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過去の無償資金協力によって固定された砂丘脇には、農業ポテンシャルが非常に高い耕作可能地が広がっており、JICAエコビレッジ計画では、このような日本の取り組みによって実現している成果を最大限活用する計画を組み立てていく。なお、固定が十分に行われていない地点に対しては環境・持続的開発省と協力してさらなる砂丘固定を図っていく。
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地下水位が非常に浅い(10メートル程度)というニャイ地区の地理的条件をいかし、太陽光を動力源とした揚水ポンプを設置することで効率的で経済的な農業の確立・普及を目指す。なお、パイロットサイトには機材供与を行うが、その後新規に機材の導入を試みる農業生産者の出現を見据え、地元金融機関(エコビレッジサイトには特別優遇金利を設定)と連携して機材購入資金を調達することができるような仕組みも構築していく。
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ニャイ地区は古くから農業が盛んな地域だが、その中でも発展的な事業者はヨーロッパへの輸出を行っている(マンゴや野菜)。これら輸出業者と連携し、既存の零細農家(希望者)に対して海外輸出を前提とする付加価値の高い農作物の生産基盤の整備支援を行っていく。
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首都ダカールから南方の海岸部に位置するファティック州に広がるマングローブ地帯ではペリカンなどが生息しており、豊かな生態系を誇ってきたが、近年、外部から侵入する人々によるマングローブへの伐採圧力、異常気象による汽水域の変動によってマングローブ林は存続の危機にある。
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かつて日本が同地域で実施した環境保全プロジェクトではマングローブ林の再生にも取り組んだ。その結果、住民は減少しつつあった魚やエビなどの水産物がマングローブ林の復活によって戻ってくることを知り、現在は住民自らマングローブ植林を継続している。
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マングローブ林から得られる水産物は地域住民の貴重な食糧源であり、現金収入を得るための原料でもある。JICAエコビレッジ計画では同地域で活動中の商業・工業・インフォーマルセクター省手工業局、一村一品プロジェクトと連携し、市場のニーズが高い貝の加工品やマングローブ蜂蜜などを中心に地場産業の育成支援を行っていく。
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カウンターパート機関(エコビレッジ庁)は、家畜の糞を活用したバイオガス発生装置(バイオダイジェスター)の普及を目指している。
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乾燥地域に属する北部地域では、遊牧民が大量の家畜を引き連れながら移動している。彼らは点在する給水塔を渡り歩くため、給水塔近くには家畜の糞が自然と集まる。JICAエコビレッジ計画ではこれら未利用資源を活用するためのバイオダイジェスターを普及すべく、水利・衛生省およびエネルギー・鉱山省と協力しながら活動していく。
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ジョウロ灌漑(ニャイ地区) 全ての地域で自家消費用の野菜栽培で利用されるが、流通目的でも苗床や幼少期には作物を痛めないようにジョウロを使って灌漑を行う
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除塩用溜池(ファティック州ファティック県Fayil) 海に近い低位部では除塩用の堤防が建設され、上流側の塩害地が除塩された後、広大な農地で米の減水農業などが行われている