災害リスクを自分のこととしてとらえる-日本の復興経験を共有-

2020年2月6日にモザンビークのソファラ州ベイラ市で第一回目セミナー、2月11日に首都マプト市で第一回合同調整会議(JCC:Joint Coordination Committee)を開催しました。それぞれの機会で、中央および地方復興関係機関や協力関係者とプロジェクトの概要や進捗状況を確認しました。また、東日本大震災からの日本(宮城県東松島市)の復興の経験を紹介し、一人一人が将来の災害リスクを自分のこととしてとらえ、復興に取り組むことの大切さを参加者と共有しました。

第一回セミナーの開催@ベイラ市

第一回セミナーは、サイクロン・イダイによって甚大な被害を受けた地域の一つであるベイラ市で開催されました。同セミナーには、ベイラ市職員、サイクロン・イダイ復興庁、国家災害対策院、関係政府機関のソファラ州事務所、パイロット事業(対象公共施設の復旧・強靭化を図るとともに、周辺地域の災害時対応計画の策定を支援)の実施対象である学校関係者、地域コミュニティの代表者、NGO、ドナー関係者など、100名以上の関係者が参加しました。日本側からは、宮城県東松島市役所、JICA本部、JICAモザンビーク事務所、本プロジェクト調査団の関係者が参加しました。

同セミナーでは、「ベイラ市復興・強靭化計画に沿った行動計画を作り、よりよい復興(BBB:Build Back Better)の実現を目指したい」とベイラ市職員がプロジェクト全体の概要および進捗状況について説明しました。その後、本プロジェクト調査団から、ベイラ市を対象としたサイクロンによる高潮・降雨による浸水ハザード分析状況を説明しました。また、「住民の皆さんとともに復興の段階から、次の災害に備えることが大切です」と、東日本大震災時の津波被害の状況や復興の経験・教訓について、東松島市職員の川口さんからご自身の復興経験を交え説明がありました。その後、参加者からは、「将来の災害リスクに備えてどのような対策が考えられるのか」、「日本では災害対策を検討する際、住民や関係者との話し合いはどのように進められたのか」などのコメントや質問が多くでるなど、非常に活気のあるセミナーになりました。セミナーを通じて、出席者は災害リスクを自分のこととして考え、復興をすすめながら、将来起こりうる大規模災害に備えた防災・減災活動を事前に計画し、推進していくことの重要性について理解を深めました。

ベイラ市における第一回セミナーの様子

ベイラ市における第一回セミナーの様子

セミナーで質問する被災した学校関係者

セミナーで質問する被災した学校関係者

第一回合同調整会議(JCC)の開催@首都マプト

第一回合同調整会議は、復興庁のフランシスコ・ペレイラ長官を議長として開催され、モザンビーク国の協力機関である行政管理・公共機能省、公共事業住宅水資源省、教育人間開発省、保健省、土地環境省、国家災害対策院、ベイラ市、ANAMM(モザンビーク国自治体連盟)など幅広い分野の機関から代表者が参加しました。また、復興支援に関与している世界銀行、アフリカ開発銀行、WHO(世界保健機関)、EU(欧州委員会)などの国際協力機関も参加しました。日本側からは、宮城県東松島市、在モザンビーク日本大使館、JICA本部、JICAモザンビーク事務所、本プロジェクト調査団の関係者が参加しました。

今回の合同調整会議では、プロジェクト全体の概要と進捗、将来起こりうるサイクロン災害(高潮・降雨)による浸水シミュレーション分析結果、東日本大震災からの復興事例(宮城県東松島市の事例)を共有しました。

会議冒頭の挨拶では、復興庁ペレイラ長官から、本プロジェクトの愛称をARPOC(アルポック:Aumento da Resiliência Pós - Ciclones:サイクロン後の強靭化の促進)とすることが宣言されました。また会議全体を通じて、プロジェクトで作成するハザードマップを踏まえて、よりよい復興(BBB:Build Back Better)をハード整備とソフト対策を総合的に推進していくことの重要性が強調されました。参加者からは、「ハザードマップ作成の取り組みを広く普及していくために、戦略的に人材育成・能力強化を図ることが必要ではないか」、「他ドナーなどによる復興支援プロジェクトと効果的に連携していくことが重要」など様々な意見が出され、活発な議論が行われました。会議を通じて、日本の復興経験をモザンビーク版として応用し、将来の災害リスクを常に念頭に置きながら、復旧・復興、防災・減災の取り組みを、関係者が強固に連携して推進していくことの重要性が確認されました。

プロジェクトでは、今回の合同調整会議で確認したハザードマップの検討・承認プロセスをもとに、技術的な検討、関係機関との協議を進めて、可能な限り早い段階でハザードマップを完成させ、ハザード分析を踏まえた土地利用計画を含む復興計画および避難計画の策定支援を進めていく予定です。

第一回合同調整会議の様子@首都マプト

第一回合同調整会議の様子@首都マプト

サイクロンによるベイラ市の浸水シミュレーション結果を説明する辻尾団員

サイクロンによるベイラ市の浸水シミュレーション結果を説明する辻尾団員

東松島市川口さん(左)による東日本大震災の復興経験の共有

東松島市川口さん(左)による東日本大震災の復興経験の共有

復興庁ペレイラ長官(左から3番目)、東松島市川口さん(右から2番目)との集合写真

復興庁ペレイラ長官(左から3番目)、東松島市川口さん(右から2番目)との集合写真