キア島IUU漁業対策監視塔供与式の開催
SDG14プロジェクトではフィジー水産省北部事務所が実施している小規模プロジェクト「ゴリゴリ・ザコバタ・マグアタのキア島周辺における違法漁業の取り締まり強化(Improvement of Enforcement Activities in Qoliqoli, Cokovata, Macuata focusing on Kia Island.)」の支援を行っています。ゴリゴリとは漁場Fishing Groundのことで、ザコバタ・マグアタとは、その漁場につけられた場所の固有名詞です。キア島はフィジー北西部に位置する離島であり、島の周りにはオーストラリア・メキシコに次ぐ世界三番目の大きさのサンゴ礁(The Great Sea Reef)が広がっており、豊かな漁場としてフィジーでは知られています。一般にサンゴ礁はダイビングなど観光のイメージがありますが、サンゴ礁は豊かな漁場としての機能や、台風・津波などの天然の防波堤としての機能も有しています。キア島一帯では、その豊かな漁場を目当てに、IUU(Illegal違法・Unreported無報告・Unregulated無規制)漁業が操業されており、水産省はこれらの取り締まりを喫緊の課題として対策を講じる必要がありました。そこで、フィジー水産省北部事務所は2022年にJICAが開催したPCM研修にて具体的なIUU漁業対策を計画・立案しました。その計画を基に、キア島の見晴らしの良い場所に監視塔を建設し、コミュニティと警察、海軍、水産省北部事務所が協力しながら違法な操業を取り締まる監視体制を構築することとなりました。そして、今年6月に計画の中核となる監視塔がキア島に完成し、2024年6月11日に供与式を開催しました。供与式にはフィジー農林水産大臣並びに警察関係者や海軍関係者が出席し、JICA側からは本プロジェクト専門家およびJICAフィジー事務所所長が参加しました。
JICAは本プロジェクトで、この監視塔建築にかかる資材費、監視に用いるライト、無線機器、GPS、カメラなどを供与しました。供与式では、農林水産大臣がこれら供与機材を含むこれまでの支援に対するJICAへの謝辞とIUU漁業対策に関するフィジーの姿勢を表明しました。供与式後、関係者全員で監視塔まで現場視察しました。監視塔は、見晴らしの良い丘にありますが、道も険しく建設現場まで資材を運ぶのも容易ではなかったそうです。それにもかかわらず、キア島のコミュニティの方々の協力により、建設現場までの道が整地され建設までこぎつけました。これからの監視塔の管理や実際の監視任務にもキア島のコミュニティが協力してくれることになっており、様々なステークホルダーがキア島のIUU漁業対策に問題意識を持ち、期待を寄せていることが体感できました。
これからも本プロジェクトでは、現地コンサルタントと共に監視塔の運用に関するフォローアップ研修などを開催し、引き続きフィジーのIUU漁業対策へ協力していきます。
監視塔を前にした水産大臣とJICAフィジー若杉所長
キア島の監視塔で活用する機材(カメラ、無線、GPS等)とその供与式
コミュニティで開催した監視塔供与式で歓迎される水産大臣と若杉所長
監視塔から一望できる光景。写真奥、海上を横断する色の境界がGreat Sea Reef
キア島遠景、監視塔は島の左端の上に建設された
キア島監視塔