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産業レポート2017.07.31

成長産業レポート:eコマース

地域:全国

分野:全般

1. 背景

バングラデシュにおけるeコマースは、今、発展期にある。eコマースとは、インターネット上で商品やサービスの売買を行う電子商取引のことであり、バングラデシュでは2013年以降、普及の速度を速め、eコマースのサイト数、商取引の分野、取引額が急速に増加している。


2010年には、ほんの数える数しかなかったeコマースサイトは増え続けており、過去3年間に2000以上のeコマースサイトが増えたという。内容も多岐にわたっており、雑貨や家電の販売、食料品のオンライン・デリバリーサービス、健康関連サービス、ユーザ同士の売買プラットフォームなど、eコマースはあらゆる分野に広がり、停滞する様子はない。


こうしたeコマースの発展は、近年におけるバングラデシュの経済成長とインフラ整備の成果を土台にして実現したものである。バングラデシュでは、過去10年において携帯電話やインターネットといった通信インフラの整備と普及が進み、金融における電子決済システムが中央銀行によって導入され、「デジタルバングラデシュ」のスローガンの下、官民連携でデジタル化の推進がなされた。また、こうしたシステムを開発する人材やリソースがバングラデシュに育ってきたことも、大きな要因になっている。


また、eコマースの発展は、バングラデシュの人々、特に都市部の住民のライフスタイルの変化に対応したものである点も見逃せない。都市部への人口移動、核家族化の進展、女性の社会進出などの変化により、人々は生活により簡便性を求めるようになった。「いつでも、どこでも」手軽に商品やサービスを購入できるeコマースは、特に若い世代に受容され、日常の生活に組み込まれるようになった。


eコマースの恩恵は、都市部だけでなく、農村の人々にも多様な商品やサービスにアクセスする道を切り開いた。eコマースにより健康や教育のサービスを提供するところも出てきており、多様なビジネスモデルが生まれている。


海外からの新規参入や投資も増えており、バングラデシュの成長の成果を取り入れてきたeコマースは、今後の経済成長を推し進める新しい成長のエンジンになろうとしている。本レポートではバングラデシュにおけるeコマース産業の発展の経緯と産業が成り立つ要件を整理し、産業と市場の現状と課題を解説し、今後の展開と日本企業の商機について分析を試みる。



2. バングラデシュにおけるeコマースの歴史

バングラデシュにおけるeコマースは90年代後半にその端緒があったが、当時は電子決済の制度と仕組みが未整備であったこと、インターネット通信が高価であったこと、クレジットカードの保有者が少なかったことなどから、eコマースの認知度は低く、利用者は非常に限られたものであった。


そうした中、eコマースの黎明期では、海外に住むバングラデシュ人向けのギフトサイトが開設された。決済手段がないため、海外にサイトの本拠を置き、バングラデシュに支店を置く形で運営された。


この時期、海外から既製服の注文を受けるプラットフォームとしてB2B(企業間取引)のサイトが開設されたが、C2CやB2C(企業と消費者間の取引)のビジネスが成り立つには、時期尚早という見方が有力であった1


変化が始まったのは、2009年である。同年、バングラデシュ中央銀行が「バングラデシュ支払と決済システム規則(Bangladesh Payment and Settlement Systems Regulations, 2009)」を制定したことで、電子決済の道が開けた。


2010年には、「バングラデシュ電子資金振替ネットワーク(Bangladesh Electronic Funds Transfer Network 、BEFTN)」と「バングラデシュ自動小切手処理システム(Bangladesh Automated Cheque Processing System、BACPS)」によって構成される「バングラデシュ小口資金決済システム(Bangladesh Automated Clearing House、BACH)」が導入され、電子決済のシステムが整った。


さらに、2013年に3G(第三世代通信システム)が始まったことで、インターネットの利用者は一気に増加した。インターネットの利用者は約64百万人(2016年7月)に達しており、これは15歳以上の人口(106百万人)の60%にあたる。


(出典)Bangladesh Telecommunication Regularity Commission

(出典)Bangladesh Telecommunication Regularity Commission2

2013年にバングラデシュ初となるeコマース・フェアが首都ダッカ市で開催され、8万人が訪れて、本格的なeコマース時代の幕開けを宣言した。インターネット利用者の増加に伴い、eコマースに参入する企業の数は急増し、2014年にはバングラデシュeコマース協会が発足、eコマース産業の発展のための広報や政府へのロビー活動を展開している。



