プロジェクトニュース:第2回本邦研修の実施(2023年5月)
第2回研修の実施
本プロジェクトでは、カウンターパート機関であるベトナム建設省(Ministry of Construction)の職員計11名(男性4:女性7)を研修員として迎え、第2回本邦研修を実施しました。研修員は5月16日~30日(計15日間)まで日本に滞在し、首都圏を中心に中部・関西地方においても講義・視察に参加しました。
プログラム概要
第1回研修に引き続き、公共土木工事のための方策を企画立案する国土交通省、及びその関連団体による講義を計画しました。また、ベトナムのインフラ整備状況を踏まえ、ダム建設、駅周辺の再開発現場の視察を行いました。
第1回研修参加者のフィードバックを踏まえ、新たに、高速道路会社における施工実態調査、建設事業マネジメントに関する講義、国営公園の管理事業、都市の再開発事業に関する講義及び視察を、研修項目として追加しました。
2023年5月16日(来日)~23年5月30日(離日)
日付 | 研修内容 |
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5月17日 (水) | オリエンテーション 研修概要の説明、研修目標の設定 国土交通省における施工実態調査取り組みの紹介(講義) |
5月18日 (木) | 建設資材価格調査等(講義) 建設情報データシステムについて(講義) |
5月19日 (金) | 首都高速道路における直接工事費の調査概要(講義) 日本の積算基準の管理の概要(講義) |
5月21日 (日) | 関西へ移動 |
5月22日 (月) | 国土交通省国営公園事業(講義・視察) |
5月23日 (火) | 国土交通省近畿地方整備局足羽川ダムにおける事業費等監理委員会の取り組み(講義) 足羽川ダムサイト(視察) |
5月24日 (水) | NEXCO中日本における建設事業マネジメント(講義) トンネル工事現場(視察) |
5月25日 (木) | 都市再開発先例地(講義・視察) |
5月26日 (金) | 国土交通省における間接工事費の調査概要(講義) 駅周辺整備事業(講義・視察) |
5月29日 (月) | 研修取りまとめ 研修成果発表会 |
研修の様子
各講義・視察では質疑応答が行われ、活発な議論が交わされました。質疑応答の中では、日本の制度をより理解し、講義内容をベトナムでも活かせるように、研修員からベトナムの事例を紹介し、それに対して講師の方からより的確な情報を引き出している場面もありました。
研修最終日に開催された最終報告会では、本研修で学んだことや今後に活かす抱負等が研修員から発表され、有意義な機会となったとの発言もありました。
研修の様子
5/23(火) ダム建設事業(視察)
5/23(火) ダム建設事業(講義)
5/25(木) 都市再開発先例地(講義)
5/26(金) 駅周辺整備事業(視察)
研修員の所感
下記①~③で研修員に取ったアンケート結果を取り纏めたものを記載します。
➀研修に参加するにあたっての目標設定
日本における建設コスト設定及びコスト管理に関して、積算ツールや建設コスト管理のためのデータ収集システムに関して学ぶことを目標としていました。
➁研修での学び
ベトナムでは、建設省が一括して建設工事価格の設定・管理方法の指導、歩掛(ひとつの作業を行うにあたり、必要な作業の手間を数値化したもの)の作成、建設投資率、工事単価、建設物価指数、機械単価の基礎データ等の公表を行っています。
建設工事を管理する省庁は、工事の特定作業項目に関する歩掛を発行しており、省人民委員会(日本でいう県庁のような組織)は、地方における建設投資額の決定と管理に関する指導を行っています。
一方、日本では、国土交通省に加え、地方自治体やその他の組織(国土技術政策総合研究所(NILIM)、日本建設情報総合センター(JACIC)、一般財団法人国土技術研究センター(JICE)等)が建設投資コストの設定や管理に効果的に関与しており、建設投資コストの設定、管理に関する法規定は、透明性、信頼性、明確性、利便性を備えていると感じました。
日本では、安全確保、環境保護、先端技術応用のためのコストが高く、建設投資額に占める割合が高い傾向にも関わらず、経済効率は非常に高くなっています。このことは、事業管理や建設投資額の管理に関する政策策定に関わる私たちにとって、大きな教訓となりました。
③研修の支援体制に関して
国土交通省及びプロジェクトチームの専門家2名が同行し、講義や日常の支援、土日の活動の調整を行ってくれました。温かい歓迎を受け、必要な時に適切なサポートを受けることができたと感じています。
各講義時間の設定や、研修全体の行程は土日の活動を含め適切だったと思います。質疑応答の時間は足りないこともあったため、もう少し長めの時間設定をして欲しいと思います。
研修期間中、様々な場所を訪れ、多くの人に触れあったことで、日本の人々に対する理解が深まりました。日本人はフレンドリーで、自分の仕事に対し責任感が強いと感じました。
第2回研修を終えて
本研修の主な目的は公共建設工事の積算能力強化で、研修資料の内容は専門性の高いものとなります。本邦研修以外の活動の中でも、日本語-英語-ベトナム語の用語の定義が重要で、ベトナム語資料の作成には留意してカウンターパートと協議しています。本研修の説明資料においても、各受入機関から受領した資料をベトナム人技術者と協力してベトナム語資料を準備しており、一定の評価を受けました。
また、本研修において、各講義及び視察の内容が有益であったかどうか等、講義内容に関して、5段階評価のアンケートを実施しました。その結果、平均4.18の回答が得られ、研修全体としても研修員のニーズに応えることが出来た研修となりました。
5/29(月) 研修成果発表会の様子