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HOMESDG長年抱える課題「水」

SDG2020.06.30

目標13:気候変動に具体的な対策を

【バングラデシュにおける持続可能な開発目標(SDG)】

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分野:

今話題になっている気候変動の問題は、予想をはるかに超えて進行おり、温室効果ガス(HGH)の排出量が世界的に増加し、世界中に影響を及ぼしています。 すでに世界的に取り組まれている対策や目標以上に、戦略的で迅速な対応が求められています。 SDG目標13は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことを目指しています。

SDG13に向けた取り組み、Noor Eco Bricks Limitedの場合)

ノール・エコ・ブリック・リミテッド(Noor Eco Bricks Limited)は、バングラデシュのレンガ製造会社であり、従来のレンガ製造所の煙突から排出される煙による環境劣化を低減するために、SDG13の目標達成と関連付けながら事業を展開しています。バングラデシュで伝統的なレンガ製造所は、二酸化炭素、一酸化炭素、その他の有害物質を含む大量の煙を生成します。

しかし、同社のレンガ製造所では、製造時に発生する煙をレンガの原料と同時に処理するため、有害物質が大気中に放出されることがなく、炭素排出量が削減できます。同社は、年間5,000トンの炭素排出量を削減しています。

ノール・エコ・ブリック社の特徴

同社は、マニクゴンジ(Manikganj)県でレンガ製造工場を運営しており、半自動化技術を採用しています。 生産工程は、掘削機による泥/粘土と砂の収集から始まり、その後、ベルトコンベヤー成形機によって特定の寸法のレンガに形成され、燃焼用の窯で焼きます。同社のレンガ製造には、中国のレンガ製造企業トンネル・キルン(Tunnel Kiln)社の技術を採用しています。 生レンガは、窯の中で石炭と一緒に高温で焼かれます。窯で発生する煙には、炭素が多く含まれていますが、同社は、この煙を生レンガに注入しています。

その結果、二酸化炭素、一酸化炭素、その他の有害物質などが大気に排出されることはありません。

それだけでなく、生レンガは煙によって一度燃焼されるため、燃焼に必要な石炭が少なくなります。この方法は、企業が炭素排出量を削減するのに役立つだけでなく、事前燃焼によるレンガの正確な形状が保証され、レンガを使用している建設工事での無駄が大幅に削減されます。
このレンガは環境に優しく、熱伝導性が低く耐久性があるため、インフラス開発事業においてより高い安定性と耐久性を保証しています。

Tunnel Kiln社のレンガ製造機械

ノール・エコ・ブリック社のビジネスモデル

マニクゴンジ(Manikgonj)県にある同社レンガ工場(2015年設立)では、1日あたり10万個のレンガが生産できるように設計されています。工場稼働率は70%で、毎日7万個のレンガを製造しています。同社のレンガは、 1個あたり8〜10タカ(約10〜13円)で販売されており、販売地域(ダッカ県、ガジプール県、サバール地区、ケラニゴンジ県)に自社トラックで輸送・販売しています。

レンガの製造工程

工場は、70名の作業員と8名の従業員によって構成されており、不動産会社、建設請負業者、中流階級の個人を対象に事業を展開しています。環境に優しいレンガを知ってもらうために、 専門のマーケティングチームがあり、オンラインプロモーションと対面での営業活動を行い、その他にも新聞、看板、LED看板によるブランディングも定期的に実施しています。

SDG13への貢献方法

レンガ製造所の煙突からの二酸化炭素排出は、環境を悪化させる最も危険な行為であると考えられ、同社は、二酸化炭素排出量の削減に貢献する取り組みを行っています。通常、 レンガを焼くときに窯から排出される煙は、大気に放出されていますが、同社はトンネル・キルン(Tonnel Kiln)社の特別な技術を活用して、生レンガと煙を融合して処理しています。 煙は生レンガと共に処理されてしまうため、大気汚染につながらず、SDG 13の目標である「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことに貢献しています。

日本企業に対するメッセージ
  1. バングラデシュのエコ・ブリック市場は、生産のほとんどを中国製機械・技術に依存しています。その機械は費用対効果が高いものの、耐久性が低いため、日本の最新技術の導入を期待しています。
  2. 同社の工場は、半自動化されていますが、完全自動化の導入に向けて取り組みたいと考えており、日本の連携によって工場の完全自動化を進めたいと考えています。
  3. 同社は、ダッカ県南部にあるエコ・レンガ工場において、日本の技術・知識の共有を望んでいます。
  4. レンガ製造所を運営するためには、莫大な投資が必要です。そのため、同社は日本のODA融資や、日本のレンガ製造会社との合弁会社事業などによる日本の資金協力を実現したいと考えています。また、日系企業との新事業立ち上げにも積極的です。
  5. 同社は二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいるため、途上国への優れた低炭素技術・製品・システム・サービス・インフラ等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価し、我が国の削減目標の達成に活用するために設置されている、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)を利用したいと考えています。

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