3. バングラデシュのeコマース市場規模

バングラデシュのeコマースの市場規模を示す統計的な資料はないが、バングラデシュ銀行がeコマースで使用される電子決済金額(クレジットカードとデビットカード合計)の統計を公表している。


(出典)バングラデシュ銀行

(出典)バングラデシュ銀行3

現地の調査会社によれば、現在のeコマース市場の規模は5000万ドル(約52億円)とされている4。しかし、バングラデシュのeコマースでは70%〜90%が代金引換(Cash on delivery)による現金払いであり、クレジットカードを利用した取引は10%未満にすぎないとされる5ので、2015年における年間の電子決済額が約12億タカ(約16億円)から推定すれば、eコマース全体での決済金額は120億タカ〜150億タカ程度である可能性もある。


調査によれば、1回あたりの取引金額は、1000タカ(約1300円)未満が71%であり、小口の取引が非常に多い。バングラデシュのユーザは、まだサイトで値段を調べ、実店舗で購入する層が多く、高額の商品をオンラインで購入するに至っていないが、eコマース事業者への信頼が高まり、eコマースのメリットが広まるに伴い、取引額は高まってくると予想される。


いずれにせよ、先進国の規模に比べるとまだ非常に小規模ではあるが、eコマースは発展期を迎えて2、3年であり、今後、飛躍的に拡大することが見込まれる。



4. バングラデシュのeコマースの特徴

バングラデシュのeコマースは、まだ発展の初期段階であり、さまざまな制約の中で独自の特徴を持っている。


  (1)C2Cのサイトが主流

バングラデシュでは、近年まで電子決済の取引が普及しておらず、物流サービスが未熟、事業者が在庫資金を持つ余裕がないことなどから、売買のマッチングだけを行い、商品のやりとりや資金決済は当事者で行うC2C(個人間取引、または中小零細企業と個人間取引)のサイトが主流である。bikroy.com、ekhani.comやKaymu.comなどが大手である。


一方、B2CのeコマースもC2Cを追いかけるように成長してきている。なかでもレストランやファーストフードの宅配サービス代行を行うFoodpandaやHungryniなどが短期間の間に人気を博して、学生を中心に利用者が増えている。


  (2)資金決済の大半が現金払い

各種の調査や資料が示すところによれば、eコマースの利用者の70%〜90%が代金引換による現金払いを利用しているという。これは、ユーザ側のeコマース事業者への信頼の低さ、前払いすることのリスク回避、クレジットカードやデビットカードなどの電子決済に対する不安心理などが働いていると見られている。


(出典)LightCastle Partners Survey on Digital Consumers, 2015

(出典)LightCastle Partners Survey on Digital Consumers, 2015

  (3)Facebookを利用したeコマースサイトが2000以上

バングラデシュではFacebook の利用者が1800万人以上いるとされ、Facebookを活用したeコマースのサイト、いわゆるfコマースが多い。バングラデシュeコマース協会によれば、現在、2000以上のfコマースサイトがあるという。自前のホームページを持たない企業がFacebookでマーケティングをスタートさせ、事業の拡大に応じて自前のeコマースサイトを構築する例もある。


  (4)若い世代がeコマースを牽引

バングラデシュにおけるeコマースは、若い世代が牽引している。バングラデシュのeコマース大手のKaymu.comの調査によれば、利用者の75%が15歳〜34歳である。特に学生や若いビジネスマンの利用が多い。


また、女性の利用が全体の55%を占め、特にfコマースを利用する女性が多いという調査結果6がある(一方、C2Cのサイトでは男性が圧倒的に多い/Kaymu.com調査)。


一方、eコマースの運営サイドも若い世代が作っている。バングラデシュのeコマースのプラットフォームを運営するGhoori.com.bdが250のオンラインショップのオーナーを対象に調査した結果、90%のオーナーが36歳以下で、18歳から25歳までの運営者が47%であったという。


  (5)大手のeコマースは欧米出資が多い

バングラデシュのeコマースの発展において顕著なのは、欧米の出資の多さである。eコマースで現在トップランクにあるbikroy.comはスウェーデン人の起業家であり、ドイツのRocket Internet社は、バングラデシュに分野の異なる5つのeコマースのサイトを立ち上げ、それぞれが短期間で成長を遂げている。


