ブータン王立医科大学でシミュレーション教育の実践研修が実施されました

2024年2月12日~13日、ブータン王立医科大学(Khesar Gyalpo University of Medical Sciences of Bhutan: KGUMSB)でシミュレーション教育の実践研修が実施されました。

JICAでは、医学教育の質の強化の一環として、現地ニーズに合わせた医療従事者を対象としたシミュレーション教育の導入を進めています。これまでシミュレーション機材等の供与を行うとともに、シミュレーション教育を実践できる人材の育成を進めてきました。今回、シミュレーション教育に関する日本人専門家を招聘し、KGUMSBのシミュレーションセンターにて、ブータン各地の医師・看護師計21名を対象にシミュレーション教育の理論を学ぶ講義、そして実践演習を行いました。

研修の1日目は、主にシミュレーション教育の理論的な講義を聞いたあと、シミュレーターを使った教育を提供するためのシナリオを作成しました。そして2日目は、前日に各参加者が作ったシナリオを用いて実際にシミュレーターを使って指導する演習を行いました。

演習は、シミュレーション教育の指導者として振る舞い、他の参加者に実際にシナリオを体験してもらう形で行われました。参加者が不慣れであったためか、はじめはシナリオ開始前のブリーフィングが不足したり、1人で勝手にシナリオを進める参加者がいたり、スムーズにいかないことも多くありました。しかし、参加者が改善点を議論し、次の演習に活かしていくことで、どのような点に気をつけてシナリオを作成すればいいのか、シミュレーション研修を実施していけば良いのかの能動的な学びが生まれました。

参加者からは、「どういったところに気をつけてシナリオを作るのかが分かった」「演習を通して、参加者が戸惑うポイントがわかり、さらに改善することができた」などの発言が聞かれました。

今回は日本から専門家が来て指導してくださいましたが、シミュレーション教育は多くの医療従事者が身につけるべきスキルですので、今後はブータン国内にシミュレーション教育の指導者を育成することを考えています。引き続き、ブータン国内の医療の質の向上を目指し、技術支援に取り組みます。

ブータン 医学教育の質の強化プロジェクト
短期専門家 井上信明・堀米顕久

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日本人専門家による講義

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シミュレーターを用いた演習の様子

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演習後の振り返り