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第3回南南協力研修開催について

2024年9月23日から9月27日の5日間、バヌアツ共和国において、第3回南南協力研修を実施しました。第1回、第2回南南協力研修ではバヌアツの水産局職員をフィジーへ招き、本プロジェクトのこれまでの取り組みをプロジェクトサイトに招き紹介しました。また、バヌアツからは、「豊かな前浜プロジェクト」の成果を共有してもらい、南南協力研修を利用して両国共に学びあいの場としていました(南南協力レポート①②記事参照)。今回の南南協力研修では、フィジーの水産省職員5名がバヌアツに招かれ、「豊かな前浜プロジェクト」の活動成果の確認、プロジェクトサイトの視察、コミュニティメンバーおよび担当職員とのディスカッション等を行いました。この5名は、本プロジェクトで実施している小規模プロジェクトの中核的な存在であり、JICA-USP研修で優秀な評価を受けた方達です。そのため、今回の南南協力研修でも彼らの専門分野に基づいた意見交換が出来ました。今回はその様子をご紹介します。

1日目:両国の優良事例紹介とディスカッション

1日目は、JICAバヌアツ支所の内島支所長より開会の挨拶をいただき、バヌアツ側からは、Lucy Joy 上席研究員より、これまでの継続的なJICA支援や南南協力に対する謝意が述べられるとともに、今後の水産セクターの能力向上のため、引き続きフィジーとバヌアツによる協力の継続の意思と実りあるバヌアツへの援助を期待していると挨拶をいただきました。

発表はバヌアツ側から、バヌアツの「豊かな前浜プロジェクト」の優良事例の紹介やコミュニティによる沿岸資源管理手法の紹介、漁獲データ収集、IUU漁業に関する巡回監視などテーマに、各部局の担当者からプレゼンテーションをしてもらいました。バヌアツは南北約1,200kmにわたって広がる約80の島が連なるようにして形成されている群島構造です。そのため水産局員がバヌアツ全域の巡回監視を行うことや、漁獲データ収集に水揚げを水揚場に確認する事は非常に難しく、コミュニティの力に頼らざるを得ません。コミュニティ主体の資源管理手法や、水産局とコミュニティ間でのかかわり方はフィジー水産省にとって学びの多い事例であるという意見が、研修参加者より得ることが出来ました。

フィジーからは、小規模プロジェクトの代表として魚類以外のデータ収集、フィジー全域の水揚場GPSマップ化、IUU漁業取り締まり強化、漁業協同組合による魚市場の活性化に関するプロジェクトの事例を紹介しました。ディスカッションを通して、バヌアツは魚類以外の市場規模がフィジーと比べ小さいため、魚類以外のデータ収集に関してはフィジーが先進的である、という意見を聞くことができました。例えば、ノコギリガザミなどは一部の離島地域では自家消費利用のみで漁獲していますが、それ以外では商業的な漁獲は行われておらず市場で販売されることはあまりありません。こうした漁業形態の違いなども両国の参加者からは学びがあったというコメントがありました。

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集合写真

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フィジー水産省からのプレゼンテーション

2日目:タカラ・マンガリリウにおけるコミュニティによる資源管理手法紹介

2日目以降はバヌアツの取り組みを見学するため、エファテ島の各プロジェクトサイトを訪問しました。2日目はタカラ・マンガリリウ地域におけるコミュニティマネジメントの実例紹介でした。地先のコミュニティが保護している禁漁区(Tabu eria)に関する取り組みをコミュニティの方達から直接紹介してもらいました。コミュニティでは一定期間禁漁を解禁する際に、禁漁区から得られた漁獲の半量をコミュニティの組合に渡し、利益を還元しているとの事でした。そこから得られた利益は教会の建設費や、コロナ時に学費が払えない家庭への奨学金として利用しているなど、コミュニティ全体の利益となる取り組みでした。タカラにおける教会は、集会所や公民館、サイクロン時の緊急避難場所として利用するなど、宗教施設としての利用だけではなく多機能施設として利用されているということでした。また、マンガリリウでもコミュニティがサンゴ・貝類の種苗生産を行い、育成している海域を観光業のために開放しコミュニティが利益を創出しているという実例を聞きました。フィジーでも、一部リゾートホテルがそのような活動を行っている実例がありますが、小規模でありバヌアツの活動を見て、非常に学びが多かったとフィジー参加者から意見がありました。