食料・雑貨のオンライン・デリバリーサービスを展開するChaldal.comは、アメリカのシリコンバレーのベンチャーキャピタルからも投資を受けた。


モバイルのeコマースで大手のekhanei.comは、ノルウェーの携帯電話最大手のTelenor社が大株主である。


なお、バングラデシュ人主導の大手サイトとして、Clickbd.comやbagdoom.comがあるが、大半がfコマースや小規模のサイトに止まっている。


  (6)スタートアップ支援が盛んになっている

成長するバングラデシュの市場に注目し、eコマースを含むIT分野の起業家(スタートアップ企業)を支援する活動がさかんになっており、スタートアップ企業をめぐるエコシステムが出来上がりつつある。


バングラデシュのIT業界の促進に様々な活動を展開している業界団体であるBASIS(バングラデシュソフトウェア・情報サービス協会)がE-commerce Allianceを組成して様々な支援活動を展開している他、SD Asiaはスタートアップに関する情報発信やネットワーキングを行っており、バングラデシュ最大の携帯電話会社であるグラミンフォンと組んでGP Acceleratorを運営している。


また、グローバルに展開しているEMK CenterやFounders Instituteもバングラデシュで活動を行っている他、世界に広がっているStartup WeekendやSeedstarsなどのイベントもバングラデシュで行われている。


【バングラデシュのスタートアップのエコシステム】


(出典)Bangladesh Digital Delta:LightCastle Partnersより転載

(出典)Bangladesh Digital Delta:LightCastle Partnersより転載


5. 主要なeコマースのサイト

バグラデシュのeコマースはB2Bから始まったが、現在はC2C(個人間の取引)のサイトが最も発展しており、追いかけるようにB2Cのサイトが拡大基調にある。eコマースの対応する分野も多様化している。


5-1 オンライン・ショッピング

  (1)bikroy.com

bikroy.comは、2012年にスウェーデン人のNils Hammer氏によって開設されたC2Cのオンラインプラットフォームである。商品のカテゴリーは幅広く、雑貨や小物から自動車や不動産までを扱うバングラデシュ最大のeコマースサイトの一つである。


bikroyは売買の資金決済や商品の配達には一切関わらず、商品のマーケティングと売買のマッチングだけを行う。実際の取引は、売り手と買い手間で直接行う。広告の掲載は無料であるが、bikroyは有料の広告や特典のある有料メンバーからの収入を得るビジネスモデルを取っている。


インターネットのランキングを示すAlexa Internetによれば、bikroy.comはeコマース分野でのトップランキングになっている(全体の24位、2016年10月)。


  (2)Doraz.com.bd

Doraz.com.bdは、B2Cのショッピングプラットフォームであり、優良なブランド品を中心に販売している。Rocket Internet社(ドイツ)が出資するeコマースのサイトの一つであり、バングラデシュには2015年に参入しているほか、パキスタンとミャンマーにも展開している。クレジットカードをはじめとした電子決済と代金引換の支払い手段を提供し、商品の宅配も行う。「本物」のブランド品であることを保証してユーザに安心感を与えることで信頼感を勝ち取り、新規参入ながらバングラデシュの有力なeコマースに成長している。


Alexa Internetのランキングでは、eコマース分野での2番目になっている(全体の32位、2016年10月)。


  (3)ekhanei.com

ekhanei.comは、2006年に開設されたモバイル用のC2Cのサイトであり、個人間の品物の売買を仲介するプラットフォームである。品物を売りたい個人は、無料で本サイトに広告を掲載することができ、購入したい個人が直接販売者に連絡を取り、取引を成立させる。ekhanei.com自身は商品のやりとりや資金決済に関わらない。


本サイトは、当初、バングラデシュ最大の携帯電話会社GrameenphoneがCellbazzarとしてスタートしたもの(現在はGrameenphoneの親会社であるTelenor(ノルウエー)が出資する合弁会社に経営権を譲り、2014年に現在の名称に変更)。


