公務員獣医師及び民間獣医師実践能力強化プロジェクト
プロジェクトニュース (2025年1-3月)
本プロジェクトの2025年1月-3月の事業をご紹介いたします。
1.2024年度本邦研修完了と報告会
本年度の本邦研修の実施実績は、以下の通りです。
- 2024年10−12月 酪農学園大学「獣医疫学とリスク解析に関する研修」(2名)
- 10月 北大獣医学部・帯広畜産大学・WOAH「感染症対策に必要な獣医診断技術に関するグループ研修」(7名)
- 10−12月 帯広畜産大学おいて「家畜感染症対策のための獣医官のスキルアップ」(1名)
- 2025年1−3月 北大獣医学部と社台ホースクリニック「産業動物臨床に関する研修」(2名)
- 2025年1−3月 北大獣医学部「獣医寄生虫症診断に関する研修」(1名)
- 2025年1−3月 帯広畜産大学「人獣共通感染症コントロールのための検査技術と研究能力強化(2名)
2024年度は合計6研修課題に対して15名が最先端の家畜感染症などの領域における最先端の検査・診断技術の学習と行政検査機関の訪問を行いました。「An achievement presentation meeting of 2024 Japan trainees」と題する、本邦研修者による報告会を2025年3月19日に対面とオンラインで開催し、それぞれの研修参加者が日本での研修成果を発表しました。本邦研修で得た知識と最新技術が、それぞれの職場において情報共有され、普及されることが期待されます。
2.獣医師免許更新研修会の教材作成:獣医微生物学講座による動物感染症学の翻訳
モンゴルの公立学校で使用する教科書は児童・生徒に貸与され、学年終了時に返却する仕組みとなっています。大学に進学しても、学生が教科書を購入するという習慣は無く、卒業後も獣医学関連教科書が手元にあるという状況にはありません。そもそもモンゴル語の獣医学関連教科書が少ないことが原因で、学生は獣医学部の図書館に所蔵されたロシア語等の古い教科書を借りて勉強している状況でした。そこで2014−20年の獣医学教育支援プロジェクトでは、教育研究環境の整備(機器類)と図書館の教科書(英語)の整備を行いました。しかし、学部教育では英語の教科を利用するというハードルは高く、モンゴル語の最新の教科書が求められていました。
日本でも国際水準の獣医学教育を目指した獣医学教育改善活動の一つとして、獣医学モデルコアカリキュラムの作成とそれに準拠した教科書の作成が2012年から始まり、10数年間で44冊のモデルコアカリキュラムに準拠した教科書が揃いました。そこで、本プロジェクトでは、卒前教育支援と獣医師免許更新研修会の教材開発の一環として、日本のモデルコアカリキュラム準拠教科書のモンゴル語翻訳を提案しました。幸い、出版社と編集委員会からもご快諾を得ることが出来、7人の教員、嘱託教員とプロジェクトアシスタントの9名体制で、モデルコアカリキュラム準拠動物感染症学の翻訳が獣医微生物学講座で始まりました。翻訳・校正・印刷・出版が2月下旬の目標通り進行し、教科書の図書館・4つのカウンターパート、各県獣医局に配本されました。
3.教材作成:MJ-VETによる産業動物臨床学の翻訳と獣医局と21県への配付
また、本プロジェクトでは、公務員獣医師及び民間獣医師実践能力強化の一つとして、21県獣医局に所属する獣医師が自学自習できる教材作成を計画しました。スタッフによる日本のコアカリキュラム準拠「産業動物臨床学」のモンゴル語翻訳が2024年6月から始まり、2025年1月に翻訳が完了しました。2月末に印刷が終了し、3月6日に納品されました。翻訳された教科書は3月18日にGAVS庁官へ引き渡され3月29日にはダルハン市で開催された獣医師管理者会議展覧会で21県への獣医局に配布されました。
2024/5年度本邦研修報告会 オンライン参加者との記念写真
獣医感染症学教科書完成のお披露目と図書館等への引き渡し
モンゴル語教科書の庁官への贈呈と各県の獣医局への配付