サイクロン・イダイ一周年祈念イベントの開催-災害体験を次世代に伝えるということ-

昨年の2019年3月14日から15日にかけて襲来したサイクロン・イダイによる強風と集中豪雨では、大勢の方が亡くなり、また多数の住宅や学校などの公共施設が損害を受けました。それから一年を経て、今回モザンビークベイラ市にて、ベイラ市役所が主体となり、2020年3月9日から3月14日まで、サイクロン・イダイ一周年祈念イベントが開催されました。

本邦研修で学んだ祈念碑をベイラで実現

イベントには400人以上のベイラ市民が参加し、このイベントの中で、マキニーノ(Maquinino)エリアの広場への祈念碑の設置も実施されました。祈念碑の設置は、2020年2月の第一回本邦研修で学んだ「次世代に災害を伝える」というアイデアの一部で、研修の修了生であるベイラ市役所職員達が、研修後2週間で早速実行に移した結果、実現することができました。都市開発を担当するベイラ市役所職員で研修修了生であるムパンゴさんは、「この祈念碑は、サイクロンなどの災害に対するレジリエンス向上の必要性を示し、市民に励ましを送るメッセージとなります。」とコメントしています。

祈念碑の前で、ベイラ市長(真ん中)と共に記念撮影をするベイラ市役所職員(本邦研修修了生)たち。

祈念碑の前で、ベイラ市長(真ん中)と共に記念撮影をするベイラ市役所職員(本邦研修修了生)たち。

多彩な祈念イベントの開催

一周年祈念イベントでは、追悼式、サイクロン・イダイについての動画鑑賞、パネルディスカッション、写真展、若者によるディベートセッション、パフォーマンス、市営スタジアムでのサッカーの試合、ビーチの清掃、植樹等が行われました。

特に3月9日8時から12時半まで行われたパネルディスカッションには、JICAを含め、ソファラ州国務長官、ソファラ州保健局、ソファラ州教育人間開発局や赤十字、UN-Habitat等の国際機関、その他様々な起業家や市民団体が参加しました。ディスカッションでは、ベイラ市の現状と復興状況についての報告の後に、「廃棄物システムの課題解決」、「災害危険地域の居住者への対応」、「災害時のスムーズな避難計画の実施」、「都市計画においての大学等との連携」について話し合われました。また、重要な検討項目として、「沿岸保護壁の再建」、「排水および下水システムの改善」、「貯水池の建設」、「グリーンインフラへの投資」、「高台への住居建設」、「浸食に耐える植物種を海岸沿いに植樹する」ことなどが言及されました。

祈念イベントを通じた防災意識の向上を!

今回のサイクロン・イダイ一周年祈念イベントは、市民が防災の意識を高め、復興への決意を新たに団結する素晴らしい機会となりました。今後ベイラ市の復興計画を進める過程の中で、災害体験を風化させずにいかに次世代に伝えていくかを考えることは、防災意識を高める上で非常に重要になります。今後もベイラ市が主体となり、本プロジェクトとも協力し、コミュニティイベントや避難訓練、防災教育のワークショップを開催していきます。

最後に、ベイラ市の一日も早い復興を心よりお祈りいたします。

サイクロン・イダイ一周年祈念イベント中に、参加者が祈りをささげている様子。

サイクロン・イダイ一周年祈念イベント中に、参加者が祈りをささげている様子。

サイクロン・イダイの祈念碑。碑には「この祈念碑はサイクロン・イダイの犠牲者を追悼する。2019年3月14日及び15日に発生した災害の中心であるベイラ市は、気候変動に対するレジリエンス強化のために団結した。 2020年3月14日ダビズ・ムベポ・シマンゴ市長」と刻まれています。

サイクロン・イダイの祈念碑。碑には「この祈念碑はサイクロン・イダイの犠牲者を追悼する。2019年3月14日及び15日に発生した災害の中心であるベイラ市は、気候変動に対するレジリエンス強化のために団結した。 2020年3月14日ダビズ・ムベポ・シマンゴ市長」と刻まれています。