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コミュニティメンバーによる活動内容のプレゼンテーション

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協同組合の収益で建てられた教会

3日目:魚類の高品質化など、バヌアツの取り組み紹介

3日目では、魚の品質管理の取り組みを、バヌアツ水産局の担当職員から紹介してもらい、実際に路上販売所を訪問しました。魚の品質管理と検査では、バヌアツの取り組み・制度において、フィジーと比較し独自性を有する点がいくつか存在することがわかりました。バヌアツでは食品の安全を確保するための衛生管理手法(HACCP)に対する取り組みが水産局で一元化されています。路上販売における魚の品質管理検査をバヌアツ水産局の担当職員が販売人への聞き取り(いつ・どこで取ったか等)と、温度検査を実施しています。フィジーでは、このような検査を行う業務は保健省の担当となり、水産省が指導できません。しかし、バヌアツの取り組みを通して、魚の品質管理でどのような点に気を付けなければいけないか、魚の処理方法の違いなどフィジー参加者から活発な意見交換がありました。また、ナマコ加工場も訪問し、ナマコに関する資源管理手法も紹介してもらいました。バヌアツにおけるナマコの資源管理は専門の管理計画に基づき管理されており、企業が国および水産局へ漁獲の申請し、ライセンス等の全ての諸経費を企業が全て負担した上で、漁獲予定地のナマコ資源量調査を実施し、漁獲可能対象種とその漁獲量を決定するそうです。その後コミュニティのチーフへ漁獲許可を申請し、コミュニティにより漁獲されるそうです。つまり、ナマコ漁は、企業が行わずコミュニティ主導でおこなわれるため、過剰な漁獲や報告のない漁業が行われず、きめ細かい資源管理が行われているそうです。このような体系化した資源管理手法は先進的な事例でありフィジー参加者も積極的に担当者からの説明を聞いていました。

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魚市場視察の様子

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ナマコ加工場の視察の様子

4日目:バヌアツのティラピア養殖プロジェクトの取り組み紹介

4日目は、バヌアツで実施しているティラピア養殖プログラムを視察しました。Farm 2 Schoolと呼ばれ、学校がティラピア養殖池を管理し、その池で獲れたティラピアを給食として提供するという取り組みです。バヌアツにおけるティラピア養殖の多くはフィジーと異なり、自家消費が多く商業的な漁業としてのレベルには未だ到達していません。これまでの意見交換からその想定される原因として、餌代などの高いランニングコストと養殖農家に対する適切な養殖方法の指導プログラムが確立していないことなどがあげられます。フィジーでも同様に餌の問題がこれまで挙げられていましたが、本プロジェクトではこれらの問題を水産省が解決するべく、養殖農家自身で作成可能な餌の製造法のワークショップを行ってきました。さらに、新規の養殖農家に対する研修マニュアルも作成し、フィジー中部・北部・西部の養殖農家に対しスタートアップの研修を開催しました。加えて、年末にはティラピアの成長効率の良い新系統の輸入を予定しています。これらのことからバヌアツ水産局にとってフィジーのティラピア養殖は学ぶべきところが多くあるため、今後も協力関係を結び両国のティラピア養殖の発展に貢献していきたいとの意見がありました。

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校長との意見交換

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ティラピア収穫作業

5日目:南南協力研修まとめ

最終日5日目にはフィジー・バヌアツ両国で今後の南南協力研修に関するディスカッションがおこなわれました。本プロジェクトでは今回の南南協力研修が最後となります。そこで、本協力で取り上げられたフィジーおよびバヌアツの優良事例を踏まえ、「両国が抱える課題」と「相手国に提供可能な技術」の分析を研修参加者とともに行いました。さらに、上記の結果を踏まえ「2030年 までに達成すべき目標」の設定も行いました。また、これらの結果を踏まえて来年1月にはサモア、トンガといった他の大洋州域を含めた地域セミナーを実施します。