SDG2020.06.30
地域: タクルガオン県
分野:冷蔵
持続的な消費活動は、環境への影響を最小限に抑えたサービスや商品の使用を促進し、次世代の子どもたちが将来の基本的なニーズを満たすことができるよう持続可能な生産消費形態の構築を目指しています。現在の消費活動によって資材需要の増加による資産過剰抽出や、 環境資産の劣化が課題として挙げられており、迅速な対応が求められています。地球資源に関する専門知識を向上させ、無駄を最小限に抑え、すべての部門で共通の持続可能性慣行を持つ必要があります。
持続可能な開発目標SDG12の指標12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる」は、小売業者から消費者レベルまで、
1人当たりの世界の食品廃棄物を半減させ、2030年までに収穫後損失を含む生産・サプライチェーンに沿った食品ロスを削減することを目標としています。
図1:ヒマドリ社の冷蔵施設
また、指標12.5「2030年までに、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減する」は、リサイクルによる食品ロスを抑えることを目指しています。 ヒマドリリミテッド(Himadri Limited、以下ヒマドリ社)は、上記の2つの指標に基づき、SDG12の達成に貢献しています。現地企業エジャブグループ(Ejab Group)の冷蔵会社であるヒマドリ社は、1964年に設立され、1974年に現在の経営体制が構築されました。 設立当時、同社はロングプール県に1つの冷蔵施設を保有するにすぎませんでしたが、現在では、バングラデシュ北部(ロングプール県、タクルガオン県、ガイバンダ県、ボグラ県、 ジョイプールハット県)に5つの冷蔵施設を設立し、合計6つの冷蔵施設を運営しています。
バングラデシュ北部は、ジャガイモの生産が盛んであるため、「ジャガイモの鉱山」として知られ、ヒマドリ社は、主にジャガイモの冷蔵保存事業を営んでいます。 同社は、バングラデシュの食品産業の貢献に向けた幅広いビジョンとミッションを持って事業に取り組んでおり、ビジョンは、冷蔵食品業界をリードする組織の1つとして、 消費者一人ひとりの心の中にヒマドリ社を設立することです。
<ミッション>
同社には107名の従業員がおり、同業界のベンチマークとして働く従業員を育てるために、革新的な事業やサービスを継続的に幅広く提案できるよう、 国際基準に則った最新のトレーニングを実施しています。彼らは、トレーニングの成果を特定するため、 会社の人事部門と社長自身がが作成した透過的パフォーマンス管理プロセス(PMP)を通じてトレーニングを評価しています。 同社社長によると、このPMPは、会社を持続的に成長させるのに役立つと言い、能力開発の具体的なステップは下記に示した通りです。
ヒマドリ社の主な活動は、ジャガイモを冷蔵保管し、さまざまな顧客向けにさまざまなポテトとポテトシードを処理することです。 彼らは、革新、カスタマイズ、コスト効率、納期厳守を企業価値として掲げています。
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図2:冷蔵施設内のジャガイモ選別作業 |
図3:冷蔵保存されているジャガイモ |
同社の顧客セグメントは、バングラデシュ北部、特にロングプール県の農家とジャガイモ業者です。 顧客がヒマドリ社のサービスを利用するためには、同社事務所前に設置された予約表から予約する必要があります。農家・取扱業者は、 ヒマドリ社に直接電話で予約をすることができますし、同社マーケティング担当者がジャガイモ畑に直接行き、農民にヒマドリ社のサービスについて説明し、 その場で予約を取り付けてくることもあります。その後、収穫が完了すると、農家・取扱業者はジャガイモの袋を冷蔵倉庫まで運び、冷蔵保存します 。ジャガイモ受け取りの際に、腐ったものがあれば、冷蔵管理者によって検査・処理されます。 その後、梱包されたものが計量され、重量に応じて保管費用が決まり、支払いが済むと、通常6〜8ヶ月間保管されます。
ヒマドリ社の収益は、ジャガイモの冷蔵保管費用から捻出されており、保管費用はシーズン毎に変動します。現在、 50Kgのジャガイモ袋に対して220タカ(約285円)/kg、1kgあたり4.4タカ(約5.7円)で運営されています。 ヒマドリ社の冷蔵倉庫は、主にヨーロッパの冷蔵/冷蔵機を使用しており、他にも中国やインドから輸入されています。