保健財政向上に向けたモニタリングと評価ワークショップ開催

2023年8月21日から23日、GLO+UHCフェーズ2プロジェクトは、「タイにおける保健財政向上に向けたモニタリングと評価ワークショップ」を開催しました。

GLO+UHCフェーズ2プロジェクトでは、タイ国家医療保障機構(NHSO)が運営する国民の 7 割以上をカバーする公的医療給付であるユニバーサルカバレッジスキーム(UCS)の改善に取り組んできました。その中でも特に、日本の診療報酬制度を参考にしたタイにおける「診療報酬価格表」の開発・導入と診療報酬の「請求・審査・指導・監査」制度(請求・監査制度等)の改善のための支援について、日本での研修実施(国別研修、招聘プログラム、集合研修、テーラーメイド研修)、日本から有識者等をタイに招いて講義、意見交換、知見の共有を行う等、様々な活動を展開してきました。これらの介入は、フェーズ1からフェーズ2に渡るGLO+UHCプロジェクトで継続的に行われてきたものです。

これらの支援の結果、診療報酬価格表に関しては、フェーズ 1 実施期間中からからバンコク都で段階的に導入され、2022年までに バンコク都の診療報酬出来高払い項目のうち、 90%以上を診療報酬価格表に置き換えること出来ました。さらに、バンコク都での経験を踏まえ、診療報酬価格表は2022年10月よりタイ全国で展開されるに至っています。

また、請求・監査制度等 については、厚生労働省や社会保険診療報酬支払基金等からの支援をもとに、請求から監査に係るガイドラインの策定、システム管理手法の変更、人工知能を用いた審査システム導入(AI審査システム)、請求・監査制度等に関わる人材育成等のさまざまな施策がNHSOにおいて進められています。

本ワークショップは、2023年12月のGLO+UHCフェーズ2プロジェクト終了に向けて、タイのユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)の更なる発展とUHCに関する日タイのパートナーシップの更なる促進を目指し、タイにおける診療報酬価格表と請求・監査制度等に関わる活動のモニタリングと評価を行うことを目的に実施されました。ワークショップには、これまでにタイの診療報酬価格表と請求・監査制度等の発展に係る支援にご協力いただいた日本人有識者らが参加した他、タイからは、NHSO職員、大学関係者などの有識者らが参加しました。

ワークショップでは、21日から22日の二日間に渡り、請求・監査制度等と診療報酬価格表について、まずはこれまでのGLO+UHCプロジェクトからタイ側への支援内容について総括しました。続いて、タイ側のそれぞれの活動に携わってきた関係者より、日本からの支援がどのように活用され、システムがどのように発展し、成果はどのようなもので、残された課題は何かについて報告がありました。その後、それらの報告に基づき、日タイの参加者らは診療報酬価格表及び請求・監査制度等の更なる発展のための今後の方向性等について議論を行いました。議論の中で、診療報酬価格表及び請求・監査制度等のそれぞれに関わるシステムの更なる強化、運営のための組織強化、そして関連人材育成・増員の必要性などについて、活発な意見交換が行われました。

3日目は、2日間のワークショップで議論された診療報酬価格表及び請求・監査制度等の現場視察のため、アユタヤ県のBang Pa-in Hospitalとその管轄下にあるヘルスセンターを訪問しました。Bang Pa-in Hospitalでは、まず病院長より、当該病院の地域での役割、医療提供状況等の説明を受けた後、病院及びヘルスセンターの医療提供状況、診療報酬制度に基づく、請求業務がどのように行われているのかを視察しました。視察に参加した日本人有識者と病院及びヘルスセンターのスタッフは、診療報酬価格表及び請求・監査制度等の運用に関し、現場での工夫や課題について活発な議論を行いました。

本ワークショップを通じてタイのUCSにおける診療報酬価格表と請求・監査制度等の着実な発展を確認するとともに、今後の方向性等について意見交換を行うことができました。これは、2フェーズにわたるプロジェクトの活動成果であるとともに、それぞれの活動に関わるNHSO関係者の多大なる努力の成果であるということができます。GLO+UHCプロジェクトは本ワークショップでの議論が、今後のタイの保健財政向上の一助となることを期待しています。

最後に、本ワークショップにご出席いただき、貴重なご助言を頂いた日タイの有識者の皆様をはじめ、本ワークショップの企画・運営・実施にご協力いただいた全ての関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

img

img

img

img

img

img

img

img

img