第1回本邦研修－東北研修編2）：復興まちづくりと生業回復事業からの学び－

東北地域における震災後の復興計画、まちづくり、生業回復について理解を深めるため、2月20日から24日にかけて、宮城県仙台市、石巻市、名取市、南三陸町を訪れました。今回は2月23日、2月24日の様子をお伝えいたします。

南三陸町はリアス式海岸が特徴的で、40年に一度は大きな津波被害にあっている町です。元南三陸町副町長で、現在南三陸研修センターのセンター長である遠藤健治氏の案内で、南三陸町の復興の取り組みを学びました。午前は視察として被災地である戸倉中学校、震災復興祈念公園（旧防災対策庁舎）、避難所として機能した志津川中学校、産業復興活動の例であるさんさん商店街を訪れ、災害の教訓を今後どのように伝えてゆくか、地元の資源を活かしたブランドグルメ創出（キラキラ丼など）やお土産の開発、民間レベルの活動や助け合いの仕組みづくりについて理解を深めました。特に戸倉中学校には22.6mの津波がきたことから、遠藤氏より「生業の場所は様々であっても、住まいは高台に」が復興まちづくりのキーワードであるとご説明いただきました。

午後は南三陸研修センターにて、遠藤氏より復興をけん引するリーダーシップ、行政レベルの災害要請、全国の行政同士での協力体制、行政防災協定等についてご講演いただきました。質疑応答では「メディアに対した情報発信をするために、どのように市が情報を得たか」「復興住宅の場所はどう選定したのか」「災害を受けた家族が引っ越した際の経済的支援はあったのか」といった質問がありました。

午前は及善商店のかまぼこ工場を見学し、及川善祐社長より水産品の加工産業について、民間企業が住民コミュニティおよび町行政と共にまちづくりの調整協議をどのように行ってきたか、商業がいち早く回復するための取り組みなどを学びました。かまぼこの試食も行い、終了後に及川社長が「正直においしかったかどうか教えてください」と聞くと、ドミンゴスさんが「初めて食べたが非常においしかった。モザンビークでも売れると思う。モザンビークにもかまぼこに使用できそうな魚がいる」と返事をしていました。

午後は地元の特産品、間伐材製品などの商品開発、製造を行っているYES工房を訪ねました。組織による町の雇用および交流の場づくり、地域の資源を活かしたお土産づくり、また市民レベルでの生業回復活動についてYES工房理事の阿部忠義氏より講義をいただき、実際に工房を見学しました。研修生はレザークラフトや繭をつかった工芸品に興味津々で、家族や自分へのお土産にTシャツや看板キャラクターオクトパス君の缶バッジ、ストラップ等、工房でデザインされて販売されているグッズを購入していました。また、研修生より「この布はモザンビークの花の柄でデザインされている。こういった柄をレザークラフトに活用できないか？」との質問があり、阿部氏は「きれいな柄ですね。デザインがあれば可能です。将来コラボできたら面白いですね」と返答していました。缶バッジ（オクトパス君）を購入した研修生は、研修中バッジをジャケットにずっとつけていました。