  (4)bagdoom.com

bagdoom.comは、2011年に開設された人気の高いB2Cのオンライン・ショッピングのサイトである。当初はAkhoni.comであったが、2016年に名称を変更し、現在に至る。提携する企業の製品を取り扱い、若者のファッション関連の品物(衣類やアクセサリー)を中心に、電子製品(コンピュータやモバイル)、雑貨などを販売する。支払いは、クレジットカード、デビットカード、モバイルファイナンスなどの電子決済のほか、代金引換での現金払いが可能。商品は委託している宅配業社によって自宅に届けられる。


  (5)kaymu.com

Kaymu.comは、Rocket Internet社(ドイツ)が出資するナイジェリアのAfrica Internet Group(現Jumia)が2012年に開設したオンライン・ショッピングプラットフォームであり、全世界32カ国で展開し、バグラデシュには2013年に参入した。


Kaymu.comは、売り手と買い手をマッチングするC2Cのサイトであり、売買のプラットフォームを提供している。扱う商品はファンション関連(衣料やアクセサリーなど)から電子製品、雑貨、ペット用品まで幅広く、基本的には固定価格で販売されている。取引の確認や商品の配達は各売り手が行うが、Kaymuはマーケティングと資金決済の手段を提供し、販売価格の一部を手数料として徴求する。


5-2 オンライン食品宅配サービス

オンライン食品宅配サービスは、レストランやファーストフードの宅配サービスを請け負うサービスであり、主要都市で急速に利用が広がっている。オンライン上のサイトでお好みの店のメニューを注文すると、自宅やオフィスに宅配してくれるものである。


こうしたサービスの利用者は学生が多く、サービス開始直後は利用者の83%が学生であったが7、徐々に利用層を広げている。


  (1)Foodpanda.com

Foodpandaは、Rocket Internet社(ドイツ)が展開するオンラインの食品宅配サービスで、バングラデシュには2014年に参入した。ダッカ市ではじまったサービスは、短期間で利用者が急増し、第二の都市チッタゴンや第三の都市シレットにも事業を広げている。現在、650以上のレストランやファーストフードが提携。支払いはオンラインの電子決済と代金引換が可能。


  (2)Hungrynaki.com

Hungrynakiは、2013年にバングラデシュ人の起業家によって立ち上げられたオンラインの食品宅配サービスである。基本的なコンセプトとサービス内容はFoodpandaと同じで、ダッカ市、チッタゴン市、シレット市でサービスを展開している。


5-3 その他の分野

食料・雑貨(グロッサリー)のオンライン・デリバリーサービスでは、Chaladal.comやDirect Fresh(http://www.directfreshbd.com/)が成長しており、特にChaldal.comは自前の物流システムを構築して業容を拡大している。


保健医療分野では、適切な医者を探すためのサービスdoctorola.comや、医薬品や健康関係の製品を販売するbhalothakun.comなどが注目されている。


リクルートの分野では、bdjob.comやprothom-alojobs.com があり、バングラデシュのeコマースで最も成功した分野の一つである。


また、Rocket Internet社(ドイツ)は、バングラデシュでオンラインの自動車販売サイトcarmudi.comとオンライン不動産サイトLamudi.comを開設している。



6. eコマース産業の抱える課題

発展期に入ったバングラデシュのeコマース産業であるが、まだ多くの課題を抱えている。特に課題となっているのは、顧客満足度を上げるためのサービスの改善(特に物流を含むオペレーションの改善)と代金引換(Cash on Delivery)を中心にした現行の資金決済方法の転換である。


  (1)物流インフラの改善

購入者への商品のタイムリーで正確なデリバリーは、eコマースを発展させる上で欠かせない要件である。しかし、バングラデシュでは都市部における渋滞のひどさ、道路インフラの未整備、近代的な物流サービスの遅れなどの要因により、時間通りに商品を届けることが困難なことが多い。


こうした課題を解決すべく、独自の物流システムを開発している企業もある。前述のChaladal.comではGPS(全地球測位システム)を活用した配送システムを自前で開発し、自社のオートバイやトラックで物流システムを構築している。同社は、今後、物流システムをeコマース事業者へのサービスとして提供することも視野に入れている。


Foodpandaも渋滞をすり抜けて宅配するため、自前のオートバイ部隊を編成してデリバリーを行っている。


本来、少ない資本でビジネスを開始できるところにeコマースの魅力があるが、物流への投資は企業収益に大きな負担ともなりかねず、今後の物流サービス発展が期待されている。


