医療情報システムの共同研究に係わる日タイの相互訪問 –日本人研究者のタイ訪問-の開催

医療情報システム(Health Information System)は、保健医療制度を構成する重要な要素の一つです。GLO+UHCプロジェクトはPhase1から、医療情報システムに関する研究促進基盤の整備、若手研究者・行政官の能力開発、日タイ間の関係強化のための活動を、国際医療研究センター・グローバルヘルス政策研究センター(iGHP)の協力のもと実施しています。

Phase2では、以下の2つの疾患に関するタイの医療費請求データを用いて、日タイの研究者による共同研究を推進しています。

  • 慢性腎疾患(Chronic Kidney Disease)
  • 虚血性心疾患(Ischemic Heart Disease)

このような背景のもと、GLO+UHCプロジェクトPhase 2では、研究活動のさらなる推進、継続的研究に携わる若手研究者の能力向上、保健医療情報を活用した政策立案能力の開発、日タイ間のネットワーク強化のため、本共同研究に関わる研究者らによる日タイ相互訪問を行う事を計画しました。本訪問は、当該日タイ相互訪問の一環として、まずは日本人研究者2名が3日間の予定でNHSOを訪問したものです。

本訪問プログラムでは、共同研究の中でも特に慢性腎疾患の研究に主な焦点を宛てて議論等が行われました。プログラムには、NHSO本部からは、研究で活用する請求データの担当者、NHSO事業のモニタリング評価を担当する職員らが参加した他、NHSO地域支部からは慢性腎疾患に係わる政策立案のワーキングチームメンバーであるスタッフが参加しました(Region 4, 5, 8より各1名)。また、タイ側の共同研究実施機関であるPrince of Songkla University(PSU)からも慢性腎疾患研究に携わる研究者と指導教授が参加しました。

初日は、日本人研究者より、現在実施中の慢性腎疾患に関する研究の進捗状況と課題について報告がありました。また、タイ側からは慢性腎疾患に関するNHSOの政策の変遷と現状の課題について報告がありました。その後、現時点での研究上の課題への対応について、日本人研究者とタイ側参加者で活発な協議が行われました。

2日目以降は前日の議論をもとに、日本人研究者の実施する研究の具体的なデータ分析手法と予備的分析結果の考察などについて、タイの現状確認とともに議論されました。そして、最終日までに、当該研究の具体的な分析方法等の協議を終えることができました。なお、3日間のプログラムでは、PSUの研究者が担当している研究の進捗と課題の確認も並行して行われました。これは、その後に予定されていたタイ研究者らの日本訪問に向けた準備にもなりました。

今回の訪問では、共同研究の中でも、慢性腎疾患の研究に係わる関係者が集まって、研究上の課題について、対面で協議することができました。それにより、日本人研究者は、NHSOの慢性腎疾患に関する施策等について理解を深め、研究活動を前に進めることができました。また、タイ側の関係者も、日本人研究者との活発な議論を通じ、データ管理、政策立案等の業務の推進や研究活動の向上に向けた重要な示唆を得ることが出来たと考えています。

改めまして、本訪問にご協力いただいたすべての皆様に心より感謝申し上げます。GLO+UHCプロジェクトは、本共同研究がタイにおける医療情報システムの更なる発展につながる様、引き続き尽力して参ります。

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