2月 新学年が順調にスタート

エルサルバドルでは2月6日に新学年がスタートしました。1月に行われた「教員間振り返り(年間授業計画策定研修)」のフォローアップ調査を行うと同時に、教科書配布・使用状況や生徒の様子を確認するために、プロジェクトのカウンターパートである教育省技官と共に2月21日と22日の2日間、アワチャパン県の学校へ視察に行きました。

新学年開始後2週間が経過したこの日、授業は順調に進んでいる様子が伺えました。観察した授業の中には、授業進度をクラス全体で意識するために、教室の壁に現在学習している単元の番号を掲示する工夫をしているケースも見られました。

教科書の配布状況は概ね良好で、4校中3校は予定期日に、残りの1校は約10日遅れで受け取っていることが確認できました。全体として昨年よりかなり改善されているものの、受け取りが夜間になったり、学年による過不足が生じたりしているといった課題もみられます。しかし例えば教材の過不足については、年度開始までに生徒数を決定できず、各校への配布部数を前年度の生徒数に基づいて算出せざるを得ないため、エルサルバドルの状況では解決の難しい問題でもあります。不足分については県教育事務所を通じて調整しており、全生徒への配布がまもなく完了する見込みです。十分な数の教科書が届くまでは、教員が教育省のサイトからダウンロードしたデジタル版をプロジェクターで投影したり、グループ内で共有させたり、生徒に配られているノートパソコンでデジタル版を見させたりと工夫をしていました。

授業の進め方については、各校の教員が最大限に子どもの能動的学習時間*を確保しようと努める様子をうかがうことができました。また、全体として、生徒たちも授業に積極的に取り組んでいる様子でした。問題を自力で解けた時の子どもたちの生き生きした表情を見ると、長期休暇が明けて、学校での学習活動が本格的に再開したと感じます。

授業観察後はプロジェクトで試行している全国学力診断テスト結果シートのフォーマットについて、先生方から意見を伺いました。どのようなデータをどのような形で現場にフィードバックすれば学びの改善に寄与できるのか、引き続き議論を重ねて進めていきます。


*ESMATEでは45分の授業時間内で少なくとも20分以上の能動的学習時間(生徒が個別に問題を解く時間や、生徒間で問題の解法について話し合う時間など)を確保することを推進しています。

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ノートパソコンで教科書を見る生徒
教科書のPDFデータは教育省のホームページで公開されている。この授業では、ダウンロードする際のインターネット料金を生徒や家庭が負担しないでいいように、教員がダウンロードしたものをUSBに入れてクラスの生徒に配ったという。

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教科書の配布状況は概ね良好

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生徒の学習状況を観察しつつ、現在取り組んでいる高校教科書改訂作業に参考になることを見つけ出そうとしているロドリゲス技官

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全国学力診断テスト結果シートのフォーマット案について先生方の意見を聞いた。一番左はカウンターパートのメヒア技官、その右は高橋専門家。教室の壁には現在学習している単元の番号を掲示して進度管理をしている(一番右のMATEMATICAが算数)。