能力開発研修(フェーズ3)レポート②「効率的なティラピア養殖」

前回のプロジェクトニュースの内容の通り、2023年6月から、SDG14プロジェクトは、南太平洋大学(USP)と共同で、水産省職員向けに能力向上研修を開催しています。今回はその中で、「効率的なティラピア養殖」研修の内容をレポートします。

(1)南太平洋大学(USP)とナンドロロ養殖試験場での研修

まず、2023年6月19日から21日にかけ、フィジー首都スバに位置する南太平洋大学(USP)にて北部および西部地区を含む全国の水産省職員を集め、講義形式の研修を実施しました。(総勢26名の水産省スタッフが参加。)本研修では、USPのEsaroma Ledua博士および太平洋共同体(SPC)のChinthaka Hewavitharane博士を講師として招き、ティラピアの餌料学に関する講義を実施しました。その中で、参加者は、フィジー国内で入手可能な原料を用いたペレットタイプの餌料づくりの方法を学ぶとともに、ディスカッション形式で、エサの栄養バランスおよび完成後の価格を考慮に入れながら、自作の餌料の配合を考案しました。その後、2023年6月24日から28日には、同メンバーで水産省ナンドロロ養殖試験場(NRS; Nandoulou Research Station)にて実習形式の研修を行いました。その中では、前週のUSPでの研修内で考案した餌料を、ペレット作成機およびミンチ肉製造機を用いて実際に作成する実習を行いました。さらには、1) メーカーで製造された既存の餌料、2) 輸入品の餌料および3) 研修中に参加者によって考案された自作の餌料の3群を設け、これらの成長効率を比較する試験をスタートさせました。さらには、これら3種の餌料の水中での安定性を調べる試験を行うとともに、正しい給餌方法を学ぶ実習も行われました。

本研修は、参加者が餌料や給餌に関する知識を得る場となっただけではなく、フィジー国内の水産省に勤務するほぼすべての養殖スタッフが一か所に集まり研修が出来たことで、各養殖場が抱える問題点や優れた点を共有しあえる良い機会となりました。

餌料の配合を考案する実習(@ USP)

餌料の配合を考案する実習(@ USP)

餌料比較試験の個体収取(@ NRS)

餌料比較試験の個体収取(@ NRS)

ペレット製造機で餌料の作成(@ NRS)

ペレット製造機で餌料の作成(@ NRS)

完成した餌料

完成した餌料

試験用の個体を収容する試験場(@ NRS)

試験用の個体を収容する試験場(@ NRS)

集合写真

集合写真

(2)ディケティ(Dreketi)養殖試験場での研修(フィジー北部地区)

7月5日から7日において、上記 (1)の研修に関連して、北部地区に位置するディケティ(Dreketi)にて研修が開催されました。本研修では、USPのEsaroma博士が講師を行いました。(総勢12名が参加。)
 本研修では、水産省北部地区に所属する養殖普及員(8名)およびディケティ養殖試験場に勤務する作業員(2名)に対し、ティラピアの給餌および餌料作成に関する実習を実施しました。研修生は、ディケティ周辺で入手可能な材料を主として自作のペレットタイプの餌料を考案し、実際に製造を行う研修を行いました。また、NRSの研修と同様、餌料メーカの既存品餌料と、自作のペレットを使用した際の成長効率を比較する試験をスタートさせるとともに、正しい給餌の方法を学ぶ実習にも取り組みました。さらに、上記(1)の研修(@ USPおよびNRS)に参加したスバ事務所に勤務する養殖課職員(2名)も本研修に参加し、これら2名が他の参加者の指導に当たるなかで、養殖普及員としてのスキル向上を図りました。

餌料の配合を考案する実習 (@ ディケティ試験場)

餌料の配合を考案する実習
(@ ディケティ試験場)

ミンチ肉製造機を用いたペレット製造

ミンチ肉製造機を用いたペレット製造

餌料比較試験を行う際の個体収取 (@ ディケティ試験場)

餌料比較試験を行う際の個体収取
(@ ディケティ試験場)

集合写真

集合写真

(3)バ(Ba)試験場での研修(フィジー西部地区)

7月17日から19日の三日間、フィジー西部に位置するバ(Ba)でも、同様の研修が開かれました。(総勢8名が参加。)本研修では、水産省西部地区に所属する養殖普及員(5名)およびバ養殖試験場に勤務する作業員(1名)に対し、ティラピアの給餌および餌料作成に関する実習を実施しました。研修には、USPのEsaroma Ledua博士および太平洋共同体(SPC)のChinthaka Hewavitharane博士を講師として招くとともに、前述の(1)および(2)の研修に参加した、スバ事務所に勤務する養殖課職員(2名)も本研修に参加し、これら2名が他の参加者の指導に当たりました。バでも同様に、今後は、餌料メーカの既存品餌料と、自作のペレットを使用した際の成長効率を比較する試験をスタートさせました。8月上旬には、講師とJICA専門家でそのモニタリングで再度訪問する予定です。

餌料の配合を考案する実習 (@ Ba Fisheries Service Centre)

餌料の配合を考案する実習
(@ Ba Fisheries Service Centre)

ミンチ肉製造機を用いたペレット製造

ミンチ肉製造機を用いたペレット製造

給餌方法に関する指導

給餌方法に関する指導

集合写真

集合写真