能力開発研修(フェーズ3)レポート③「ノコギリガザミの畜養」

前回のプロジェクトニュースの内容の通り、2023年6月から、SDG14プロジェクトは、南太平洋大学(USP)と共同で、水産省職員向けに能力向上研修を開催しています。今回はその中で、2023年7月5日から7日に開催された「ノコギリガザミ畜養」研修の内容をレポートします。

ノコギリガザミ(Mud Crab Scylla serrata)は、フィジーのマングローブ林に広く生息しており、人びとに一般的に食されています。その需要が高いこと、採捕が比較的容易なこと、マングローブ林(デルタ地帯)の住民の主要な生計手段になっていることから、資源量の減少が危惧されており、フィジー政府は12.5cm未満の採捕を禁止しています。しかしながら、南太平洋大学(USP)やフィジー水産省の調査によると、首都のスバや近郊の市場に出回っているノコギリガザミの約80%が、違法サイズであることが指摘されています。このままでは、ノコギリガザミ資源の持続性を確保することができないのは、誰の目にも明らかでしょう。

そこで、2022年より水産省中部地域事務所は、マングローブ林に位置するヴヌク村を対象に、ノコギリガザミの畜養を実施しています。この過程で、効率良く成長率を上げるために、異なる飼育環境(池と水路)や餌(魚、マングローブの葉、双方のミックス)を組み合わせて観察しています。今回の研修では、フィジー国内の他の地域事務所からの参加者も含む14名をヴヌク村へ集め、ノコギリガザミの成長に関するデータ収集や分析方法を実習しました。その結果、2カ月間に渡る期間では、飼育環境は池、餌はミックスという組み合わせが、最も成長率が高いという結果になりました。しかしながら、殻幅や体重などの測定値にばらつきが見られるため、今後より正確な方法でデータ収集を継続していく必要があります。また、今後の南南協力で用いるための、ノコギリガザミの畜養マニュアルをドラフトしました。

ノコギリガザミの畜養池。プロジェクトと協力して、ヴヌク村の人びとが掘った。

ノコギリガザミの畜養池。プロジェクトと協力して、ヴヌク村の人びとが掘った。

水路でのマッドクラブの畜養。異なる環境下での成長率を比較。

水路でのマッドクラブの畜養。異なる環境下での成長率を比較。

畜養池での水産省と村の人びとによるデータ収集。

畜養池での水産省と村の人びとによるデータ収集。

ノコギリガザミの殻幅を測定。

ノコギリガザミの殻幅を測定。

データ解析を行うUSPラジェッシュ博士と村の若者達。

データ解析を行うUSPラジェッシュ博士と村の若者達。

集合写真

集合写真