診断技術研修の実施

開所式の1週間後、分子診断・血清診断の実践研修を2日間にわたり実施しました。講師は本案件のローカルスタッフMs.Otogontuyaさん(北海道大学で獣医学博士取得)と、2023年8月に実施された国別研修(家畜のウイルス性感染症診断法)の帰国研修員Ms.Davasurenさんが務め、各自の指導能力を発揮しました。

今回、8名の検査技師が参加し、最適な環境で機器操作・実験手技ができ、活発な質疑応答がなされました。ピペット、電気泳動槽等必要な実験器具も十分供給されており、全員が手を動かす効果的な研修となりました。機器の操作法、プログラムの設定方法についても職場に戻っても業務遂行に困らないように丁寧な指導しました。本研修は単位認定対象のため、基準(80%以上)に準じた者には2単位が与えられました。

PCR機器(サーマルサイクラー)の操作説明を受ける研修員

PCR機器(サーマルサイクラー)の操作説明を受ける研修員

PCR 結果確認のためのゲル電気泳動

PCR 結果確認のためのゲル電気泳動

研修員の声:

Ms.Jugjinnorovさん(2019年卒業獣医師 500キロ離れるドルノゴビ県獣医局検査室勤務)大学時代に感染症学研究室に所属されていたが、今回は実技研修を受けられる貴重な機会でした。現職に就いて1ヶ月強ですが、診断業務は初めてです。県の検査室にはPCR検査機器、血清検査機器が最近導入されたものの、前任者が離職してしまい、操作方法を含めて十分な引継ぎができてなく、都市部から離れる地方では実技研修を受講できる機会が少ないため、今回の研修を通じてレビューできました。県獣医局も実技研修の重要性を理解し、旅費を支給してくれました。2024年の免許更新までに必要な単位は獲得できると思います。
また、単位取得研修ではなかったのですが、ラクダ生産に関する研修と、寄生虫による人獣共通感染症の研修(2023年にモンゴルで実施された北海道大学の野中教授の講義)にも参加しました。特に犬を感染源とするエキノコッカス症については日常業務との関連もあることから興味を持ちました。

Battsetsegさん(2012年卒業獣医師)
政府の検査機関(獣医薬品検査ラボ)において、獣医医薬品(輸入品を含む)の品質、安全性等の検査に従事しています。これまでに動物用ワクチンや診断薬の製造を行っている機関にも勤務経験があります。今回の研修は日常業務の遂行にも非常に役に立つプログラムです。今後、薬剤の適切な使用方法、微生物学に関する研修を希望します。

Delgerdalaiさん(2002年卒業獣医師 民間食肉販売会社検査ラボ)
勤務している会社では市場から枝肉(牛、羊)を購入し、部位ごとに小分けして真空冷凍パックとしてスーパー等に卸しています。仕入れた肉の鮮度、残留薬剤、汚染細菌などの検査に従事しているので、今回の研修は非常に役に立ちます。ウランバートル在住のため、研修に参加する機会は多いので必要な単位数取得は難しくないと考えています。今後は職務に関連した畜産製品の検査法や寄生虫学に関する研修を希望します。