「教員間振り返り」活動が実施されました

教員間の自己研修活動である「教員間振り返り」が、11月20日から11月23日までの間に全国の14県で実施されました。

本活動実施に際し、日本人専門家が提案したプログラム内容を踏まえ、カウンターパートである教育省の技官たちが、各県から選ばれた960人の「教員間振り返り」ファシリテーターに対して、目的や活動内容等を共有しました。今回は次の3つのセッションで構成されています。

エルサルバドルでは、政府が教育現場における情報通信技術の普及に力を入れているため、この「教員間振り返り」でも、驚くほど、デジタル技術を多く取り入れたプログラムを実施できています。例えば、参加した教員はプロジェクターで投影されたQRコードを各自の端末で読み込み、アクセスしたウェブサイトから資料をダウンロードしたり、データ入力をしたりしました。

1. の授業進度のセッションでは、各参加者が自分の授業で学年末までに進めることのできた教科書のページ数をグーグルフォームに入力すると、同じ学年を教えた他の教員を含めた進度の分布グラフがリアルタイムで現れ、自分の授業進度状況がその分布の中でどの位置にいるかが分かる仕組みになっています。このセッションではネット環境やサーバー容量の問題が起こりましたが、グラフがうまく表示されなかった教員については、プロジェクトが予め用意した全国分布を使って議論を行いました。グループディスカッションでは、授業進度に関する悩みを共有したり、自分の実践した工夫を生き生きと語ったりする教員の皆さんの姿が見られました。

2. のセッションでは、自分の学校の全国学力診断テスト結果を持参できなかった教員が多かったのですが、実際の同テスト結果データをもとにプロジェクトが作成した例を提示することで、生徒が苦手としている内容とその対応策について話し合いました。

3. のセッションでは、ある問題を解くためにどの既習事項を理解させておく必要があるのかを検討する課題で、自分の教える生徒が解答した答案を示しつつ、他教員とともに分析する教員もいました。

このように充実した議論を展開しているグループが、全セッションで数多く観察され、「各参加教員の1年間の経験をグループ内で共有することで、自分の実践を振り返ることができる」「他参加教員の実践から自身の改善策を考える」という活動の目的が達成されました。

プロジェクトでは、この「教員間振り返り」で全国学力診断テストの結果をより多くの教員に、より効果的に活用してもらうことで彼らの授業改善つながるよう、県教育事務所や学校にどのようなデータをどのような形式で通知すべきかを検討し、次回以降の本活動で試行すべく、資料作成・共有のシステムを開発しています。

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授業進度状況のグラフを見ながら議論する参加教員。全国教員の授業進度分布がグラフに表示され、自分の進度状況が相対化できる。

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生徒のつまずきの分析とその対策についてグループ内で議論する参加教員

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自分の学校の学力診断テスト結果を確認する教員