第1回本邦研修-東北研修編1):日本の復興政策、市の復興計画、地域の活性化-

東北地域における震災後の復興計画、まちづくり、生業回復の理解を深めるため、2月20日から24日にかけて、宮城県仙台市、石巻市、名取市、南三陸町を訪れました。現在モザンビークは夏であり、研修生にとって東北の冬はかなり寒かったようですが、視察で外を歩いている際も、講義の後も活発な質疑応答が続きました。今回の東北研修編1)では、2月20日~22日の研修生の様子をお伝えいたします。

日本の復興政策、市レベルの復興計画/エリアマネジメント(2月20日)

仙台市にあるJICA東北センターにて、復興庁宮城復興局青木健吾参事官補佐より日本の復興政策、復興予算制度に関する講義を受けました。特に災害発生後の被災者支援(仮設住宅、災害公営住宅等の整備)、復興事業に関する予算拠出、税金による復興予算の確保についての制度や仕組みについて説明いただきました。ブジ郡役場から参加したセルジオさんは青木さんの復興に対する熱意に感動し「あなたのように復興や災害対策に向き合いたい」とその場にいた全員が復興に対して気持ち新たに活動をしていきたい!と熱意を分かち合いました。

午後は被災地である石巻市を実際に訪れ、パシフィックコンサルタンツの畠山直樹氏より、市レベルの復興計画、いしのまき元気いちば周辺の堤防とテラスの一体空間といった空間活用事例を学びました。研修生より「地震の警報はすぐにきたか?」「高潮の被害もあるのか?」「将来また津波がきたらどう対応するのか?」「復興住宅へ移るプロセスや家族の規模の想定は?」など、積極的に質問がありました。

石巻市復興まちづくり情報交流館にて、館長のリチャード・ハルバーシュタット氏より、石巻市復興のプロセスの説明を受けている様子。

石巻市復興まちづくり情報交流館にて、館長のリチャード・ハルバーシュタット氏より、石巻市復興のプロセスの説明を受けている様子。

土地利用・移転計画、区画整理の取り組みと地域の活性化(2月21日)

名取市を訪れ、市役所の会議室にてハザードマップを活用した土地利用計画、集団移転計画の策定、区画整理事業とコミュニティ再生について、パシフィックコンサルタンツの安本賢司氏より講義を受けました。午後はかわまちてらす閖上、閖上公民館、復興住宅や防集移転先団地、水産加工場を視察しました。当日は天気がよく、かわまちてらす閖上から、名取川や雪を被った山々の景色がくっきりと見えました。昼食では唐揚が研修生に人気で、またモザンビークでも獲れるタコが名取市の特産品ということで、皆で一緒にたこ焼きも食べました。全体を通して復興住宅、市民と市の調整に関する質問が多く、「日本の宅地の仕組みについて知りたい」「災害の際、建物の損壊を判断する基準はどうなっているのか」「市の考えをどう市民に伝え、連携していったのか」「事業再開の際に補助金等があったか」などの質問がありました。さらに、名取市では閖上公民館や復興住宅の屋上が避難所になっており、避難訓練や共通の避難所マークの使用を通して市民に情報共有をしていることについても、モザンビークでも活用できる事例として学びました。

安本氏より、名取市の復興まちづくりについて現場を視察しながら説明を受けている様子。写真は閖上公民館前にて撮影。

安本氏より、名取市の復興まちづくりについて現場を視察しながら説明を受けている様子。写真は閖上公民館前にて撮影。

かわまちてらす閖上で集合写真。

かわまちてらす閖上で集合写真。

民間による避難所開設(2月22日)

塩竈市の酒蔵、水産物仲卸市場を訪れて地元産業の復興について学んだ後、遊覧船で海岸線を見学しつつ松島町へ行き、塩害で杉林が被害を受けた瑞巌寺を訪れました。水産物仲卸市場では、研修生はモザンビークでも獲れる魚を探したり、様々な加工品を実際に試食してみたりと、自由に散策してもらい加工品のアイデアやイメージを培いました。最終的にかまぼこをおやつに買った研修生もいました。

瑞巌寺訪問後、1時間ほどバスにのり、南三陸町にある南三陸ホテル観洋に移動しました。全員チェックイン後、語り部としてホテル観洋の女将である阿部憲子氏より、震災時の様子、民間の施設を避難所として活用した際の教訓、避難所マネジメントを計画する中での留意点、行政機関との連携について、ご自身の体験を交えながらご講演いただきました。講演の後には、研修生より「コミュニティとうまくやっていくことは難しい。モザンビークでも役立つ経験を教えてもらった。サイクロン・イダイでは電気、水道等のインフラが被害を受け、特に家族を気にかけながら援助活動や仕事を続けるのは困難だった」「同じ女性として阿部氏の取り組みを誇らしく思う」「ベイラ市は気候変動に脆弱な市であり、今後災害に強い建物、また避難所にもなる複数の機能を持った施設をぜひ作っていきたい」等のコメントがありました。

ホテル観洋にて、阿部女将公演中の様子。

ホテル観洋にて、阿部女将公演中の様子。

塩釜仲卸市場で魚介類を見学している様子。

塩釜仲卸市場で魚介類を見学している様子。

今回のハイライト

2月20日、遊覧船に乗る前の塩釜マリンゲートの写真スポットにて。魚のぬいぐるみが大人気で、この後それぞれで魚と写真を撮ることになり、ちょっとした写真大会になりました。

2月20日、遊覧船に乗る前の塩釜マリンゲートの写真スポットにて。魚のぬいぐるみが大人気で、この後それぞれで魚と写真を撮ることになり、ちょっとした写真大会になりました。

2月20日、セルジオさんは宮城復興局青木さんの復興に対する熱意に感動し「あなたのように復興や災害対策に向き合いたい」とその場にいた全員が復興に対して気持ち新たに活動をしていきたい!と熱意を分かち合いました。

2月20日、セルジオさんは宮城復興局青木さんの復興に対する熱意に感動し「あなたのように復興や災害対策に向き合いたい」とその場にいた全員が復興に対して気持ち新たに活動をしていきたい!と熱意を分かち合いました。

2月22日、「女性リーダーだけで写真を撮りましょう!」とアナさん(真ん中)とルイーザさん(右)から提案いただき、阿部氏を含めてグループ写真。

2月22日、「女性リーダーだけで写真を撮りましょう!」とアナさん(真ん中)とルイーザさん(右)から提案いただき、阿部氏を含めてグループ写真。

2月22日、塩竈市の酒蔵、浦霞にて、きき酒を体験中の研修生。真ん中でポーズをとっているのは、ルイーザさん。どれもおいしかったようで、お土産に一本購入していました。

2月22日、塩竈市の酒蔵、浦霞にて、きき酒を体験中の研修生。真ん中でポーズをとっているのは、ルイーザさん。どれもおいしかったようで、お土産に一本購入していました。