家庭保健を通じた感染症予防等健康教育強化プロジェクト

Project for Strengthening of Health Education for Prevention of Infectious Diseases through Family Health

終了案件

国名
中華人民共和国
事業
技術協力
課題
保健医療
協力期間
2011年1月〜2016年1月

プロジェクト紹介

中国ではこれまで農村地域での保健システムが脆弱であり、公衆衛生サービスが行き届かない地域が多くあります。近年は生活様式の変化に伴い、感染症予防に加え、生活習慣病や高齢者ケアなど、新たな課題に取り組む必要性が出ていました。日本は、先行プロジェクトで家庭保健サービスの概念を確立し、農村住民の健康増進に取り組んできました。この協力では、具体的なサービスの項目や基準などの設定のほか、住民や地域のニーズに沿った質の高いサービスを提供するための仕組み作りを支援しました。これにより、地域の保健予防活動が強化され、農村住民の健康水準の向上に寄与しました。

協力地域地図

家庭保健を通じた感染症予防等健康教育強化プロジェクトの協力地域の地図

事業評価

協力現場の写真

  • プロジェクトのキックオフとなる開始式では、モデルサイトの県長、計画生育部門の幹部、大学・研究者など、総勢140名近くが集まり、盛大に開催されました。 

  • プロジェクトの実施機関は、1979年に始まった一人っ子政策により、家族計画を推進してきた「国家人口・計画生育委員会」です。プロジェクトでは、この計画生育部門の行政官やサービス施設のスタッフ(技術者)を対象として、人材育成を主眼に取り組んでいます。 

  • プロジェクトでモデル化する家庭保健サービスとは、計画生育委員会が長年にわたり従事してきた家族計画・リプロダクティブヘルスから発展させ、感染症、生活習慣病、高齢者ケアなど、昨今深刻化する公衆衛生上の新たな課題に対し、「予防と健康増進」の観点からアプローチするものです。サービスの範囲やバラエティに広がりが出てくるだけに、発想の転換を図り、知識とスキルを拡充させなくてはなりません。プロジェクトでは、参加型アプローチを取り入れ、行政官同士の議論や専門家からの助言を繰り返しながら、効果的な研修を積み重ねています。 

  • プロジェクトでは、初年度に対象地域における基礎調査を実施しました。調査対象は全体で7,820世帯、約16,000人におよぶ大規模なものです。家庭保健サービスを企画・実施していく上で、その根拠として最も重要となる地域診断(保健医療事情や住民のニーズ、知識・行動等を調べ、地域保健上の課題を分析・特定する)の一環として実施しました。 

  • 同じ地方でも県によって一人当たり平均収入に3倍の開きがある(最高県9,211元、最低県3,305元)といった社会経済上の問題や子どもの男女性別比が143:100という大きな歪みを抱える県があるといった人口構造上の問題など、調査結果から色々なことが判明しました。 

  • 基礎調査結果の分析とともに、プロジェクトでは、日本の健康づくり政策や地域保健の知見も参照し、サービスの企画・実施に役立てています。2011年11月に実施した本邦研修では、高知県を訪問し、日本の現場実務者たちと熱い議論を交わしました。写真は高知県で取り組まれている「高齢者百歳体操」を実体験する研修参加者たち。 

  • 各県にあるサービス施設の外観。このような施設を住民に開かれたものとし、健康知識講座や健康診断、健康上のカウンセリングなどを展開しています。施設で待っているだけではなく、サービス施設のスタッフ自身が地域に足を運び、住民との信頼関係を構築しながら、サービスのアウトリーチ活動を推進している地域もあります。 

  • 健康診断は疾病の早期発見・早期診断において重要な取り組み。家庭保健サービスでは、血圧測定、血液検査、心電図、超音波などの初歩的な検査を通し、地域住民の健康意識を高めつつ、疾病のスクリーニングを推進しています。農村部では「初めて血圧を測った!」という人も珍しくありません。 

  • 健康相談の様子。疾病予防のため、運動や栄養など、生活習慣上のアドバイスをはじめ、地域住民の健康上の心配ごとや質問に丁寧に応えることを目指しています。カウンセリングは特にスタッフの個々の技量が求められるので、プロジェクト推進上の大きな挑戦にもなっています。 

  • 家庭保健サービスはプロジェクト特有、中国特有のオリジナルの概念であり、発展途上のサービスです。プロジェクトの成長とともに、サービスが進展しています。公衆衛生基盤が概してぜい弱な農村部にとって、プロジェクトの成否は、今後の中国保健行政の方向性に大きく影響するもの。関係者一同、その責務とやり甲斐を実感しつつ、活動を進めています。 

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