戦略的環境アセスメントに係る第2回ステークホルダー会合の開催

2024年4月15日から19日の5日間、プロジェクト対象地のダルエスサラーム市内の5つの区(マニシパリティ)それぞれにおいて第2回ステークホルダー会合が開催されました。
JICAの環境社会配慮ガイドラインでは、個別事業を対象とした環境アセスメントに加え、その上位段階である計画やさらにその上の政策を対象として戦略的環境アセスメント(以下、SEA)を行うと規定しています。同様にタンザニアの環境法令も、政策や戦略、計画など個別事業の上流部分に位置するものはSEAの対象となると規定しています。本プロジェクトで作成中のTOD戦略は、タンザニア法令に従いSEAを行って環境大臣の承認を得なければなりません。本プロジェクトでは、メインカウンターパートのDART(ダルエスサラーム高速交通公社)が中心となって、SEA承認取得のための手続きを実施してきました。
今回開催したステークホルダー会合は、タンザニア及びJICAガイドラインでともにSEAの重要なステップと位置付けられています。目的は、主要ステークホルダーと会合を開催して対象となる政策や戦略、計画などを説明し、彼らの意見を収集したうえで、より現場に即した環境社会配慮の実施及び適切な合意形成に資することです。
昨年開催した第1回のステークホルダー会合では、TODプロジェクトが開始されたこと、TOD戦略が作成されること、SEAの手続きを実施することが参加者に説明されました。
今回の第2回会合では、TOD戦略案およびSEAの報告書案が作成されたことを機に、これらをステークホルダーに説明し、TODへの期待や予測されるTODの課題、環境・社会への影響についての意見を集めました。

会合にはダルエスサラーム内の5つの区それぞれ、区職員、下部行政機関の職員、住民代表、NGOや市民組織の代表など、延べ224人が参加しました。DARTがTODコンセプトとTOD戦略、JETがSEAの結果を説明した後、議論を行いました。
TOD戦略に基づくTODの実施によって、社会内での被害や便益の偏在や利害対立の可能性はあるものの、環境と社会・経済に多くの正の影響をもたらすということ、また建設工事中は、環境汚染、用地取得が必要な場合は住民移転等の負の影響をもたらすと予測されたことが説明されました。
参加者からは、駅までのフィーダー道路の整備や歩行者安全施設の設置が必要である、地域経済の活性化のためBRT回廊に集客施設を作ってBRTの乗客数を増やすべき、BRTの駅に行政情報や啓発を提供する設備を作るべきなど、TODに関して建設的な意見が出されました。また早期のTOD事業開始を求める、それにあたって十分な説明が必要である、さらにTOD戦略を実施する際には質の良い計画とするためDARTと土地省の連携が必要などの提案がありました。
一方、現在の小規模な輸送手段であるバジャジやボダボダの運転手が職を失うのではないかという懸念も出された一方で、BRTの駅にバジャジやボダボダへの乗り換え施設を作って、フィーダー道路での住民の移動を担う役割とすべきという意見もありました。
概して、会合ではTODに対して積極的な意見や提案が目立ちました。

今後、本プロジェクトでは、ステークホルダー会合の結果も踏まえ、環境大臣によるSEA承認に向けてガイドラインに規定されている手続きを進めます。

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会合の様子(ダルエスサラーム・シティカウンシル)

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会合の様子(キノンドニ区)