プロジェクトニュース ブヌク村におけるノコギリガザミ畜養アップデート
2024年1月から5月までの期間、水産局中央事務所主導の下、小規模プロジェクトとしてブヌク村におけるノコギリガザミ畜養プロジェクトのトライアル4を実施していました。これまで、中央事務所はノコギリガザミ畜養に最適な餌の研究(魚屋から提供される魚くず、マングローブの若芽、およびそれらを混合したもの)や安価で入手しやすいコンテナによる飼育手法の開発など様々な研究を行ってきました。
今回のトライアルでは素掘りの池の中に110匹のノコギリガザミを粗放的に飼い、成長と生存を観測する試験を行いました。これらのノコギリガザミは村の漁師が捕獲したものの、漁獲サイズ(12.5cm)以下であり市場では販売できないノコギリガザミでした。今回、110匹中、64匹の生存が確認され、うち17匹が12.5cm以上まで成長し、それを市場で販売したところ、200フィジードル以上(日本円で約1万3千円)の売り上げになりました。
ブヌク村で本プロジェクトに協力してくれている漁師達は、「今回がトライアルを開始してから初めての収穫になり、収益が出て非常に嬉しい。また、池の水換えの時に、川から入った魚やエビなどが池の中で成長し、これも一緒に収穫できて思わぬ利益になっている。このプロジェクトとは別に新しい池を掘り、自分達で畜養を始める予定である。」と語っていました。
現在も野良犬などが侵入し食い荒らす、カニが池から逃げ出す、など課題があります。しかし、漁師たちのモチベーションは高く、フェンスを新規に貼りなおし、池の管理に前向きな対処をコミュニティ全体で行っています。
中央事務所ではこれまでのトライアルで得た結果を基に、成功事例とマニュアルを編纂し、ブヌク村で得られた知見をフィジー国内や大洋州島嶼国と共有する予定です。また、7月8日から17日まで開催予定の第二回南南協力研修では前回同様バヌアツから水産局の職員を招き、本プロジェクトの研修コンサルタントによるノコギリガザミ畜養に関する講義と市場におけるノコギリガザミの違法サイズの販売に関する啓蒙活動を実施する予定です。
そして今月からトライアル5が実施されます。トライアル5では、①川におけるコンテナ飼育と②池におけるコンテナ飼育、③池に粗放的に飼育する手法を、先に述べた3種類の餌で飼育します。これからもJICAは中央事務所とブヌク村でノコギリガザミ畜養プロジェクトと、フィジーにおけるノコギリガザミの資源保全に向けた活動を支援していきます。
トライアル4の5か月間で十分に成長したノコギリガザミ
収穫物を自慢するVunuku村のリーダー漁師
フィジーで一般的に使われるカニ籠による漁獲
川から入ってきて池内で成長しているエビ(テナガエビの一種)
コミュニティのメンバー総出で池周辺のフェンスを鉄製に張り替えている様子
池内におけるコンテナ飼育の様子