このページのTOPへ戻る

バングラデシュ進出支援・現地情報ならBangland(バングランド)

HOME事例紹介3000人の貧しい女性を雇用するBOPビジネス

事例紹介2015.01.03

3000人の貧しい女性を雇用するBOPビジネス

Rong Hangicraft/タヌージャ・ラーマン・マヤ さん

地域:ジョソール

テーマ:ジェンダーと開発民間セクター開発

団体の種類:民間企業

卓越した経営力でビジネスと社会的インパクトを実現

Rong Handicraftは、バングラデシュの南東にあるジョソール市で伝統的な刺繍を施した民族衣装や、ノクシカタと呼ばれる刺繍の布を現地で製造、販売している営利団体だ。代表のタヌージャ・ラーマン・マヤさんは、1996年の二十歳の時にたった一人で始めて、今や3千人の村人を雇用する組織にまで育て上げた。マヤさんは、2012年に最優秀女性起業家大賞を受賞し、また2013年には品質優秀賞を産業省より受賞している。

タヌージャ・ラーマン・マヤさん

「村の貧しく支援のない生活を余儀なくされている女性に、生きるための仕事を与えたい」

創業以来、マヤさんは一貫して弱い立場にある女性の生活向上を図ろうとしている。頭と体を使う良い仕事があり、所得が増えるようになれば、人は幸せになれる—これがマヤさんの信念だ。しかし、彼女のアプローチは援助機関やNGOとは違い、寄付や援助に頼らないビジネスの思想で貫かれている。

人を育て、良い商品を作り、適切な値段で販売し、売上を増やし雇用を増やす。

このシンプルなビジネスの処方箋を徹底的に押し進める。働きたいという女性には、チャンスを与え、トレーニングも施す。だが、出来上がった製品の品質について決して妥協はしない。「品質基準に満たないものは、その場で焼き払います」何時間もかけて作った製品が目の前で焼かれるのは、作った者にはショックは大きいだろう。しかし、ここで妥協しては人の成長は止まってしまう。マヤさんは、あえて鬼になり、叱咤激励する。

援助機関やNGOとはここが違うという。寄付やプロジェクトなどの援助では、品質が悪くてもあまり問題視されない。顧客志向が無いから緊張感も低く、日々の改善がないので成長しない。これでは、女性たちのスキルアップは望めず、所得も増えない。

20140313_133526

こうしてマヤさんに育て上げられた女性達は、徐々に生産効率を上げる。良い品質がブランドとなり、人々に好んで買われていく。その結果、末端の職工に所得が増え、生活は改善する。今や3000人を雇用するまでに事業は成長し、3カ所の販売店舗で製品を売る他、卸売りも増えている。

困難を乗り越える意思と出会い

目覚ましい成長を遂げたマヤさんのRongであるが、そのスタートは困難の連続であった。まず家族が大反対した。バングラデシュでは、女性が外で働くことを好まない。特に町で育ったマヤさんが、農村の女性と関わることに家族は難色を示した。しかし、マヤさんの決意は固い—-1人でもやり遂げる。助けてくれたのは、弟であった。弟のオートバイの後ろに乗り、顔を隠して貧村に通った。

最初は、村の女性たちも半信半疑であった。夫や家族が反対することも多く、マヤさんの品質にこだわる姿勢も一部で反感を買った。しかし、マヤさんの必死の説得と、何よりも製品が売れて、所得が増える実績を積み重ねることによって、村の人々の見方は徐々に変わっていった。

10001277_675696875801729_2119112108_n

人との出会いも、マヤさんを助けた。ある展示会でブースを出していたところ、銀行の役員がやってきた。自分の考えと将来のビジョンを語ったところ、オフィスに来てビジネスプランを説明してほしいと言う。Asia Bankという大手商業銀行の副会長であった。ビジネスプランを認められたマヤさんは、以後、Asia Bankの支援を受けて成長のための資金を確保することができた。一度も返済を滞らせることも無く信用を築き、Asia Bankの起業家モデルともなる。

マヤさんの次の夢は、首都ダッカにショールームを持つことだ。そのための準備を今進めている。また将来は、海外に輸出できるようにしたいという。「日本の方々にも喜んで頂けるデザインと品質を持てるようにしたいですね。」

1969310_675696899135060_45233657_n

一覧へ戻る