングラデシュの活動である。

「私たちを農民が必要としなくなること、これが目標です。」

Nurul

iDEバングラデシュでCOOを勤めるヌルール・アミンさんは、こう言い切る。農民の自立を図るということは、そういうことだと。

iDEは、米国に本部を置く国際的なNGOで、アジアやアフリカなど、世界各地で農村開発に取り組む。そのユニークな活動は、革新的な技術の活用と農民の稼ぐ力を育むことで知られ、バングラデシュにおいても灌漑用の足踏みポンプを150万台以上販売した実績を持つ。創業者のポール・ポラック氏は、日本でも「世界一大きな問題のシンプルな解き方」の著者としても有名である。

iDEが現在バングラデシュで取り組んでいるのが、農民の自立を促す農村開発である。農民組織の組成、技術支援、市場の形成など、様々な活動を展開している。このような取り組みそのものには特に目新しさは無いが、際立つのはその手法である。全ての活動が、農民やそのステークホルダーの「稼ぎたい」とする自らのモチベーションで継続できるように仕組まれ、iDEのスタッフはそのファシリテーターとなることに徹する。

例えば、ある離島での農村開発では、トマト一品から始める。今まで組織化すること無く、バラバラに生産していた為、市場から見向きもされなかった島の農民に、種や肥料の仕入れ方法、良質なトマトの育て方、産物の市場へのアクセス方法を指導する。同時にバイヤー側にも働きかけ、ニーズのマッチングを図る。

tomato

一定の量と品質が確保され、安定的な供給が保証されれば、大手のバイヤーも離島に買いにくる。こうした信用を築き、「稼げる」ことを知り、農民は自発的に動くようになった。農民が自ら組織的に生産計画を立て、生産管理を行う。トマトで得た知見を他の農作物にも応用していく。こうして狙い通りに、iDEは不要な存在となる。

現場を知ることの大切さ

iDE創業者のポール・ポラック氏は問題の起こっている現場に行き、農民達と話し、彼らの声に耳を傾けることを徹底してきた。農民の不満や現状を聞き、ときには夢を語り合い、農民と同じ目線に立つことで、本当に必要なソリューションの形が見えてくるという。この現場を知ることの大切さがiDEの基盤となっているのだ。

外国人である私達日本人が、バングラデシュでBOPビジネスや社会起業を起こす上でも、iDEの事例は参考になる。どのような事業も、現地の人々のモチベーションで動かない限り、持続的な発展は難しい。現地の人々の視点に立ち、様々なステークホルダーのニーズを理解することの重要性をiDEの取り組みは教えてくれる。今後も、iDEの具体的な取り組みを紹介して行くこととしたい。

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