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産業レポート2014.12.25

ゴミ山で見えた、巨大な途上国ビジネスの可能性~動き出すバングラデシュ市場~

地域:ダッカダッカ管区

テーマ:環境管理資源・エネルギー

カテゴリ:ライフスタイルの変化

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バングラデシュといえば、「最貧国」「途上国」の印象が日本では強いだろう。しかし、実際には過去数年間実質GDP成長率は5-6%で伸び続け、堅調な経済成長を見せている。人々の営み、ライフスタイルはどう変化しているのか?ダッカ最終ゴミ処分場からそれを考察する。

ゴミを見れば人々の暮らしが見える?!

訪れたのはダッカ北部・アミバザール最終ゴミ処分場。このゴミ山には、市内の家庭から出た一般ゴミが、ペットボトルや資源ごみといったリサイクル可能ゴミが分別された後に運ばれて来る。通常このような一般ゴミは〝燃えるゴミ”として焼却され、灰が処分場に積まれるという流れになるのだが、ここバングラデシュでは、国が焼却燃料を買えないという事情もあり、一般ゴミはそのままの姿で処分場に運ばれ、廃棄される。つまり、何を購買し、何を消費しているのか、という人々の営みがそのままゴミに反映される、ということだ。

年々積もり積もったゴミで、最終処分場は物凄い汚臭を醸し出していた。そんな中、ゴミ山をぐるっと一周し、どんなゴミが捨てられているのか観察してみた。事前学習では、有機肥料やバイオガスに再利用できる農業ごみが全体の約8割を占めていると聞いていたのだが・・

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写真:アミバザールの最終ゴミ処分場。巨大なゴミ山が広がる

農業ゴミから工業ゴミへ

実際に目に入ってきたのは、大量の工業ゴミだった。プラスチック製の菓子袋や冷凍食品の袋、おもちゃの箱からパン袋。スーパーのレジ袋・ビニール袋。ありとあらゆる種類の工業ゴミが捨てられていた。土に返るのに時間のかかるビニールやプラスチックが農業ゴミよりも目につきやすいという事実を差し引いたとしても、トラックで次から次へとやってきて投棄される膨大なゴミの中身を見ると、やはり目に入るのは工業ゴミだ。

かつては国の主要産業は農業で、農産物を中心に流通、販売、消費は回っていた。ゴミも、土に返る有機ゴミが殆どだったバングラデシュ。しかし、経済成長と共に人の営みも変化していた。

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写真:トラックで運ばれてくるゴミ。ビニールやプラスチックが目立つ

ライフスタイルの変化が生む、巨大な市場

お菓子や加工食品のゴミ袋からは嗜好品を求め始めた人々の、食の変化が読み取れる。膨大なレジ袋からは、キオスクのような地元密着型店舗から、大型スーパーマーケットへと新しい流通網が出来たこと、結果として物の選び方・買い方の選択肢が消費者に広がっていることを示している。輸入食品ゴミからは、消費者の価値観が変化していることも推測し得るし、冷凍食品のゴミ袋からは冷蔵庫の普及も想定できるだろう。スラム街のゴミ箱から運ばれてきたおもちゃの包装袋からは、低所得層と言われている彼らにも少しずつ可処分所得が増えていることを示しているかもしれない。

また、上記に紐づく形で、モノを製造する企業側の変化・進化も見えてくる。実際に、食品加工メーカーは成長株として伸びているし、それに伴い、冷凍保存して運送するなど流通システムも発展してきている。流通が進化すると、小売業・外食産業も変化し、ますます人々の価値観に影響を与え、ライフスタイルは変化していくだろう。

現在、バングラデシュの人口は世界で第8位の約1億5250万人。典型的なピラミッド型で20代以下の若年層が人口の3分の2を占めている。かれらが今後消費の主役になると、この国の消費市場は一気に拡大すると言われている。衣食住をとりまくこの国のあらゆる産業の変化・進化が今後盛り上がっていくだろう。今のバングラデシュはかつて日本が高度経済成長に差し掛かろうとしていた初期によく似ている。この国の産業を推進し、経済成長に貢献することは、社会の発展そのものに貢献することにつながる。彼らを巨大な潜在マーケットとみなして進出し、バングラデシュ人の生活に溶けこみ、社会に貢献する日系企業が出てくる日も近いかもしれない。

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