  (2)主要都市以外へのサービス拡張

現在、eコマースの利用者はダッカ、チッタゴン、ガジプール(ダッカの郊外)の3都市で80%を占めているとされており、他の都市や農村部へのアクセスが弱い。これは、上記の物流インフラの課題と密接につながるものである。


  (3)代金引換(Cash on Delivery)依存からの脱却

現在、75%〜95%の代金が代金引換による現金払いとなっており、eコマースの拡大に伴い、事業者にとって大きな負担となってきている。第三者に配達を委託しているところでは、最終的な現金回収が遅くなり、また自社で配達しているところも配達員が現金保有することでのトラブルのリスクが高い。これを管理するコストや手間も大きい。


一方、ユーザ側ではeコマース事業者やC2Cの売り手に対して前払いすることへの不信感が高く、なかなかクレジットカードやデビットカード、あるいはモバイルファイナンスを利用した電子決済に踏み切れないという感覚があり、eコマース事業者側での信頼感の醸成が重要である。


  (4)eコマースに関する体系的な法制度・規制の未整備

バングラデシュにおいては、eコマースのための体系的な法制度や規制が未整備であり、消費者保護、個人情報の管理、著作権保護などの面で改善の余地が大きい。


2014年にバングラデシュeコマース協会が設立され、業界の発展のためのロビー活動を展開しており、今後の法規制の整備が期待される。



7. 日本企業にとっての商機

バングラデシュにおけるeコマースの発展は、単に売買の手法の簡便化だけではなく、国民の経済や社会のあり方を変革するインパクトを内包している。様々なモノやサービスにアクセスできることは、人々のライフスタイルの変化を促している。


  (1)新しいeコマースビジネスの展開

バングラデシュにおけるeコマースは、まだ初期段階であり、新しい分野を開拓する余地が大きい。特にB2Cのカテゴリーは成長が始まったばかりであり、医療保険や教育などの分野においても、まだまだ未開拓の分野が残っている。Rocket Internet社の事例のように、海外での成功事例をバングラデシュで横展開するパターンも多い。


通信インフラや電子決済の手段などは整備・普及してきており、日本や諸外国での成功事例をバングラデシュに応用する土台は整っている。バングラデシュの人々のニーズを捉えた新しいeコマースのソリューションが期待されている。


  (2)B2B(企業間取引)のeコマース

バングラデシュのeコマースではC2Cが中心で、B2Cのビジネスが広がりつつあるが、まだB2Bの分野では発展が少ない。今後、バングラデシュ国内市場が成長し、企業間取引が活発化することが予想されるなかで、B2Bのeコマースの発展が見込まれる。


グローバルなビジネスにおいてもB2Bの市場規模はB2Cを大きく上回っており、まだ発展が遅れているB2Bにも日本企業にとってのビジネスチャンスが見出される可能性がある。


  (3)物流への参入

eコマースの発展を妨げている最大の要因の一つは、物流の弱さである。特に、宅配サービスをタイムリーに行うための設備、システム、人材、マネジメントが欠けており、この分野の発展が強く望まれている。


道路などのインフラが未整備のなかで、現地の事情に即した形で宅配サービスのビジネスを立ち上げることは容易ではないが、現地社会でニーズが高い分野であり、すでに取り組みを始めている現地企業もあることから、日本の技術が活かされる場がある。




以上


  • 1 E-Commerce in Bangladesh: Status, Potential and Constraints/Najmul Hossain/ December 2000
  • 2 BTRC: Internet Subscribers in Bangladesh (http://www.btrc.gov.bd/telco/internet)
  • 3 Bangladesh Bank: Monthly Economic Trend (https://www.bb.org.bd/pub/monthly/econtrds/oct16/econtrds.php)
  • 4 E-Commerce: The Adventure starts in Bangladesh/LightCastle Partners/January 2016
  • 5 E-Commerce in Bangladesh/University of Liberal Arts Bangladesh/January 2016
  • 6 Consumer Expectation from Online Retailers in Developing E-commerce Market: An Investigation of Generation Y in Bangladesh/ Syed Mahmudur Rahman/ BRAC Business School, BRAC University, Dhaka, Bangladesh/June 2015
  • 7 LightCastle Partners Survey on Digital Consumers, 2015

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